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INTERVIEW

Japanese

キリンジ

2010年09月号掲載

キリンジ

Member:堀込泰行:(Vo&Gt) 堀込高樹:(Gt&Vo)

Interviewer:道明 利友


-僕は、完全に大人だと思ってました(笑)。滑り台、逆上がり、っていうフレーズからすると、真夜中の公園で大人が遊んでたり、たたずんで夜空を見上げてたりとか……。

泰行:(笑)それもまたナンセンスでいいなとは思ったんです。大人とか子供とか、限定しないようにしようと思って。で……。暴走族とかが遠くで騒いでて、みたいな。自分が子供のころの田舎の風景というかね、そういう日本的な情緒を感じる情景を思い浮かべられるようなものにしたりとかっていうところで、この曲は世界観を作っていきましたね。

-キリンジが描く曲って、情景は具体的なようで、かつ、空想的でもあるというか……。なんか、童話的な雰囲気をちょっと感じたりもするんですよね。童話的な物語から、ものすごく生々しい現実的な感情が伝わってきたりするのが面白いなって。

泰行:そうかもしれませんね。ちょっと現実離れした瞬間、例えば、さっきおっしゃってた、夜の空の月を見上げてたりするような情景を描くことは多いかもしれないですね。あとは、夕暮れと朝焼けの風景とか……。それって、太陽の方向が違うだけでじつはすごい似てるとか、ちょっと現実離れした瞬間の現実っていうか。僕らが実際に暮らしている中でそういう景色に遭遇したときの気分を歌うことは、たしかに多いかもしれない。

-「小さなおとなたち」も、空想的なんだけど、現実感がすごく漂ってる気がしました。

高樹:元々は、なんかヨーロッパっぽいメロディーの曲を作ってて……。でも、ラブソングっていう感じではあんまりないし、何かを声高に主張するっていう曲調でもなかったから、何か面白いものはないかなって考えてたところで、“観覧車”っていうモチーフがちょっと面白いかなと思ったんですよね。遊園地の他のアトラクションに比べて、なんかちょっとノスタルジックな雰囲気があると思うんですよ、観覧車って。

-あぁ、なるほど。最新のジェットコースターとかと比べたら、たしかに。

高樹:そう。そういうの乗ったあとに最後に乗るか、っていう感じでしょ。そういうイメージもあるし、あと……。高いところから低いところに行くっていうだけで、なんか世界が変わりますから。要するに、地上の目線と高いところの目線と、両方味わえるわけで。そうすると、歌詞を書くにおいても、なんかこう……。立ち位置が違うだけで目線が広がるんで、わりと面白いかもと思って。

-観覧車に乗って、ゆっくり上に昇っていって街の景色を見渡したかと思ったら……。

高樹:そう。目線が違うでしょ、それって。上に昇ったかと思ったら、また地上に降りてきて……。たかが10何分ぐらいとかですけど、現実からちょっと逃避してまた戻ってくるみたいな感じがして、なんかちょっといいかなって思ったんですね。この曲自体わりと展開に起伏があると思うんで、その展開が、現実から離れて、空想ではないけど、ちょっと景色がいいものを見てまた現実に戻るっていう歌詞の展開ともマッチして。あの後半の展開は、歌詞が出来る前からあったんですよね。その形式にマッチさせるためには、どこかに行ってまた帰ってくるっていう表現があったほうがいいだろうっていうことで、こういう歌詞になったんじゃないかな。

-“現実から離れて”っていうのは、『空飛ぶ深海魚』の泰行さんの話にも繋がりますね。観覧車に乗って、地上から上空に行って戻ってきたら景色が変わって、っていう……。上空にいるときだけ普段見ている現実からちょっと離れてる、みたいなイメージはなんかわかるような気がします。

高樹:そうなんですよね。あと、時間によっては、さっき昼だったのに降りてきたらもう夜だったみたいなことも、ね。夕暮れどきとかは、あったりしますからね。

泰行:そうですね冬だったら特にそうですね。