Overseas
ANIMAL COLLECTIVE
2016年02月号掲載
Writer 山口 智男
なんだか、"新たなスタートを印象づける作品"だとか、"キャリアの大きな節目になる作品"だとか、アルバムをリリースするたび言われているような気がするANIMAL COLLECTIVE。もちろん、それは彼らが毎回、意欲的にアルバム作りに取り組んでいるからこそなのだが、昔からのファンを驚かせた前作『Centipede Hz』(2012年リリース)から3年半ぶりにリリースする今回の『Painting With』はキャッチコピーの常套句ではなく、本当にANIMAL COLLECTIVEにとって大きなターニングポイントになる作品かもしれない。それは、ある意味、リスナーを選んでいたようなところがあった彼らがより多くのリスナーに聴いてもらえるようになるという意味で――。
結成から約20年。作品ごとに参加メンバーの顔ぶれが変わる"コレクティヴ=集団"として、現代のサイケデリック・ミュージックを追求してきたANIMAL COLLECTIVE。アルバムを重ねるうちに彼らの活動はサイケデリックという言葉に収斂していったが、エレクトロニックだったりフォークだったり、サンプリングを使ったりバンド・サウンドだったり、アヴァンギャルドだったりポップだったりと、毎回、作風を変える活動は、いわゆるポップスやロック・バンドの作品に慣れ親しんでいるリスナーには、実態というか正体が掴みづらいという意味で、とっつきづらいものだった。
そのANIMAL COLLECTIVEが今回、『Painting With』で目指したのは"短いポップ・ソング、無駄は一切ナシ、素材を入れたら出す、そんな感じの音"というんだから面白い。その結果、『Painting With』にはいきなりTHE BEACH BOYS風の美しいハーモニーでうっとりと酔わせるANIMAL COLLECTIVE流のサンシャイン・ポップなんて言えそうなTrack.1「FloriDada」(というタイトルはフロリダ+ダダイズム?)以下、持ち前のポップ・センスをこれまで以上にわかりやすい形でアピールする全12曲が収められている。もっとも、そこはエクスペリメンタルであることを是とするANIMAL COLLECTIVEだ。わかりやすいとは言っても、ほぼシンセとビートだけで作った極々ミニマルなトラックは時折、カオスを孕むところも含め、かなり刺激的だ。しかし、そんなトラックの上で以前からANIMAL COLLECTIVEの魅力のひとつであった複雑なハーモニー・ワークを聴かせる今回はポップ・ソングを作ることに加え、ANIMAL COLLECTIVE流のヴォーカル・アルバムを作ろうとしたようにも思える。
いわゆる歌モノとして楽しんだらこれほどわかりやすいアルバムもない。なんだかんだ言って、誰が聴いても親しみが持てるのはやはり人の肉声だ。もちろん声質の好き嫌いはあるが、朗々とした歌声を重ねる彼らの美しいハーモニーを好きじゃないと感じるリスナーはまずいないはず。前述した「FloriDada」を始め、『Revolver』(1966年リリースの7thアルバム)期のTHE BEATLESを連想させる「The Burglars」(Track.5)、アップテンポのダンス・ナンバーの「Natural Selection」(Track.6)、ピアノ・ポップの「Spilling Guts」(Track.9)、思わず普通のポップ・ソングと言ってしまいたくなる「Golden Gal」(Track.11)など、ポップ・ソングを作るという試みが見事、成功した曲の数々は、作品全体に横溢する高揚感、酩酊感、多幸感とともに、これまでとは違うリスナーからも歓迎されるに違いない。THE BEACH BOYSやTHE BEATLESといったANIMAL COLLECTIVEのルーツであるバンドに、彼らの音楽を通してさらに距離を縮められたことで、正体が掴みづらかったANIMAL COLLECTIVE自身にもぐっと近づけたようなところがいい。
このご時世、こういう例えもどうかと思うが、前作がバッド・トリップを究めた作品なら今回はグッド・トリップを究めたと言えるかもしれない。同じメロディを奏でるシンセとハーモニーが転調を繰り返す「Bagels In Kiev」(Track.7)の、まるで昇天するような心地良さは格別だ。
ANIMAL COLLECTIVE
11thアルバム
『Painting With』
![]()
2016.2.19 ON SALE
HSE-1052 ¥2,400(税別)
[Hostess]
amazon | TOWER RECORDS | HMV
1. FloriDada
2. Hocus Pocus
3. Vertical
4. Lying In The Grass
5. The Burglars
6. Natural Selection
7. Bagels In Kiev
8. On Delay
9. Spilling Guts
10. Summing The Wretch
11. Golden Gal
12. Recycling
13. Michael, Remember ※ボーナス・トラック
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