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INTERVIEW

Overseas

KLAXONS

2014年06月号掲載

KLAXONS

Member:Simon Taylor-Davis (Vo/Gt)

Interviewer:山口 智男

-あなたにとって現在の世界はどんなふうに映っていて、それを今回のアルバムでどう表現しようとしていますか?

いい質問だね(笑)。現在の世界をどんなふうに見ているか。今は"恐ろしいくらいのスピード"の時代だと思う。"現在"と言っても、その"現在"に存在することが、今まで以上に、急激に難しくなっている気がするんだ。心ここにあらずみたいな状態にさせるものが多すぎるから、自分自身や現在と乖離してしまうというか。これからは人類として"現在"に存在しつづけるための探求が大きな課題になってくると思うね。それから、現在はプライバシーの問題も大きいと思う。これからの若い世代にとっては、プライバシーと、自分自身と現在との関係が大きな関心事になるだろうね。

-今"現在"の話をしたのは、KLAXONSがデビューしたとき、新しい音楽として注目されたインディー・ロックとダンス・ミュージックの融合は今では珍しいものではなくなり、現在の音楽シーンの主流と言ってもいいものになったから、というのもあります。そんな現在のシーンについて、そういうサウンドの先駆者であるあなたはどんな意見、見識を持っていますか?

僕たちにとってはとても興味深いよ。このバンドを始めた頃、レイヴ・ミュージックとダンス・カルチャー、特に90年代のダンス・カルチャーはタブー視されていたからね。90年代のレイヴ・カルチャーは触れてはいけない、全然クールじゃないものみたいな感じがあったんだ。当時のUKでは"レイヴ・ミュージックが好き"なんて言うと"おまえ本気か?"みたいに言われていた。今はLady GagaもKaty Perryのようなポップ・アーティストがレイヴ・ミュージックを受け容れているけどね。90年代のレイヴ・カルチャーやダンス・ミュージックがポップになって今も息づいている。僕たちにとっては興味深い現象だよ。それから、特にUKで顕著なんだけど、今売れている"バンド"はいないよね。プロデューサー主導というか。僕自身は、1番好きなのは今もヒップホップなんだ。Kanye West、あとUKのアーティストでEvian Christというのがとても好きだね。個人的な意見だけど、最先端の音楽はラップの範疇内で生まれていると思う。

-でも、あなたの音楽はラップじゃありませんよね。

違うね(笑)。

-今回はダンスやエレクトロニックな要素が強いですよね。新作を作るにあたって、どんな作品にしようと考えた? 現在のシーンを踏まえ、KLAXONSが今、奏でるべきサウンドはどんなものだと考えていますか? それを今回のアルバムで実現できたと思いますか?

いい質問だね。2014年の今、バンドとして存在しながら自己改革していくというのはとても難しいことだと思うんだ。2000年のRADIOHEADとは違う状況にいると思う。今、バンドが注目を維持するのはとても難しいことなんだ。一般的に言っても、人々が物事に注目するスパンが短いからね。価値観もものすごいスピードで進化しているし。今回のアルバムではポップなアルバムを作るというのが主な目標だった。バンドを始めた当時から、ポップ・バンドになりたいという話はしていたんだ。で、今回はポップ・アルバムを作る絶好のチャンスだったと思う。エレクトロニックなポップ・アルバムをね。ラジオでかけてもらえるような、ポップ・アクトになりたいという目的があったんだ。U2が『Pop』を作ったときの心境と似ているかもしれないね。美しくて、キラキラしていて、使われている写真もビデオも艶がある。僕たちがちょっと未来的なポップ・アクトになろうとする動きに通じるものがあると思う。

-今回のアルバムは確かに"現在"でありつつも"未来"を見据えた感じはしますね。それでいてちょっと懐かしい雰囲気すらある。今回のプロデューサー陣の顔ぶれからはダンス・サウンドへの回帰が読み取れます。複数のプロデューサーを起用した意図や人選の理由を教えてください。

今回、参加してくれた面々は、みんな今までも親しくやってきた人たちなんだ。僕たちの初めてのツアーは、THE CHEMICAL BROTHERSと一緒だったしね。今回のコラボもみんな自然の流れで決まったような感じだから、すごくしっくりくるんだ。『Surfing The Void』の時にロックをやったのを驚いた人は多かった。その時点で、すでにダンス系のプロデューサーたちと親しかったからね。だから今回のコラボ相手を決めた時は自然な流れだったよ。THE CHEMICAL BROTHERSとも仲いいし、James Murphyとも親しいから、頼みやすかったんだ。前回のアルバムを完成させた後にエレクトロニックなアルバムを作るというのが、僕たちにとっては自然な流れだった。前回のアルバムのツアーを通じて、ライヴでできるアルバムを作るというアイデアが出てきたからね。ただぼんやり突っ立っているだけじゃなくて、もっと違った意味でクリエイティヴになりたいと思ったんだ。

-確かに、ただのダンス・アルバムではない、ライヴで見てみたいアルバムではありますね。

そのとおりだよ!このアルバムを作ったのはそれだけで意義があるんだ。でも、ある時点で、ライヴでどう聴こえるかを心配するのはやめようって話になってね。とにかく最高のアルバムを作ることにしたんだ。いつもLCD SOUNDSYSTEMを参考にしているよ。アルバムのプロデュースの仕方とライヴが全然違うんだ。ライヴの方がヘヴィでね。あれは僕たちにとっていつも参考になるね。

みなさんにとって日本の印象は? また、新作を楽しみにしているファンにメッセージをお願いします。

日本とはずっと素晴らしい関係を築けているんだ。このバンドを心から受け容れてくれた最初の国のひとつだしね。そういうこともあって、日本ではいつもとても特別な気持ちでプレイしている。ファンからもいつもたくさんの愛をもらっているし、みんな親切だし、僕たちを評価してくれている。早く今回のアルバムを日本でもプレイしたいと思っているよ。実は、去年、SONICMANIAに出演したときに、今回のアルバムの曲を2曲やったんだ。日本で初演できるというのはありがたい経験になると思ったからね。

-どの曲ですか?

「A New Reality」と「Invisible Forces」だよ。また日本でやるのを楽しみにしているんだ。