Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

MENU

DISC REVIEW

Overseas

Mount Wittenberg Orca

DIRTY PROJECTORS+BJöRK

『Mount Wittenberg Orca』

Release Date : 2011-11-23
Label : ホステス

特設サイトにてデジタル配信のみでリリースされていたアルバムが完全生産限定で待望のCD化。DIRTY PROJECTORSとしては2009年の『Bitte Orca』以来のリリースとなる。Björkを招いて制作された今作だが、楽曲は全てリーダーのDave Longstrethが手掛けたものだ。ドラムとギターが一切使用されていない楽曲群を彩るのは、圧倒的なヴォーカル・ハーモニー。感情を揺さぶるBjörkの歌声と甘く優しいDaveの歌声、妖精のように無邪気で煌びやかな女性メンバーのコーラス。肉声だからこそ出せるしなやかさとアンサンブルは、シンプルで力強く、一点の曇りも無い純粋さに溢れている。Daveのハーモニーへの探究心の結晶と言うべきだろう。前人未踏のファンタジーがここにある。(沖 さやこ)


Related DISC REVIEW

Fossora

10作目のアルバムでBjörkが示したのは、母なる自然に溶け込むような透明感、そしてパワフルな生命力を感じさせるサウンドだ。幸福感や不安な気持ちなど様々な感情を呼び起こす多彩なコーラスのハーモニー、そして大地への畏敬と共に人の営みにも優しい眼差しを向ける美しく調和した電子音、厳かな響きのアイスランド語、管楽器の楽し気な音が散りばめられた楽曲、舞台演出のように示唆的に鳴るストリングスの響き。ミュージカルみたいにシアトリカルでありながら、答えのないアブストラクティヴな今作は、まさに彼女の神秘性と独創性がひとつの空間に結実したような作品だ。複雑で厄介なこの時代に、プリミティヴな生命の賛歌を紡ぎ、ひとつの表現として世に生み出したBjörkの偉大さを感じる。(山本 真由)


Utopia

Björkは今作について英国の新聞"The Guardian"紙で、自身が考えるユートピアとは"環境破壊の末に生まれた、新たな生命に満ち溢れた島なのかもしれない"と語っており、ジャケットなどのアート・ワークに関してはその言説も腑に落ちる。アーティスト写真も示唆しているように、素朴な笛から、オーケストラでのフルートのアンサンブル、鳥の鳴き声のようなSEなど、声に近い呼吸から生まれる音が印象的だ。今回もトラック・メイキングのほとんどを手掛けたARCAのサウンドは、人間の肉体の躍動や軋轢を音やビートに変換してるようで、そのアブストラクトな質感とヴァーチャルな自然の質感が融合したサウンド・デザインは幸福なだけではない。聴感は明るいがBjörkが描く未来は一筋縄でいかない。(石角 友香)


Mount Wittenberg Orca

特設サイトにてデジタル配信のみでリリースされていたアルバムが完全生産限定で待望のCD化。DIRTY PROJECTORSとしては2009年の『Bitte Orca』以来のリリースとなる。Björkを招いて制作された今作だが、楽曲は全てリーダーのDave Longstrethが手掛けたものだ。ドラムとギターが一切使用されていない楽曲群を彩るのは、圧倒的なヴォーカル・ハーモニー。感情を揺さぶるBjörkの歌声と甘く優しいDaveの歌声、妖精のように無邪気で煌びやかな女性メンバーのコーラス。肉声だからこそ出せるしなやかさとアンサンブルは、シンプルで力強く、一点の曇りも無い純粋さに溢れている。Daveのハーモニーへの探究心の結晶と言うべきだろう。前人未踏のファンタジーがここにある。(沖 さやこ)


Lamp Lit Prose

メンバーとの別離で失意の色が濃かったセルフ・タイトルの前作から一転、Dave Longstreth(Vo/Gt)、および現在を生き抜く再生のパワーを実感させる新作。音数を少なく、印象的なサウンドで構築するサウンド・プロダクションはこれまでの手法を踏襲しつつ、今作の鍵はギター、ホーン、そしてDaveの優しくもアップリフティングな声だ。Syd Tha Kyd(THE INTERNET)の声も印象的な、ウォームなソウルがオーガニックに響く「Right Now」、FLEET FOXESのRobin Pecknold、元VAMPIRE WEEKENDのRostam Batmanglijが参加し、3声のテノールが醸し出すハーモニーが緊張を解く「You're The One」など、光に満ち溢れた仕上がりに。丁寧な音の構築がその明るさに真実味を添え、深い感銘を受ける。(石角 友香)