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DISC REVIEW

Japanese

2025年02月号掲載

合歓る - walls

前後編に分かれた約3年ぶりとなるアルバムの前編『合歓る - walls』は、静謐な煌めきを纏ったポップ・ソングが、過去と現在の情景をシームレスに繋ぐように鳴り響いている。駅構内の環境音とスキャットで幕を開ける「5-10-15 I swallowed|夢みる手前」に続き、「Sleeping pills|眠り薬」のビデオを巻き戻す音、「深呼吸=time machine」の終わりでは学校の風景を想起する声が録音される等、いつかどこかで聞いたことのある音は聴き手をあらゆる記憶の中へと誘っていく。"君"と過ごした大切な時間に想いを馳せ、後悔と歓喜で満ちた思い出にふけるような「渚で会いましょう|on the beach」で、"合歓る"時間がひとたびエンドロールを迎える本作。確かな感触だけが残る、愛すべき音がここには存る。(山本 剛久之)