Japanese
GOOD ON THE REEL
Skream! マガジン 2022年10月号掲載
2022.09.04 @新宿BLAZE
Writer 藤坂 綾 Photo by 福政良治
8月31日に5枚目のオリジナル・フル・アルバムとなる『P.S. モノローグ』をリリースしたGOOD ON THE REEL。P.S.とは"追伸"のことで、それは手紙の最後などによく書かれる何気ないひと言だったりする。でもその何気ないひと言に、実はとても大切な想いやリアルな感情が隠されていたりして、"P.S."とはものすごく重要で大事なもののような気がしている。そしてモノローグとは"ひとり語り"、"独白"心情の吐露という意味。つまりは今の想いを包み隠さず表現したという意味を持つアルバムを引っ提げてのツアーが、9月4日、新宿BLAZEからスタートした。ツアー・タイトルは[HAVE A "GOOD" NIGHT vol.112-119 ~P.S. ダイアローグ~]。ちなみにダイアローグとは、モノローグの対義語で"対話"という意味を持つ。
会場が暗くなり、メンバーが登場。ツアー・タオルを両手に掲げたヴォーカルの千野隆尋が最後に登場すると、"こんばんは。GOOD ON THE REELです"のひと言でライヴはスタートした。『P.S. モノローグ』からはもちろんのこと、ライヴではおなじみの曲も交えながら進んでいくなか、時に頭をかきむしり、時にシャツの胸を激しくつかみ、もがいて、あがいて、ステージ上から客席へと手を伸ばす千野。そして、その手をつかむかのように手を伸ばすオーディエンス。それはまさに対話をしているかのような光景で、それが続けば続くほど、徐々に気持ちがほぐれていくかのような表情を見せるメンバーと、満面の笑みの千野が印象的だ。
中盤では簡単なメンバー紹介とゆるいMCを挟み、ドラマチックな盛り上がりを見せていく。繊細で、それでいて力強い千野のヴォーカル、高橋誠のドラムのビート、宇佐美友啓の骨太なベース、岡﨑広平とサポートの坂本夏樹のギター・アンサンブルが、様々な表情を見せる楽曲をさらに豊かにし、感情を激しく揺さぶる。どんな感情もあらわにするというのはそれなりに痛みもともなうが、まるで彼らの物語の中へ入っていくような感覚もあり、妙に心地よい。
"今回のアルバムを聴いてくれた人はわかってくれたかもしれないけど、流行り廃りとかは関係なく、ジャンルの分別も関係ない。ただ、GOOD ON THE REELを届けたいという想いで作ったので、何度も聴いてください。どうぞよろしく"。不器用で、でもそれ以上の誠実さを感じる千野のMCからライヴは後半戦へと突入。ステージ上は艶やかな赤い照明に照らされ、濃密さを増していく。
"ここにいるひとりひとりは、あなたらしく生きていってください。ここでこうやって向かい合ってダイアローグ、対話してるからこそ俺はそう言える。これからも俺らはGOOD ON THE REELらしくやっていくから、またライヴハウスで会おうね。ありがとうございました"と、アルバム・ラストの曲「0」を披露。自身とオーディエンスを受け入れ、認めるかのように両手を大きく広げ、ひと言ひと言を丁寧に歌い、本編を終えた。
楽曲がライヴで変化していくように、人の想いが日々変わっていくように、この日ここで交わされた"対話"のかたちもまたどんどん変わっていくのだろう。だからこそ、GOOD ON THE REELはGOOD ON THE REELらしくいるのだろうし、"あなたはあなたらしくいてください"と千野は言った。いずれかたちは変わっても、"らしく"あればこの日のようにまた交差する日がやってくる。対話できる日がやってくる。それは決してありきたりな対話ではなく、言葉を超えた心と心のやりとり、この日GOOD ON THE REELが見せてくれたものだ。これがリアルな対話であり、希望なんだ。
この『P.S. モノローグ』から始まったダイアローグは、これからどんなかたちへと変わり、どんな終焉を迎えるのだろうか――その広がっていく景色と想いを想像しながら、また会える未来を楽しみにしている。
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