Overseas
METRONOMY
2014年04月号掲載
Member:Joseph Mount(Vo/Gt/Key)
Interviewer:天野 史彬
目の前に自らの音楽を待ちわびる多くのリスナーがいる喜び。しかしそれ故に、家族や友人などの親しい人たちと離れなければいけない哀しみ――METRONOMYの3年ぶりの新作『Love Letters』は、そんな彼らの等身大の喜びと孤独が綴られたアルバムだ。60年代のサイケデリック・ロックやソウル・ミュージックからの影響を昇華した楽曲は、これまでになくメランコリックに、私たちの耳に寄り添うように響く。その名の通り、まるで郵便受けに届いた1通の手紙のような親密さがこのアルバムにはある。この新たな傑作に込めた思いを、船の上のJoseph Mountに電話で聞いた。
-新作『Love Letters』は、まるで古くからの友人から送られてきた1通の手紙のような親密さを感じさせる、本当に素晴らしい作品だと思いました。ご自身では、どのような作品に仕上がったと思いますか?
(嬉しそうに笑う)アルバムを作る時っていうのは予め計画して作るのと、本能の赴くままに作るのとのやり方があると思う。前回は洗練されたものを作りたいという気持ちが強くて、プロダクション重視だったけど、今回はそれとは別の"宇宙"に存在するようなものを作りたかったんだ。だからアナログ・スタジオでレコーディングしたし、ソングライティングを重視しながら作った。
-2011年にリリースされた前作『The English Riviera』からアルバムとしては3年ぶりのリリースとなりますが、あなた自身にとって、そしてバンドにとって、この3年間はどのような期間でしたか?
素晴らしかったよ(笑)。凄く速く過ぎ去った気がする。ファンにとっては長かったかもしれないけど、バンドにとっては凄く速かったな。前作が成功してラッキーだったと思う。世界中を旅することもできたしね。人気が出てくると、次の作品を待ってくれる人も増えて、楽しみにしてくれる度合いも大きくなるんだなって思ったよ。それに気づいたのが、アルバムを出して2年くらい経った頃だったかな。すごくワクワクしたよ。
-ブレイク作となった『Nights Out』がリリースされてからもう6年が経ちました。この6年間はあなたにとってどういうものでしたか?
6年間かよ(笑)! まあ、そもそも1枚だけリリースして終わりっていう夢じゃなかったからね。やっぱりミュージシャンとしてはちゃんとしたキャリアが欲しかった。複数アルバムを出してね。この6年間は何とか普通の仕事に就くことを避けて、ミュージシャンとしてやっていけている。......昨日、25歳になったばかりの友だちと話してたんだけど、そいつは年取っていくことをとても気にしていてさ。だから"俺なんか、25歳の頃よりもここ6年間の方が色んなことをやってきたぞ"って言ってやったんだ。ほんと、今までの人生で1番実りの多い日々だったと思うよ。
-『Pip Paine (Pay The £5000 You Owe)』、『Nights Out』、『The English Riviera』と、これまでに3枚のアルバムをリリースしてきましたが、今のあなたにはこの3作品に対し、どのような思いがありますか?
他の人より僕自身の方が理解しやすいアルバムだとは思うけど......音楽や音楽を作ることを愛する人間としては、それぞれ違うものを模索していくのがとても楽しいんだ。僕の望みに忠実に作るほうが楽だとわかったしね(笑)。もし2人以上の人間が作っていたら、どのアルバムもまったく違うものになっていたと思う。でも、もし4枚、5枚、または6枚アルバムを作れるとして、1枚じゃその人のことを理解しきれないよね。例えばDavid BowieのアルバムやTHE BEATLESのアルバムを1枚聴いたところで、彼らの成長の様子をすべて窺い知ることはできない。音楽だって変わるしね。
-アルバムごとに違ったアプローチをしてきたけど、その変遷こそ、METRONOMYそのものであるってことですよね。では、アルバム『Love Letters』について詳しく訊いていきたいのですが、去年公開されたリード曲「I'm Aquarius」は、天体観測アプリ「The Night Sky」を通じて曲を聴くことができるという、非常にユニークなアイデアによって公開されました。このような方法を試みた理由は?
今はみんなファンを喜ばせるために、リリースには色んな工夫を凝らすからね。人を苛立たせることはやりたくなかったんだ(笑)。このアイデアはレーベル側から出たものだけど、こういうことをする機会はなかなかないなと思ってね。「I'm Aquarius」(僕はみずがめ座)なんて曲はもう作らないだろうから(笑)。音楽業界の人はいつも奇抜で面白い仕掛けを考えるよね。いわゆる"ブルー・スカイ・シンキング"(非実際的なものの考え方)の伝統といったところかな。
-一晩の夜遊びの物語を描いた前々作『Nights Out』。それに、あなたの記憶を振り返るノスタルジックな作風だった前作『The English Riviera』。それぞれのアルバムにコンセプチュアルなテーマがあったと思うのですが、本作『Love Letters』には、どのようなテーマがありましたか?
(チャイムのようなものが背後で鳴っている)ごめん、今船に乗っててさ。アナウンスがあるみたい。(背後でアナウンスが聞こえる)(笑)曲を書いている時は......ツアー中に思いついたアイデアが多いんだけど、ツアーの時に経験するふたつの感情についてだね。ひとつはすごくエキサイティングな時間。自分を観たいと思ってくれている人たちの前でプレイすること。もうひとつは、自分の基礎となっている何かを逃してしまっている感覚。例えば家族もそうだし、ガールフレンドやボーイフレンドにも思い通りには会えないしね。素晴らしい仕事にはそういう代償がつきものなんだ。そういうところからインスピレーションを得て今回は曲を書いた。ただ、コンセプト・アルバムとして説明しなきゃいけないものを作りたくはなかったから、その辺りは意識したね。実際に曲をアルバム用に並べてみたらテーマがはっきりしてきて、この曲とこの曲を隣にしたら1番いいぞ、みたいなのはあったけど。
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