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INTERVIEW

Japanese

strange world's end

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strange world's end

Official Site

メンバー:飯田 カヅキ(Vo/Gt) 関根 ヒロユキ(Dr)

インタビュアー:天野 史彬

-自分が病気で寝たきりの状態になった時、飯田さんにとって音楽はどういうふうに作用したんですか?

飯田:音楽は............音楽は、自分にとって凄く大切なもので。自分のことを歌ってくれているなって思える音楽ってあるじゃないですか。俺もこうやって音楽を作ってリリースしてるわけですけど、聴いてくれている人に"自分の思ってることを吐き出してくれてる"って言われた時に、同じなんだなって思って。生活の一部なんですよね、音楽って。凄く特別なものっていうわけではないんですけど、大切なものではあるかな。

-具体的に、どういう音楽が自分のことを歌ってくれてるなって思ったんですか?

飯田:日本だと、Syrup16gとかに1番影響されてますね。昔、バンドを始めた頃はLUNA SEAとかも聴いてましたし。海外だとNIRVANAとかRADIOHEADとか。その辺が自分の中では1番濃い部分ですね。NIRVANAは、関根も共通して好きですね。

-関根さんから見て、飯田さんの書く言葉はどういうふうに映ってますか?

関根:僕がとんでもねえなって思ったのは、入る前、当時やってたバンドで対バンした時に初めて「皆殺し」を聴いたんですけど、何言ってんだろうなって思って。

飯田:ははは!

関根:でも、それを言えるのが(飯田の)強みだろうし。逆に、俺には言えないことなので。みんな必ず持ってるけど言えない言葉だと思うんですよ。そういうのをたくさん言える人なんじゃないかと思います......難しいな(笑)。

-"みんな持っているけど言えない言葉"っていうのは、まさにそうですよね。このアルバムの資料に"「君とあなたの鬱ロック。」現代社会に疲れ果てた人間の現実をありのままに"って書いてあるじゃないですか。これはstrange world's endのキャッチ・コピーのようなものだと思うんですけど、これを読むと、飯田さんは自分から出てくる"殺せ"とか"生きてる事は無駄だ"っていう言葉を、決して自分の中だけのものじゃなくて、今、この世の中を生きる多くの人にとって共有しうる言葉として扱っているんじゃないかと思うんです。

飯田:そうですね、そういう部分もあります。誰しもが思うことってあるじゃないですか。今日はいい日じゃなかったなって思う日もあったり、"こいつ死ねよ"って思うことも生活の中であるじゃないですか。そういうのって、一時の感情だと思うんですよ。いいこともあったり悪いこともあったりする。でも"死ねよ"って思ってしまうような、そういう感情の突出した部分を自分は切り取ってるんですよね。全員がそうではないし、僕自身いつもこう思ってるわけではなくて、バンドやってる時は楽しいなって思いながらやってるんですけど、ただ、自分の中の1番強い部分を使って表現してる。

-今って、"死にたい"ってポンッと言っちゃう人が多いじゃないですか。そういう時代だし、だからこそ"病んでる"とか"メンヘラ"とか、そんな言葉が蔓延している部分もあると思うんですよね。そうやって日常的に"死にたい"って呟いてしまうような人たちに対して、strange world's endの音楽ってどういうふうに作用すると思いますか?

飯田:うーん......どうなんだろう......結局、自分もその一部なので。だから、その人たちの思ってることが、自分たちの音楽の中に少しでも入ってたらいいなとは思います。やっぱり、こういう形でリリースしたりライヴしたりしているってことは、自分の中で消化するだけじゃないってことだから。俺の中で持論があるんですけど、もちろん、自分たちは発する側なんですけど、音楽を取り巻く主役って、いつの時も聴く人だと思うんですよ。俺も音楽を聴くことによって救われた経験があるわけだし、聴いてる人こそが、中心、主役なんですよね。俺たちは、あくまで投げてはいるけど、投げた時点で、(音楽は)俺たちの手からは離れてるから。だから、"自分のことを歌ってくれてるな"って思ってもらうことによって、その人が少しでも救われてくれたらいいなとは思ってますね。俺は全然"頑張れ"みたいなことは歌わないんですけどね。"頑張れ"って言われると辛くなる人っているじゃないですか。俺はそうなんですけど。そういう人が、自分を卑下する必要はない、自分は間違っていない、自分は存在していてもいいんだって思ってもらえたらっていうのはありますね。

関根:(自分たちの音楽が与えるものは)快感か拒絶かのどっちかだと思うんですよ。でも、それでいいかなって思ってます。

-strange world's endの音楽って、人生のくだらなさとか、生きていることの意味のなさとか、そういうことを凄く迷いなく、断定的に歌いますよね。この迷いのなさって、どこから生まれるんだと思いますか?

飯田:やっぱり、さっきも言いましたけど、その時の感情を切り取ってるからだと思います。あとで風呂でも入りながら考えると冷静になれることでも、実際に怒ったり哀しんだりした場面って、感情が振り切るじゃないですか。その時の歌を歌っているから、ズバッと断定できるんだと思います。基本的には言い切るっていうのが、自分のスタイルだと思いますね。

-聴いてると、こっちもボコボコに殴られるし、多分飯田さん自身も歌いながらボコボコになってるんだろうなって思うんですよ。

飯田:(笑)この間一緒にツアーに行ったバンドの人がCDを買っててくれて。その人と車で一緒に話したんですけど、その人も、精神的に楽しい感じじゃなかったらしくって。その時にうちらのCDを聴いて、最後まで聴けなかったらしんですよね。途中でプレイヤーを止めてしまって。今、これは聴けないなって思ったって。でも、"作品を出すっていうことはこういうことなんだ"って思ったとも言ってくれて。音楽を出すことの重みを感じてくれたらしくて。そういう話を聞くと、なるほどなって思うんですよね(笑)。俺たちは崖にいる人間を、"そっち行っちゃダメだよ"で連れ戻すんじゃなくて、そのまま突き落としちゃうタイプなので。それは、その人が望んでることであればひとつの優しさにもなるんでしょうけど、ダメージになる人もいるんだろうと思います。でもさっき(関根も)言ったように、好きか嫌いか極端に分かれてほしいなって思ってて。特に今の時代、ざっくりと"たくさんの人に聴いてほしいな~"って思ってるぐらいじゃ誰も聴いてくれないと思うんですよ。だったら、俺たちは必要としてる人に届いてほしいから、狼煙を上げるじゃないですけど、どっから見ても"俺たち、こういう音楽やってるよ"ってわかるようにしておくべきだなって思うんです。それを目印にして、"あいつらのCDを聴けばあの気持ちが味わえる"っていうのがわかってもらえれば、今はいいのかなって思います。

-僕は、このアルバムを聴いて凄く優しさを感じたんです。まず、タイトルが優しい。『君が死んでも、世界は別に変わらない。』って......これを言われたら、逆になんだってできるなって思うんですよ。自分は凄くちっぽけな存在で、世界に対しても何の影響力も持たなくて、でも、自分がそんな卑小な存在だってわかれば、その先は上がるしかない。なんだってできる。strange world's endの音楽って、一貫してそういう"前のめり感"があると思うんですよ。自分のくだらなさを知るからこそ、その先を見てるなって。

飯田:あぁ~......それはあります。strange world's endの曲は、歌詞なりタイトルなりに2個ぐらい意味があって。俺は何事も表裏を考えてしまうんですよね。この『君が死んでも、世界は別に変わらない。』っていうタイトルは、突き放す意味もあるけど、もう1個は、君が死んでも変わらないんだから、そんなに自分を責める必要はない、考え込む必要はない、死ぬ必要はないんだっていう意味もあるんですよね。だから、そう言ってもらえると伝わったんだなって思います。曲にしても、確かに過激な歌詞もあるけど、それを俺たちが音楽にして演奏することで昇華してやるというか、聴いた人がその感情に捉われる必要がなくなってくれればいいかなって思いますね。だから、ライヴは凄く楽しいんですよ。歌詞は暗いかもしれないけど、演奏自体は楽しい。

-僕も高校生の頃Syrup16gが凄く好きで。彼らの曲の中で"君は死んだほうがいい"って歌ってる曲があって。当時、その言葉が凄く希望だったんですよね。"死ぬな"って言われるとキツいけど、"死んだほうがいい"って言われるとこんなに楽になるんだって思って。strange world's endを聴いてると、そのことを思い出したりするんです。

飯田:「デイパス」ですよね、『COPY』に入ってる。俺もそうです。同じように救われて。ほんとに、それだと思います。

-だから、このアルバムも1曲目から6曲目までは本当に辛らつで、それこそ窒息死しそうになるぐらい人生のくだらなさを暴いていくんだけど、最後の「うつくしい」で、"君に逢いたい笑顔が見たい/それだけでいいよ"って、凄くピュアな気持ちを歌ってるんですよね。このTrack.7「うつくしい」のピュアネスっていうのは、それまでの6曲で堕ちるところまで堕ちたからこそ辿り着ける場所だし、輝くものでもあると思うんですよ。

飯田:ほんとそうですね。この曲は"自分が嫌い過ぎて"って、今までと変わらないトーンの歌詞で始まるんですけど、最後は"美しい"って連呼する。それは、このアルバムのそれまでの6曲を通して振り切った感情、ネガティヴな感情を歌ってきたけど、それも人間の感情として美しいんだっていうことを歌いたくて。だから、この曲を最後に入れたんですよね。あとは、最後にこういう曲を入れると、もう1回CDを再生する気になるかなっていう(笑)。

-この間、飯田さんのブログを拝見したんですけど、"俺は人に期待しない"って書いてらっしゃったじゃないですか。その気持ちは、自分の音楽の中にもあるものだと思いますか?

飯田:子供の頃の育った環境もあるんですけど、何も信じられない、期待できないような環境で育ったので、それは人間としてのスペックなんでしょうね。期待しても裏切られるかもしれない。だから、相手に何かを求めるんじゃなくて、自分でやりたいからやる。そういう気持ちが強いのかなって思います。......俺は、期待してしまうことによって、そうならなかった時に傷つくのが嫌なんでしょうね。そうならないために、期待しないんだと思うんですよ。それが正しいことだとは思わないけど、ただ、そうしないと自分を守れない。だから、今でも人に期待しなくなったのかなって思いますね。屈折してるのかもしれないけど。