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INTERVIEW

Japanese

Aftertalk

 

Aftertalk

Member:shun nagai(Gt/Vo) 原田 征知(Gt)

Interviewer:山口 哲生

-七夕だったから、"涼月"(=7月)だと。

原田:そうです。この話の象徴的なところがあって、実は最後の歌詞が僕が書いたものと変わってるんですけど、僕は"流れ星落ちる"にしていたんです。なので、コード進行をCからB7に落としていたんですけど、今の"星駆ける夜に"に変わったことで、落ちるのではなく広がっていくイメージになったから、コード進行もCからDに行く形に変えました。そういう歌詞の変更に応じた音楽的なやりとりは今までなかったので面白かったですね。この歌詞だったら絶対にDで終わりたいねって。

shun:そうそう。明るい終わりがいいですよねって。七夕で"流れ星落ちる"だと、なんかちょっとバッド・エンドっぽくなるなと思ったんですよね。それよりもその人のところに行くほうがいいと思って。

原田:七夕の物語って僕にとって悲劇なんですよね。シェイクスピアで言うところの"ロミオとジュリエット"のような感じだと思っているので、僕にとっては落ちるものなんですけど、この解釈がズレるということがやっぱり一緒にやっている面白さだと思うんです。

shun:うん、面白い。

-そこでじゃあどうしようね? というのがバンドとしての表現でしょうし。

原田:そうですね。この曲はいわゆる小曲ですけど、今までやったことのないやり取りをやれたし、そのなかで音楽が変わっていく、景色が変わっていくのを一緒に体感できたのはすごく面白かったです。

shun:さっき「涼月満ちて」はシェイクスピアだって話だったじゃないですか。「開演来たりて、影法師」は"マクベス"なんですよね。マクベスの一節に"人生は歩き回る影法師、哀れな役者だ"という台詞があるんですけど、僕はそれを悲劇的にではなく、だから周りを気にしすぎることなく、自分の好きに生きたっていいんだよっていうことを言いたかったんですけど、意外なところで意外な繋がりあるなって......ちょっと今、学がある感じを出してしまったけど(笑)。

原田:しょうもな! 全然出てないわ!(笑)

shun:ははははは。出てないか(笑)。

-でも、きれいに繋がってますね。

shun:うん。面白いなと思って聞いてました。

原田:普段そこまで話さないですからね。

shun:もっとしょうもないことしか話してないから(笑)。

-(笑)あと、ポップというワードがありましたが、あまりきれいな表現ではないんですけど、ポップなわりにはリズム隊が異常だなと思って。

shun&原田:正しいと思います(笑)。

-そのギャップも面白かったです。サポートの方にはきっちり構築したデモをお渡ししているんですか?

原田:ドラムは結果的にほとんどコピーしてもらってます。

shun:ベースに関しては、僕等の想像の遥か上を行く奥田一馬というヤベぇ奴がいるので(笑)、レコーディングのときは全ベットしてお願いしてますね。

原田:僕、もともとドラマーなので、ドラムに対する意識が普通のギタリストよりも高いタイプの人間なんですけど、自分が叩くのであればこうするっていうのを結構細かく作り込んでしまうので、ドラマーの皆様にはご迷惑を......(苦笑)。

shun:みんな上手だよね。

原田:僕は音楽においてはリズムがとにかく大事で、リズムがその楽曲のジャンルを決めると思っているので、そこはかなりこだわってやっているんですけど、僕としてはコピーしてほしいとは全く思っていなくて。全然フレーズは変えてくれていいし、変えてくれるからこそ頼んでいるところもあるんですけど、それでも細かく作る理由は、このグルーヴはこうなんだよっていうのを明確にするため、よりはっきりとイメージを伝えるためにしているだけなんです。でも、たぶん僕の提示が強すぎて、そうするしかないよねってみんななっちゃうっていうのは結構あるかなと思います。

-アルバムを締めくくるのが「六月某日、晴ラル空」。この曲は先行して発表されていましたが(2024年配信リリース)、そのタイミングでアルバムのことを見据えていたりしたんですか?

原田:作ったときにはなかったと思います。

shun:うん。そうですね。

原田:ただ、今回のテーマを考えたときに、大団円を迎えたい、最後みんなに光が当たって終わりたいとなると、「六月某日、晴ラル空」が最後だろうなというのは、アルバムを作ることになった時点でぼんやりと思ってはいましたね。逆に最後の曲だけは最初に決まってたというか。

shun:満場一致でしたね、この曲が最後だよねっていうのは。

-今回の制作タームの中ではだいぶ早めにできていた曲が、締めに相応しい曲になっていたのもおもしろいなと思ったんですけど。

shun:これはIKRと関わり始めた最初期の曲で、さっき原田さんの言葉にも出てきたんですけど、ライヴハウスしか思い描けない曲じゃなくて、例えば大きなアリーナとか、そういうところでやっている姿を想像できるもの。これが流れてきたら、"今日もいい日だったな"ってみんなが思える大団円を作れるような曲を作ってほしいっていう話があって書いた曲なんですよね。だから、たぶんこれが最初の実験的な曲というか。今までのAftertalkにはそんなにないタイプの曲、且つみんなと1つになれるようなものをすごく思い描いて作ったので、だから作った目的がもうそれだったというか。

-なるほど。そういうことだったんですね。

shun:この曲も作ってからこの1年ぐらいのなかでかなり育っていて。ライヴでやったときにすごくいい反応をしてもらえる曲になったので、アルバムの締めくくりとして今の僕等を表すには、そして聴き手に聴後感が良かったと思ってもらうには、やっぱりこの曲かなと。だから、この曲は本当に掬い上げてくれましたね。僕にとっても光だったっていう、さっきの話に繋がってくる時期に作った曲なので。

原田:イントロ始まったときに金テープ飛び出しそうだもんね。

shun:パーン! って。この曲はデカいところに行くまでずっとやるだろうなって心の中で思ってます。

-ライヴのお話が出ましたけれども、来年1月12日に、主催サーキット・イベント"Aftertalk pre. 「MASHUP FES 2026」"が開催されます。前回の3会場から5会場に規模を拡大して行われますが、このイベントを始めようと思った理由というと?

shun:イベントを始めたのは、それこそさっき話した3年間の休み明けのときで。全ての繋がりがなくなってしまったけど、ちょっとしたきっかけでまた繋がりを作ってくれた人がいたんです。そこからまた少しずつライヴハウスに自分たちという存在が戻ってきたときに、じゃあ、過去に僕等が繋いできた仲間たちと、そこから1年間で繋いできた新しい仲間との絆と全部混ぜ合わせて、僕等のシーンを世の中に刻みつけようぜみたいな。僕等がいいと思っている人たちってこんなにいるんだよというのを知ってもらいたいし、みんなで一気に1ステップ、2ステップ、次のステージに行きたいよねというところから始めたのが、去年の"(Aftertalk pre.)「MASHUP FES」"でした。

-実際に開催してみていかがでした?

shun:めちゃくちゃ大変ではあったんですけど、僕は当日出てくれた全バンドを観たんですよ。で、めちゃくちゃ泣いたんですよね。こんなことを自分で言うのもあれですけど、みんなすごく愛を持って参加してくれていて。呼んでくれて嬉しいということだけじゃなくて、大変だったよねとかいろいろ言ってもらえてすごく嬉しかったのと、みんながめちゃくちゃいいライヴをしていて、これは負けてられないなってすごく思ったんです。だから、大変さよりもこれは続けたいなってすごく思えましたね。まぁ、超大変でしたけど(笑)。

-(笑)間違いなく大変ではありますからね。

shun:みんなすごく快く"出ます!"って言ってくれたので、出演者を呼ぶのにはそんなに苦労しなかったのもすごく嬉しかったです。

原田:出てくれたバンドたちとは当然その後もお付き合いが続いているんですけど、彼等と話していて違うバンドの話題が出たときに"そのバンド、「MASHUP」で観たよ"っていう言葉が自然と出てきたのが、僕はすごく嬉しかったですね。本当にマッシュ・アップできた! と思って。"「MASHUP」で観たよ"っていうたった一言かもしれないけど、その一言に含まれているものってすごく深いと思うんですよ。

shun:それはめっちゃ分かるなぁ。

原田:それはその人が主体的にどこかの会場に行って、観てくれているということであって。しかもその言葉を1人から聞いているんじゃなく、結構いろんな人たちと話している中でも出てくるんです。

shun:うん。あったあった。

原田:それこそが僕等が成し遂げたかったことの1つだったので、ちゃんと届いてるなって思えて、僕はやって良かったなって思いました。

shun:ライヴハウスを行き来していると、みんな通る道が絶対一緒なわけですよ。それで"おぉー! お疲れ!"って何度も言う相手がすごいいっぱいいて。たくさんの会場でやるサーキットって、自分たちが出てちょっとしたら帰っちゃうことも結構多いんですけど、みんながあっちこっちに行って気になるバンドを観ていた姿を見れたのがすごく嬉しくて。この人どんだけ酒飲んでるんだろうなっていうくらい(笑)、各会場で飲んでる人もいたりとか、本当にバンド同士がすごく興味を持って、そして楽しんでくれて、本当にごちゃ混ぜになって1つになれた日だったから、すごく嬉しかったですね。

原田:それはもちろん出演者だけじゃなくて、お客さんたちも同じで。"今度誰々と対バンするんだよ"っていう話をしたときに、"それ、「MASHUP」に出てたバンドだよね?"みたいな言葉が出たりするのが、本当にやった意義があったなって思えたし、今回はより規模も大きくなって、バンドだけじゃなくアイドルさんや弾き語りの方も出たりするので、より大きくマッシュ・アップできたらいいなって思ってます。

shun:みんなを知ってもらえる場にしたいというのが一番なので、それをきっかけにライヴ観に行ったりしてるんですって言われることが一番嬉しいですね。いい人たちしか呼んでないので、ぜひみんなに観てほしいし、できたら出演者の音源やMVを事前に聴いてから遊びに来てほしいなってすごく思います。

原田:名前は知ってるけど繋がりはないみたいなことって結構あるじゃないですか。せっかくこうやって一緒に出ているんだから、そういうところでバンバン繋がってもらってほしいし。とにかくみんなにマッシュ・アップしてもらいたいです。

-そちらも楽しみにしつつ、『Freak Show』はバンドにとってブレイクスルーな1枚になったと思うんですが、さらに創作意欲が掻き立てられたりしています?

shun:そうですね。状況も含めてなんですけど、来年についても、その次についても今から動き出そうという話はたくさんしていて。じゃあ次はこういう感じで曲を書いてみようとか、すでに進んでいるものもあるので、ぜひこれからのAftertalkも楽しみにしてほしいなと思っています。