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INTERVIEW

Japanese

ORESKABAND

2013年03月号掲載

ORESKABAND

Member:tae (Dr)

Interviewer:伊藤 啓太

今までの彼女たちを知っている人たちがこのアルバムを聴いたら間違いなく驚きをもって迎えられるだろう。その驚きは最初は決して喜びを伴うものではないかもしれないが、この作品としっかりと向き合えば"ORESKABAND"の確実な進化をしっかりと感じることができるはず。2年半振りのアルバムとなる『Hot Number』をリリースする彼女たちを代表してtae(Dr)に話を訊いた。

-ライヴ活動などは行なっていましたが、音源のリリースとしてはもう2年半ぶり程になります、バンドとしてはその期間は長かったでしょうか?それとも特に長くは感じませんでしたか?

個人的にはあまり長いとは思いませんでした。リリースはしてなかったものの、ライヴや曲作りは何かとずっとし続けていたので、色んなことを吸収する時期としてはかなり充実していた日々でした。

-まず音楽性の大きな変化に驚きました、今作の制作は2012年初頭からほぼ1年かけたとのことですが、制作するにあたって何かコンセプトはありましたか?

アルバム自体の制作は2012年の秋口から始まりました。それまでは曲を作ってはもうちょっと何かあるんじゃないかというのを繰り返してきたので、その結果、今までやったことないことをしてみよう!ということになりました。なので、過去に捕われず、今の自分たちを存分に表現しよう!というのがコンセプトというか、メンバーで意識していたことではありました。

-今作はORESKABANDの"スカバンド"というイメージを良い意味で覆す、本当に多種多様な音楽の要素を消化できていると思います。例えば見え隠れするジャズやレゲエ、ソウルやファンクといった要素はルーツとして元々持ち合わせていたものなのでしょうか、それとも意図的に新たに取り入れたものですか?

結成当初はスカをやろう!というところからバンドが始まっているので、そもそものバンドのルーツとしてはスカがど真ん中にあったんですけど、それから早10年経って、メンバーそれぞれの音楽の好みも変わっていったり、深くなったりというのが自然にありました。その中で、ジャズやレゲエやソウルなんかは本当にメンバーが普段の生活の中でものすごく好きでいつも愛聴している音楽なんです。なので、そういうこともやりたい!という気持ちがそのままプレイになっています。もちろん、スカに対してのリスペクトの気持ちは年々高まっているんですけどね。

-今作は詞の世界観もグっと大人に、そして夜を想起させる空気感が通底してありますが、詞を書くときに何か意識したこと、または大変だったことはありましたか?

歌詞に関しては、今までは漠然と"自分の思ったこと"を書いてきたのですが、今回は違って、"誰もが一度は出会う景色や気持ち"のことをすごく意識していました。なので、友達と盛り上がった話題とか、誰かから話を聞いたことからできた歌詞が多いです。

-「夜明けのファシズム」から"大人"に進化した新しい"オレスカ・サウンド"全開ですね。この曲を1曲目にもってきた理由を教えてください。

強い曲をとにかく1曲目にしたかったんです。世の中いいことばかりじゃないなぁと思うことがここ最近なんだか多くて、例えば政治だとか社会だとか、色んな環境の中でもがいたり、わからなくなったりするけど、だけどわたしたちは黙っちゃあいないわよ!というエネルギーを込めた曲なので、今回のアルバムで開口一番にもってこいの曲だと思いました。

-「Tokyo Magical Wonder City」はニュー・ウェーブっぽさも孕んだ80'sライクなアーバン・ポップですね、アレンジにはどういった部分を意識しましたか?

これは、大阪から上京したことで、東京のキラキラしている部分と怪しい部分と、最新の街だけど、古いお店もたくさんあるということに気付いて。そういう光と影のような、なんとも言えない裏腹で不思議な魅力をできるだけ具体的に音で表現しようと心がけてました。

-Track.3の「それは勝手な理論」では電子音もかなりアクセントに多用していますね、オルタナ・インディー・ポップ感が溢れた個人的に今作で一番驚いた楽曲であり、一番好きな楽曲です、この曲がどういった経緯で出来た曲か教えてください。

これはホーンが入っていない曲なんです。今までのスタイルに捕われないってことを考えた時に、絶対やりたい!とまず思ったことだったんですけど、オレスカバンド=ホーンというイメージをなんとか壊せないかみたいなことを考えて作った曲でした!最初はどうなるかな~と思っていたのですが、できあがった今、この曲によって新しいアイデンティティが生まれ始めている気がします。