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INTERVIEW

Japanese

WtB

2025年06月号掲載

WtB

Member:ehi(Vo/Gt) Nao★(Vo/Ba) mie(Dr/Cho)

Interviewer:フジジュン

-アルバム・タイトルになった「years」は特に今作を象徴する曲になっているし、歌も演奏も気持ちがこもってて、心に刺さる曲になりましたし。「おにぎり」や「yardbirds」といったアルバムに向けて配信リリースされた曲も、新鮮ですごく良かったです。

ehi:「years」はこのアルバムの推し曲になりましたし、「yardbirds」はチャレンジというか、うちらっぽくない色を出せたと思ってて。20年やってきてどパンクな曲もあるけど、今これができるって自慢してもいいんちゃう? と考えてます。ストレートな歌詞なんで照れくさい部分も若干ありつつ、うちらがやるとうちらの色に染まったストレート感が出るかな? というのがあったんですよ。mieちゃんが"今のWtBで、このストレートで分かりやすい歌詞っていうのが逆にすごくいいと思います"って、すごく推してくれたのもあって、この曲を入れようと決意したんです。

mie:ehiちゃんはストレートなことを歌詞にするのに、薄っぺらくなるんじゃないか? って懸念するところがあるんですけど。前作の『Stories』とか今作とか、よりシンプルに、ストレートになってるのを感じていたし、伝えたいことが分かりやすく歌詞に乗っていて、その変化がすごくいいなと思ってて。20年やってきたehiちゃんの言葉はめちゃくちゃ説得力も重みもあるし、カッコいいと素直に感じたし、見てくれてる人を応援したいという気持ちが表現された曲を私も聴いて元気付けられたし。今、ehiちゃんの中からとってもいいものが生み出されているなって思ったんです。

-なるほど。ehiさんが話していた通り、こうやってmieさんが分析して推してくれるのはすごい励みになるし。昔から客観的に見ていたからこその視点は重要ですね。

ehi:そうなんです。2人だけのときとは違った視点があるから、いろんな意見を聴いたり刺激を貰ったりして、自分なりに消化できてるところがすごくあります。あと、3人がモデルになってる曲っていうのもあって。自分自身を主役として描くんじゃなくて、mieちゃんやNao★氏の私生活を想像して描いた曲もあって(笑)、"こういうことがあって、こんな想いでやってるのかな?"とか、たくさんの人の人生を想像して描くことがあるんですけど。そんな想像をしながら"人生いいことばかりじゃないし、それを背負ってライヴハウスに何かを求めて来てくれてるんだな"って思うと、エモくならざるを得なくて。みんなの大事な時間を貰って聴いてもらってるんだから、倍返ししなきゃというのは常に思ってます。

-改めてになりますが、mieさんはアルバムができた感想はいかがですか?

mie:過密スケジュールの中でたくさん曲を作ってくれて、3人で必死にアレンジして、大変は大変だったんですけど、すごくいいものができたなと思います。あとドラムの話をすると、20年近く、yatchさんからその間のサポート・ドラムの方々が繋げてくれたから、今のWtBで私がドラムを叩けているわけで、私は過去のドラマーさんたちのことがめっちゃ好きだし、尊敬していて。去年やった10時間ライヴで全曲演奏したんで、過去曲も全部演奏した上で新しいアルバムに挑めて、過去のドラマーさんにリスペクトを込めて、それぞれのドラマーさんの手癖やイケてるフレーズとかエッセンスとか、今作にちょっとずつ入れてます。本人が気付いてくれたらいいな(笑)。

-20周年記念作品に過去のメンバーの意思を注いだんですね。今回、アルバムを制作する上で鍵になった曲はありました? 

ehi:私はやっぱり「years」ですね。今の3人の気持ちをしっかり表せた曲になったと思ってるんですが。実はこの曲、10時間ライヴをやり遂げたことで書けた歌詞で。あの日、ライヴ後半は声も出ずに、ヘトヘトになりながらやり切って、最後お客さんと一緒にみんなで泣きながらライヴしてたんですけど。その美しい光景の中で"この瞬間を忘れたくないな"って思ったし、"バンドやってきて良かったな"と大きな感動があったから、これを曲にしたいと思って書いたのが「years」の歌詞で、すごく大事に書きました。

-「years」の歌詞にも"生きゆく証明"と、WtBの普遍的なテーマである"生きるということ"が記されていますが。"生きゆく証明=バンドを続けること、音を鳴らし続けること"といった感じで、"これからもあなたのために音を鳴らし続けていきます"という覚悟を感じました。そして今年は新曲を含めた10時間100曲ライヴをやるんですよね?

ehi:はい。"あの感動をもう一度"という感じで。病みつきになっちゃいました(笑)。大の大人がみんなで熱い涙を流せることってなかなかないですから、それを19周年で経験しちゃったら、20周年はそれ以上のことをやるしかないでしょ!? って。あのみんなのキラキラした涙を見たら、"こんなに自分を奮い立たせてくれる美しいものはないな"と思って、みんなに力を貰ったので、私たちも恩返しをしたいんです。

-mieさんとNao★さんはアルバム楽曲で特に印象的な曲ってありました?

mie:私はやっぱり「yardbirds」ができたとき、かなりシビれましたね!

ehi:あの曲は"いい曲できちゃった"って言って、生で歌って聴かせたんだよね?

mie:そう。それまでは弾き語りのデモを貰って聴いて、自分なりにイメージを膨らませて、アレンジしてという感じだったんですけど、「yardbirds」はスタジオで生で披露してくれて、"めっちゃいいやん!"って。それでその場でセッションみたいな感じで合わせて、初合せの段階からちょっと泣いちゃって、ehiちゃんに"こんないい曲作ってくれてありがとうございます!"って言ったのを覚えてます(笑)。

ehi:そうだそうだ(笑)。あのときはみんなで手を振ってくれてる画が見えて、"夏フェス見えたな!"って3人で言ったもんね? でもたしかにこの曲が作品に深みや重みを与えてくれたっていうのがあるんで、「yardbirds」ができたのも大きかったですね。

Nao★:私はベースの話で言うと、「月光」でかなり新しいことに挑戦して。やってみた結果、レコーディングで"弾けへんやん"みたいになったんですけど(笑)。新たな挑戦になったし、WtBになかった曲になったなと思うので、ぜひ聴いてほしいです。

-レコーディングはどうやって進めていったんですか?

ehi:高崎の大きなスタジオで合宿して、ベーシックを録って、都内に帰ってきてからギターを重ねたり、歌を録ったりという感じでした。

mie:畳の部屋で3人でお布団で寝たのも良かったよね?

ehi:そう。ご飯はマネージャーさんがいて奢ってもらえるときは出前とかいっぱい頼むんですけど、いないときは炊飯器を持ってって"おにぎり"握って食べて節約したり。20年ずっと同じようなことをやってるけど、バンドってこういうことを積み上げて固まっていったりもするから、音を作るだけじゃなくて、そんなバンドマンっぽいことを紡いでいくこともすごく大事だと思うし、それもまた良かったよね?

mie:楽しかったです。Nao★ちゃんの米調整が上手いんですよ! 私、めっちゃ食べるんですけど、Nao★ちゃんは"mieちゃんはこれくらい食べるから"って最初から多めに炊いてくれてて、すごくいいタイミングでちょうどいい量のおにぎりを出してくれるんです。

Nao★:おにぎり作り置きしておいたら知らぬ間にmieちゃんがこっそり食べてて、"あれ、1個減ってる!?"ってなったりね(笑)。

-わはは(笑)。それはバンドマンっぽいエピソードじゃなくて、もはやいいお母さんのエピソードです(笑)!

ehi:みんなが気持ち良く作業できるように、それぞれができることをやって、労わり合いながらレコーディングできたってことです(笑)。

-そして、CDでのリリースというところで、ehiさんがアートワークを手掛けるジャケットやブックレットもすごくいいですね。

ehi:ありがとうございます! デザイナーさんと相談しながら生で描き下ろしました。みんなに手に取ってもらって、歌詞と共に絵も楽しんでほしいです。

-リリース後は、7月5日に新宿LOFTで"ビッチフェス2025"を開催。そして、9月からはアルバムを引っ提げての全国ツアー("years release tour 2025")も予定されています。

ehi:"ビッチフェス"は、いろんな歴史を背負いながらバンドを続けてきた強者たちが集結してくれて、最初から最後まですごく素敵なラインナップのバンドさんが揃ってるので、私たちも負けないライヴを見せたいと思っています。

-まだWtBと出会っていないお客さんや、しばらくライヴに来られていない人にもぜひ遊びに来てほしいですね。

ehi:いや、本当に! 昔の曲ももちろんやってるし、ここから新曲もどんどんやっていくと思うんですけど、ここまでいろんな音楽の転換期があって、それが1つのショーの中で交ざっても違和感なくできていることって、結構奇跡だなと思ってて。昔のWho the Bitchと今のWtBの楽曲が交ざり合っても成立できてるし、自信を持ってステージに立てているんでそれをぜひ観てほしいですし、WtBのライヴを新たに彩ってくれる新曲たちも、皆さんの心にガツンと届けられると思うので、ぜひ遊びに来てほしいです。