Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

MENU

INTERVIEW

Japanese

Galileo Galilei

2012年01月号掲載

Galileo Galilei

Member:尾崎 雄貴, 佐孝 仁司, 尾崎 和樹, 岩井 郁人, 野口 一雅

Interviewer:沖 さやこ


-歌詞はお話めいてたり、逃避的なものが多いですよね。でも死について描かれているところにリアリティがあって、逃避というよりは現実を自分の理想の世界に彩るような印象があります。

雄貴:中途半端な現実逃避じゃなくて、行ききった、現実逃避に命賭けるくらいの感じの歌詞が好きで。......何も無いところからエネルギーを頂戴する感じが凄い好きなんすよ。材料がなくても元気を生み出せるっていうか。今回の歌詞も割とそんな感じで。今までのガリレオの歌詞は僕という人間が何を考えてるかとか、こういうのは嫌だとか、そういうメッセージを歌って来てた。そういうのが一番伝わり易いっていうのは分かってたんですけど、今回はそこから一旦離れて、ストーリーを作っていきたいなと思って。明るい歌詞ではないんですけど、楽曲はポップにしたくて......詞と曲の差をもっとつけて、グッと幅の広がる作品を作っていきたいと思ってて。今回もそれを挑戦してみたっていうか。

佐孝:ほぼ毎日一緒に暮らしてるから、雄貴の歌詞は何となく共感できるというか。時間があれば夜に1日2本とか3本とか、みんなで映画を見るんですよ。その映画に出てる1シーンぽい歌詞が載ってたり。本棚もみんな共通なんで"あ、あの本の一節っぽい歌詞だな"とか。そういう認識はメンバーの中でもあると思うんです。

雄貴:今回、街の外観はティム・バートン監督の映画"ビッグ・フィッシュ"がモデルになっていて。本も映画もどっちも好きで。舞台になってる街はブルー・リバーって川が流れているんですけど、ネットでも調べてみたら凄く良いところで。そういう街の外観のテーマはみんなに伝えてはあったんです。

-『PORTAL』で描いた街はGalileo Galileiにとって"楽園"なのでしょうか。

雄貴:俺らにとってどういう街かっていうのは、よく分かってないんですけど......。今までみたいに歌詞に頼った作品にはしてないです。歌詞がいいものであるのは俺の中で絶対なんですけど、そこに頼らないっていうメンバーからの気持ちがビンビンに伝わってきたんで。

-歌詞とサウンドがお互いを支えあっているアレンジだと思います。「Imaginary Friends」はさよならポニーテールのみぃなさんが参加してらっしゃってて。和樹さんがさよポニのファンだそうですね。

和樹:俺も何で見つけたのか憶えてないくらい偶然曲を見つけて"あれ?良くね?"って思ったんですけど、女の子チックな感じは他のメンバーあんまり好きじゃないかなって勝手に思って。これは俺の中だけのアーティストにしとこうと。

雄貴:携帯にこそこそさよポニのシール貼ったりしてて"これ何よ?"っつったら"別にいいじゃん"って感じなんすよ。和樹はアニメとか大好きなんで、最初漫画とかなのかなって思ってたんですけど、さよポニってアーティストだというのを野口くんから聞いて。野口くんはさよポニの曲が好きで、和樹と野口くんにはさよポニ・ブームがあったんです。で、俺もさよポニを聴いたんですが、想像してた曲と全然違って。Cymbalsやキリンジみたいな熟練された作曲力を感じたんですよ。曲がめちゃくちゃ良くて、声もすーっと入ってきて。和樹に"いいじゃん!"って言ったら"でしょ?"って。

-みぃなさんの声の透明感と水彩画のような柔らかい楽曲がバッチリ合ってますよね。

雄貴:もともとガリレオ自体、ツイン・ヴォーカルにしたり、男女のコーラスとかヴォーカルのコラボレーションも凄い好きで。70年代や80年代の男女のポップ・デュオに憧れもあったんで、今までのアルバムにもちょいちょい登場させたりしてたんですけど。今回もアルバムでそういう曲が出来ちゃったんで"これは女の人の声が必要だ!"ってスタッフの人に頼んだら、みぃなさんから"大丈夫です"ってお返事をもらって。僕らが作った楽曲データを送って、それにヴォーカルを入れてもらって。そのヴォーカル素材も何個かもらって、それを自分たちでミックスして。自分の声じゃないもの、自分たち以外のミュージシャンの音っていうのを今回初めて編集したんですけど、ちょっと恥ずかしかったよね(笑)。

佐孝:(笑)。

雄貴:ブレスとかも入ってるし、なんか悪い気がして......。ミックスをやり始めたこの時期にそういう経験が出来たのも良かったです。実際いいコーラス・ワークをしてもらったんで、いいコラボレーションになったと思います。

-今作にはいろんな初体験が凝縮されていますが、挑戦は尽きませんね。

雄貴:宅録だったり、自分たちのミックスはずっと続けていきたいと思ってて。で、なおかつ自分たちが音楽をやっていくことによって......歴史のひとつになりたいなと思ってて。音楽史に残る、とかそういうことじゃなくて。いま俺らが見たり聴いている作品って、ルーツを明確に、自分たちで赤裸々に語っちゃってるアーティストなんですよね。そういうところに凄く憧れるし、自分たちに合ってると思うんです。もともとが自分たちの好きなアーティストのルーツを聴いて"これめっちゃいいじゃん!こういう繋がりがあるんだ"っていうのを知って興奮するタイプだったんで。Galileo Galileiというバンドがそういうものの一部になれるバンドで、そのルーツの根をちゃんと伸ばしていきたいというか。