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INTERVIEW

Japanese

yEAN

2012年04月号掲載

yEAN

Member:ミサキ (Vo & Ba)

Interviewer:平野 スミオ


-そしてマスタリングにはaudioroom9阿部充泰氏(いきものがかり, back number, YUKIなどを手がける)を起用なさったのは非常に興味深かったです。一聴すると複雑で独特な展開を持つ作品を、最終的には“歌を重視したポップ”という馴染みやすい形で仕上げたいという狙いを感じましたが、その点はいかがでしょうか?

その通りだと思います。歌に重きをおいているというわけではないのですが、歌を作るとき、どんなにオケがひねくれたことをしていても、歌とそのメロディだけはキャッチーにしたい、というのがわたしの中にあるので、そういう意味でも阿部さんのマスタリングは、すごく効果的で、素晴らしいものになったと思います。

-大変洗練されていてハイ・センスなCDジャケットだと感じましたが、どのようなメッセージを表現をしたいと考えて高田真二氏(SCHWARZ- DESIGN / FREE THROW等)を起用されたのでしょうか?

yEANのやっている音楽は、一見複雑そうに見えて、実はそれぞれシンプルなことしかしていないものが多いです。“4人(4色)のシンプルな旋律、だけどカラフル”というyEANの音楽性と高田さんのデザインがとてもうまく混ざりあって表現されていると思います。

-まず冒頭を飾る「m.B.E.b」は約7分に及ぶ大作で、歌詞のテーマも“動けるけれど弱い部分をたくさん持つ人間と、動けないけど強い願いをもった人形との対比”という大変ユニークなものになっており、個人的にはyEANのサウンドとしての魅力とメッセージの方向性を十分に感じられる曲だと思いました。今曲を重要なデビュー盤の1曲目に収録した狙いは何でしょうか?

5曲全体のバランスを考えた結果というのもありますが「m.B.E.b」は、今のyEANが一番やりたいことをやってる曲です。歌詞もいつもはオブラートに包むことが多いんですが、この曲は結構好き放題に、割りと素直に書きました。やりたいことをやったら7分になってしまいました(笑)。

-2曲目の「チャック・ザ・センス」では美しいギター・リフと相成って、ごく自然にメイン・ヴォーカルが入れ変わったり、コーラス・ワークが音の一部のように絶妙に使い分けられていたのが秀逸だと感じました。yEANのバンド・サウンドにおいて“声”とは、どのような位置づけとして捉え作曲に臨まれていますか?

コーラス・ワークは個人的にもかなり重要視しています。このバンドを組んだときも“男女ツイン・ヴォーカルで綺麗なコーラス・ワークのあるバンドがやりたい”と思っていました。曲に厚みや説得力を出したいとき、ギター、 シンセ、ベース、ドラムに加えコーラスをいれたりしてます。男女ツイン・ヴォーカルがやりたいと言い出したのはわたしなのですが、イギリスのLOS CAMPESINOS!というバンドの影響が大きいです。あとは、自分の声質とサナキさんの声質が男女の差というのをおいてもかけ離れすぎているので、その二つを合わせたらとてもおもしろいんじゃないかと思いました。

-3曲目「11010」は“百獣の王”と読むのもインパクトがありますし、作品中でも勢いのあるダンサブルな曲だと感じました。いま音楽シーンの主流となっているダンス・ロックを巧く消化し新しいジャンルすら作り得る可能性も同時に感じましたが、あえてyEANのジャンルを言い表すとすれば何だと自覚なさっていますか?

ジャンル……難しいですね(笑)。yEANが紹介されるときにはよく、スペイシーでレトロ、カラフル、次世代ダンス・ロック、とか言われます。「11010」を作っているとき、自分たちでも“未来的かつレトロで懐かしい”というのを意識していたので、なんだろうな、近未来的レトロ・ダンス・ミュージック?(笑)好きなように呼んでいただけたらうれしいです!(笑)シンセの未来感と歌のメロディのレトロ感が核だとは思います。人に言われて気づいたんですが「11010」の歌のメロディは、学校のチャイム音に似ているみたいなんですよね。キーンコーンカーンコーンてやつです。確かにな、って(笑)。ちなみに「11010」というのは、名探偵コナンの中に出てくる話からアイディアをもらいました(笑)。

-4曲目「衛生フラップ」は宇宙という壮大なテーマが歌詞と世界観の土台としてあると思いますが、なぜか聴いた後には哀愁やメランコリックという大変身近に感じる気持ちが心に残りました。この独特な歌詞の表現方法のルーツや影響を受けたものを教えて下さい。

これはドラムの竹井さんの失恋ソングです。詳しくは竹井さんに聴いてみてください(笑)。

-5曲目「アシンメロディ」は現時点でのyEANを代表する重要な曲になるだろうと私も感じました。特に耳に残るキャッチーなメロディは、これから今作を聴く多くのリスナーのハートを掴むことと思いますが“メロディ”を作る際に大切にしている点や気をつけている点などを教えて下さい。

メロディのキャッチーさはかなり重要視してます。あと、懐かしさ。ひねくれたオケと歌詞+キャッチーなメロディのイコールを楽しんでます。

-ライヴ活動も精力的になさっており成長の場としても重要に捉えているように感じました。ライヴへ臨む際、もしくは演奏中に最も重要だと意識している点を教えて下さい。

ただ単にメンバーみんなライヴが好きです。ライヴしたいんです、いろんな場所で。あるお客さんがyEANのライヴを見てくれたとして、そのお客さんはぼくらのことを今日の1回しか見てくれないかもしれない。そうすると、その1回の印象が全てになってしまうんですよね。そう思うと、毎回全力だし、テキトウなライヴなんて出来ないし、しない。当たり前のことしか言えなくてすみません(笑)。

-今作『4C』の全国リリース、レコ発ツアー、そして各イベントへの出演で、2012年はバンドにとって大きく飛躍される年だと期待と楽しみな気持ちでいっぱいでもあります。そんな、これからyEANを聴く、観る、知る方々へのメッセージを最後にお願いします。

yEANは2010年の夏に初めて地元の千葉でライヴをしました。今は、ぼくらのことを知ってくれてる人はあまりいないと思ってます。けれど一度で良いので何かの機会に聴いてほしいです。myspaceにあがっているものを試聴してもらえたり、PVを見てくれたりでも、嬉しいです。そして、少しでも気になってくれたら是非ライヴに来てほしいです。ギターのイイズカさんがアクロバティックでおもしろいです(笑)。いつか骨を折らないか心配してます。今素敵な音楽ってたくさんあるので、その中の一つになれたらなと思っています。