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LIVE REPORT

Japanese

GOOD ON THE REEL

Skream! マガジン 2020年09月号掲載

Writer 三木 あゆみ

最先端のVFX技術と音楽ライヴ・パフォーマンスの融合を楽しむことができる最新ライヴ配信コンテンツ"LIVE-X"。その第1弾出演アーティストとしてGOOD ON THE REELが登場した。"3DCGバーチャル撮影"を駆使した背景と彼らの音楽によって織りなされる、まさに"新感覚"な配信ライヴが8月16日に行われた。

開演時間、画面に表示されたカウントダウンが0となり幕を明けると、宇宙映画のようなオープニング・クロールが流れ始めた。"西暦20XX年、現在の世界とは時空が違うもう一つの世界(パラレルワールド)では、世界人口増加や感染症の拡大により人間はすでにスペースコロニーに移住していた"――今回彼らがライヴを行うのは宇宙空間に作られた人工の居住地"スペースコロニー"のライヴ・スペース"LIVE-X"。その建物に吸い込まれるように映像が流れ、古代ギリシャ・ローマの神殿にSF要素が加わったような幻想的なステージに立つ、GOOD ON THE REELの5人が現れた。


1曲目に披露されたのは「コトノトコ」。今回のセットリストは普段とは違うもの、且つ今の状況を踏まえたうえで決めていったそうだが、第一声の"生きてるとは色んなコト"という歌詞には、この時代に重なるものも感じられる。痛みを知る人だからこそ持つ優しさと、なんとも言えない切なさを含む唯一無二の千野隆尋の歌声は、電波を通してもしっかりと心に沁みてくる。続いて、柔らかいギターの音色が降り注ぐ「限りなく透明な」、ひと筋の光が差すような「ハッピーエンド」。だんだんとメンバーの表情もほどけてきて、久しぶりのライヴの感覚を噛みしめているのか、生き生きと演奏している姿も印象的だ。

"いろんな人が新しい「当たり前」を見つけようと日々模索してるんだろうけど、バンドマンももちろんそう。今日はこの新たな挑戦に参加することができて嬉しいです"と千野が話し披露された「手と手」から、5人のいるステージが上昇し、コロニーの街並みと宇宙の星を一望できる開放感溢れる景色に変わる。希望に満ちたバンド・サウンドに思わず手を挙げたくなっていると、コメント欄にも手を挙げる絵文字が流れていて、それぞれの場所でも繋がっているような気持ちになった。そこから、グルーヴィなベースが洒脱な「禁断の果実」、感傷的な情景を描いた「赤いリップ」、軽快なリズムとカラフルなギター・リフに身体が揺れる「君の友達」、ハートウォーミングな「背中合わせ」と、最新EPの楽曲を披露。ツアーが中止になったこともあり、作品をダイレクトに堪能することができたのはファンにとっても嬉しいことだっただろう。


視聴者からのコメントを読むなど、オンラインならではのチャット機能でファンとの交流を経て、至高のラヴ・ソング「四つの手のひら」と「光」へ。真心のこもった彼らの演奏は、よりエモーショナルさが増してきたように感じられる。空がだんだんと暗くなり、濃い藍色に包まれるなか奏でられたのは「So Late Me」。繊細なドラムの響き、煌めくギターの音、しとやかなベース、情感豊かな歌声と、鮮麗な景色とが相まって描かれるサウンドスケープは、息を吞むほど美しかった。"全部がもとの通りになるっていうのは、俺は無理だと思ってます。でも、それは諦めているとかじゃなくて。進むことしかないと思うんだよね"、"新しい「当たり前」を作るのはすごく大変なことだけど、めげずに、互いに歩いて行きましょう"と千野が思いを語り、最後に披露されたのは「銀河鉄道の朝」。この満天の宇宙の星が見える"LIVE-X"でのライヴを締めくくるのにぴったりな曲だ。ラスサビでは、大きな花火が空に打ち上げられ、壮大なクライマックスを迎える。満たされた気分に浸りながら、約90分のライヴは終了した。


[Setlist]
1. コトノトコ
2. 限りなく透明な
3. ハッピーエンド
4. 手と手
5. 禁断の果実
6. 赤いリップ
7. 君の友達
8. 背中合わせ
9. 四つの手のひら
10. 光
11. So Late Me
12. 銀河鉄道の朝

NEXT LIVE INFORMATION
"HOMECOMING LIVE:GOOD ON THE REEL in TSUTAYA O-Crest"

※配信+有観客(ソーシャル・ディスタンス)公演
10月16日(金)渋谷TSUTAYA O-Crest
OPEN 18:30 / START 19:00
アーカイヴ配信:~10月25日(日)23:59まで
チケット情報など詳細はこちら

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