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Japanese

SIX LOUNGE

2018年05月号掲載

SIX LOUNGE

メンバー:ヤマグチユウモリ(Gt/Vo) ナガマツシンタロウ(Dr) イワオリク(Ba)
インタビュアー:蜂須賀 ちなみ
 

2012年、ヤマグチユウモリ(Gt/Vo)とナガマツシンタロウ(Dr)を中心に結成。そして2015年にはイワオリク(Ba)が加入し、現体制に――
 
大分発の日本語ロックンロール・バンド、SIX LOUNGEがメジャーからリリースをする。このバンドの持つ大きな武器は、大きく分けると3つある。まずは、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTやBLANKEY JET CITYに通ずる、武骨だがロマンチックな3ピースの爆発力。続いて、暴れ馬のようなバンド・サウンドの手綱をしっかりと握ってみせる、ハイもローもしっかり鳴らすヤマグチの圧倒的な歌唱力。そして極めつけは、シンプルながらもどこか郷愁的なソングライティングであろう(ほとんどの楽曲でナガマツが作詞、ヤマグチが作曲を担当している)。言ってしまえば、王道のロックンロール。しかし、この"王道"をカッコ良く鳴らすことは誰にでも簡単にできるようなことではないのだ、ということは特筆しておきたい。また、20代前半である彼ら特有の泥臭さと衝動が表れたライヴ・パフォーマンスの評価も高く、大型フェスやバンドマン主催のイベントなどに呼ばれる機会も増えてきていたところ。そのため、この"SIX LOUNGE"というバンド名をここ1~2年でよく見掛けるようになったと感じている人も多いのではないだろうか。ライヴの様子に関しては、今作の初回盤に付属されるライヴDVD(ソールド・アウトした昨年末の渋谷CLUB QUATTROワンマン[ONE MAN LIVE "LOVE"]から計21曲を収録!)でぜひ確認していただければと思う。さらに、今年5月からは全国18ヶ所を回るツアー[SIX LOUNGE TOUR 2018"夢うつつ"]が開催されるためこちらも要チェックだ。
 
My Hair is Badを輩出したレーベル"THE NINTH APOLLO"から"UNIVERSAL MUSIC"に籍を移したSIX LOUNGE。移籍第1作目であるミニ・アルバム『夢うつつ』が4月25日にリリースされた。つまりこの『夢うつつ』は、いわゆるメジャー第1弾作品だということ。しかし――
 
"アルバムを作ることを決めないまま曲を作っていたので、結果的にその曲がいい感じにまとまってアルバムになったという感じです"(ヤマグチ)
"ユウモリの曲を受けて、それに詞を乗せていくという意味では、いつもと同じでした"(ナガマツ)
 
と本人たちもコメントしているとおり、そのことはそれほど意識されず、いつもどおりのニュートラルなテンションで制作は行われたという。逆に言うと、だからこその挑戦も詰まっている作品とも言えるのかもしれない。1曲目は「くだらない」。ヤマグチの歌がまっさらな状態で曝される最初の5秒間といい、全員でガシガシ鳴らすサビから始まる構成といい、冒頭からこのバンドの魅力がギュッと詰まっている感じがある。が、Aメロの柔らかな雰囲気はかなり新鮮。特に、声を張り上げることはあえてせず、低音域をゆらゆらと行き来するようなタイプのヴォーカルは今までになかったのでは。

"「くだらない」を歌うのに本当に苦労して、途中で「もうこれでいいや」ってなりかけたんですけど、周りから「まぁまぁ」ってなだめられて。暗い部屋にひとり閉じこもって、感情を作って、絞り出すように歌った感じです。100回以上歌ったと思います"(ヤマグチ)
 
そんな苦労の甲斐もあり、聴き手の胸をギュッと締めつけるような切なさがこの曲には宿っている。派手にドカーンといくタイプの曲では決してないが、バンドが元来持つ魅力を凝縮した1曲と言えるだろう。ちなみに、歌詞の中に"革命"というフレーズが登場するが、それはシーンをひっくり返してやろう的なテンションで歌われている言葉ではない。
 
"そもそもみんながよく使う「革命」って何? ってことがあって。自分たちとは遠い世界の出来事でもあり、かといってまったく関係のないことでもない、という感じですかね。この革命という言葉で具体的に何かを表したつもりはないです"(ナガマツ)
"曲は壮大なんですが、歌っていることはごく近い範囲でのことというギャップがいいな、と思います。リード曲になったのは、3人で話したときになんとなく決まりましたが、しっくりきたし、詞も合わせて今のSIX LOUNGEっぽいかなって"(ヤマグチ)
 
2曲目「STARSHIP」は、昨年9月にリリースしたircleとのスプリット盤『地獄盤』からの再収録。メジャー・コードの明るい響きに乗せて"I LOVE YOU"を叫ぶ同曲と、そのあとに続く「ZERO」のマイナー・コードの響きが好対照になっているのも興味深い。そこから間をほとんど空けることなく始まるのは「LULU」。

"「LULU」ではやりたいドラム・パターンがあって、それをもとに曲を作っていって、結構すぐにできました"(ナガマツ)
 
この曲が唯一スタジオでのジャム・セッション中に生まれた曲らしく、ひと際ライヴ感の溢れるテイクからはその片鱗を読み取ることができる。一転、5曲目「SUMMER PIXY LADY」はさらりとした後味に。
 
"『東雲』ってアルバム(2016年にリリースした1stフル・アルバム)に収録した「青い春」という曲も近い感じです。Cymbalsをよく聴いていたので、そのあたりの影響はあるかもしれません"(ヤマグチ)
 
とのことだが、"セミの耳鳴りと夕焼けの匂い"、"溶けたシロップの火薬の匂い"などの季節感のある描写、うっすらと重ねられている女声コーラスの存在によって、より洗練された仕上がりが実現しているように思える。そして"どうしても/ダウナーな/この夜の/主役は誰だ"と歌う「ORANGE」を経て、ラストの「SWEET LITTLE SISTER」へ。この曲はイワオが作曲を担当。ヤマグチからの"なんか曲ない?"という問い掛けに対して、イワオが持ってきた曲なのだという。
 
"自分がやりたい音楽を作るのに、自分が好きな音楽の様々な要素を詰め込みすぎて、とっ散らかっちゃって(笑)。最終的にはメンバーの意見も貰って、いい感じになりました"(イワオ)
 
とのことだが、"やりたいことはとりあえず詰め込む"という彼のやり方はナガマツやヤマグチにも影響を与えたよう。
 

ライヴハウスのお客さんに一番カッコいいと思ってもらえるバンドに


 

"普段からやりたいフレーズがいろいろあって、それを詰め込んだら、メンバーが最後うまくまとめてくれて、結果オーライっていう感じです"(イワオ)
"俺には書けない曲っすね。自分が作るとメジャーからマイナー・コードにいきたがるんです"(ヤマグチ)
 
その結果、ロックンロール・バンドにとって最も大切であるピュアな衝動がそのまんま表れたような1曲が完成した。ここまでの全7曲、全体的に"夜"をモチーフにした曲が多い印象だが、そのあたりに関しては――
 
"あまり意識していないですけど、普段、あまり昼は外に出歩かないので、そういう影響があるのだと思います"(ナガマツ)
 
とのことで、もしかしたら彼らの住む大分という街の空気がそのソングライティングに無意識のうちに影響を与えているのかもしれない。最後に、今作のリリースでもっていよいよメジャー・フィールドへ繰り出すこととなる3人に、今後の展望を訊いてみた。
 
"続けていきます!"(ヤマグチ)
"大それた目標は特にないです"(ナガマツ)
"ライヴハウスのお客さんに一番カッコいいと思ってもらえるバンドになれるよう、頑張ります!"(イワオ)
 
そう、別にここから何かが大きく変わるわけではない。ただひたすらカッコよくありたいがために、SIX LOUNGEはこれからも鳴らし続ける。純度の高いロックンロールだからこそ、聴き手の胸を最高速度で撃ち抜くことができるのだ。

 

▼リリース情報
SIX LOUNGE
ニュー・ミニ・アルバム
『夢うつつ』

【初回盤】CD+DVD
UPCH-7407/¥2,750(税別)
amazon TOWER RECORDS HMV
 

【通常盤】CD
UPCH-2158/¥1,800(税別)
amazon TOWER RECORDS HMV
[ZEN MUSIC]
2018.04.25 ON SALE

1. くだらない
2. STARSHIP
3. ZERO
4. LULU
5. SUMMER PIXY LADY
6. ORANGE
7. SWEET LITTLE SISTER

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