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INTERVIEW

Overseas

NADA SURF

 

NADA SURF

Member:Matthew Caws(Vo&Gt)  Ira Elliot(Dr)

Interviewer:佐々木 健治


-アルバム全体のセレクトに関して、「自分達が好きな楽曲をNADA SURF流にアレンジする」ことと「NADA SURFのスタイルに合った良い楽曲を選ぶ」こと。どちらが基準だったと思いますか?

M:アルバム全体では、曲によって両方のやり方を採用しているな。Bill FoxやDwight Twilleyは、本当にNADA SURFがやってもすぐにどうなるかイメージできる曲だったんだ。だけど、Arthur Russellもそうだし、他には例えばKate Bushとかもそうだけど、どうなるのか分からないけれど、いいものになると信じてやれば必ずうまくいくと思ってやってみたんだよね。

-そういう意味では、DEPECHE MODEなんかは最も原曲と違う仕上がりになっているカヴァーの一つだと思いますが。

I:そうだな。DEPECHE MODEに関しては、自分の側に引きずり込むという作業だったな。曲をアレンジして、カヴァーするという過程において、今回一番楽しかったよ。他のアーティストも結構カヴァーされている曲だけど、どのカヴァーも原曲に忠実なものが多いからね。一つくらい違うものがあってもいいんじゃないかなと思ったんだ。

-僕もこのオリジナル曲が凄く好きなので、驚いたんですよね。こんなにポップな雰囲気の違う曲になるんだなと。

M:そう。コードを入れ替えるだけで随分印象が違うんだよね(笑)。

-では、アルバムの冒頭を飾るBill Foxの「Electrocution」。凄くポップなナンバーですが、このBill Foxという人は、日本ではほとんど知られていないアーティストですが。

I:いや、アメリカでも誰も知らないよ(笑)。Bill Foxにはもともと興味を持っていたんだ。彼はアルバムを2枚しか出していないんだけど、一生懸命探してもなかなか見つからなくてね。インターネットを探してみてもほとんど情報が出ていないんだよ。あえて取材も受けないし、自分が前に出ないというスタンスの人のようなんだけどね。ようやく、『I Stayed Up All Night Listening To Records』というコンピにこの曲が入っているのを見つけてね。凄く綺麗な曲だと思ってはまったんだ。原曲は本当にミニマルで、THE WHOのデモみたいな、アコギがメインの本当にミニマルな曲なんだよ。

-じゃあ、すぐにカヴァーのイメージはできたんですね。

M:うん。すぐにイメージできたし、原曲がフル・バンドでやったものではないから、自分達で普通に演奏するだけで違うものになるからね。

-では、SPOONの「The Agony Of Laffitte」は、SPOONがElektra Recordsから契約を切られた後に出したシングルですよね。そういう意味では、Elektra Recordsで同じような境遇にあったあなた方が取り上げるのは共感する部分があったんですか?

M:Danielが提案した曲なんだけどね。実はこの曲はSPOONのドラマーJim Enoのスタジオで録ったんだ。そう言う意味でも、SPOON繋がりだね。SPOONも僕達と同じような時期に、同じような経験をしているからね。本当に根は会社員なんだけど、本当の友人だと信じ込ませて僕達を抱え込もうとする人達が実際にいたんだ。物事がうまくいかなかったら、友情がそこで簡単に終ってしまうような人達だね。僕達もElektra Recordsにいた時は、担当のところに遊びにいけば、ファースト・アルバムが一番前に飾ってあったりする。だけど、多分他のアーティストが来た時には、そのアルバムが一番前に来るんだよ(苦笑)。僕はその人のことを信じていた分、傷ついてしまった。もちろん、そんな人達ばかりじゃないよ。でも、たまたまNADA SURFもSPOONもElektra Recordsで同じような経験をしたってわけさ。でも、SPOONがElektra Recordsと契約したのは20代前半で、僕達は27歳の時に契約をした。それに、僕達はニューヨークに住んでいたからね。ちょっと事情が違うところもあるからね。僕達は、Elektra Recordsとはちょっと合わないかもしれないと思っていた上で、とりあえず乗ってみるかって感じで。ジェットコースターみたいな状況が起こるのは、想像できていたんだ。

I:そう。僕達がElektra Recordsを利用してやったのさ(笑)。

M:(笑)契約したことは全く後悔していないんだよ。Elektra Recordsと契約したことで、自分達の名前が世に出るきっかけになったのは確かなわけだから。僕達はこの曲を書いたSPOONほどの痛手は負っていないけれど、この曲をカヴァーするのは面白かったよ(笑)。