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INTERVIEW

Japanese

PLASTICZOOMS

2013年10月号掲載

PLASTICZOOMS

Member:SHO ASAKAWA(Vo)

Interviewer:沖 さやこ


-そういうことを実行に移せる環境はとても素晴らしいと思います。

"やれることはやっちゃおう"というか、やれないことはないですね。アルバム以外は全部自分たちのブランドで出しているので時間も掛かるし、資金調達に悩むことはありますけど、それも全部自分たちで何とかしてるし......ほぼ会社ですよね。だからこそ1個1個がすごく大事で。ちょっと売れてるバンドの人が自分たちの商品のことを"こんなの出てたんだ"と言ってたりするとね、アホかと思うし(笑)。自分の領域にあるものを把握していないとか、愛していない商品が出ているというのはやっぱり......おかしいと思うし、クリエイティヴではないなと思う。全部僕の手が入って、メンバーの目が入ってから、表に出すのが健全だし、そうじゃないと買ってくれる人に悲しい思いをさせると僕は思っちゃうから......。そういうことは当たり前だと思ってたんだけど、世の中にとってはそうじゃないというのを最近感じますね。"(こんなことまでして)すごいね"と言われるんですよ。でも僕はすごいことをやろうとしているんじゃなくて、そういうことをしている人がいないから僕がやらないといけないという発想なんですよね。大変だけどそれは当たり前のことで。曲を作るのも、服を作るのも、同じくらい大変で。だからこそ愛せるというか。

-そうやって手間を掛けると、自分の中に残るものは大きいですよね。

うん。自分たちでやっていくとお金の仕組みも勉強するし、真っ赤っ赤な状態を目の当たりにしてそれをどうにかしていかないといけないとなると......すっごく大変ですけど(笑)、残るものは大きい。本当に人の価値観はいろいろ。だからこそ周りに流されないという強さはちゃんと持っていてほしいし、ひとりの人間として意見を持つ。絶対に流されない勇気は全員が持つべきで。服も"これが着たいけど人にバカにされるから着られない"とかではなく、着たいなら着ればいいし。自分のことを信じて、愛してあげるべきなんじゃないのかなと思う瞬間はありますよね。だからファッションや音楽をリリースして、そういう人たちに楽しみを増やすというか、音楽にしか興味なかった人が僕らの音楽を聴いてファッションを見たときに、その2つがリンクしていればクールに見えると思うんです。そこからファッションに興味を持ってくれたら嬉しいし。僕が魅了されたMalcolm McLarenやVivienne Westwoodの、音楽と絶対的にリンクしてるかっこよさ......そういう連鎖が生まれれば、もっともっと面白いのかなという気はしてるんですよね。価値観の違いはあるので、それが絶対とは言えないですけど、僕は自分の作品を信じて、そういうものをリリースして......世の中に残していくのが使命なのでね。ちゃんと責任をもって活動をしていますね。

-作品を消費するのではなく、バンドがちゃんと大事にしているのを見ると、こちら側としても嬉しいし、尚のこと愛情を持てるようにもなりますし。

うん、そう思うし、説得力が絶対に増すはずなんですよね。僕はそういうものがない、薄っぺらい音や物がすごく嫌いで。世の中には薄っぺらいものが多いし、それに流されている人間も多いなー......と感じます。あとジャケから何から何までデザインしているので全部見てほしい。すごく時間を掛けて作って愛情込めてるので、そういう部分でもmp3もいいけれどCD(物)を手に取ってほしいというのはありますね。

-お話を伺っていて、先ほどお話に出たSHOさんのお友達であるTHE NOVEMBERSの活動にも同じものを感じました。彼らの最新作(『Fourth wall』)のジャケットもかなりデザインが凝られたものでしたし。そうやってお互いの活動にいい刺激が与えられる関係は素敵ですね。

僕も小林くんと出会って気付かされたことがたくさんあるんです。彼はまっすぐなのでね。僕はネガティヴな人間だったので、それがライフスタイルに根付いちゃっていたというか......誰も信じられないとかそういうレベルだったので(苦笑)。僕が見る限り彼はフラットというか、誰に対しても受け入れる体制を作っているので、そういう部分でも素晴らしいし素敵だし、だからこそ大切な人です。何よりも彼と僕は似てると思います。考え方もちょっとした生き方も。1番似ているのは物を大切にする力の割合という気がします。物を大切にするのは意外と時間と労力が掛かるんですよね、守らなきゃいけないということですから。その"守らないと"という使命感を常に持っているから、自分が何かをしたいと思ったら自分で全部やる。でもそれに関わった人間のことを背負うのは全部自分――という風に考えて彼はやってきたと思うし、やってきていると思うし。そこはすごく一緒で......でも少し力を抜いて何かに向かう大事さを、一緒にいるようになってからお互い気付いたんじゃないかなぁ。彼とは結構共有している部分が多くて。

-それはリスナーからも感じます。

お互い刺激になりますね。彼はライヴに対してストイックですね。ステージに立つことへの意識はすごく勉強させてもらっているし、さっきも言ったけど今回は初めてライヴを想定した曲作りをしているので、僕の作品に影響しているんです。そういうところで彼の姿勢から影響を受けました。かっこいいものを見せているTHE NOVEMBERSは素晴らしいと思うし、僕がやりたいと思っていた劇のようなライヴに通ずる部分が彼らのライヴにはあるから。