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INTERVIEW

Japanese

NANIMONO

 

NANIMONO

Member:ひなたゆま 柊真ミフユ 眠岸ぷりん 47774 遊乃ヲユタ 紫苑りんか 輪廻ねる

Interviewer:宮﨑 大樹


"足りない"人間だから、"足りる"ためにアイドルをしているのかもしれない


ヲユタ:今までの曲って、「ジャージは戦闘服★(2023 ver.)」(2023年4月デジタル・リリース)とか「インキャのキャキャキャ」とか、ちょっとふざけている曲が多かったんですよ。でも今回初めて聴いたときは真面目なやつが来た! みたいな。コンセプトを表している分かりやすい曲なので、陰な部分もあるけど、ちょっとだけ成長したアイドルとして、魔法少女になってみようと思えるぐらいのポジティヴさや勇気を持てるようになった自分たちの曲。代表曲として相応しい曲だなと。真面目なので歌詞もちゃんと聴いてみてほしいです(笑)。

774:このコンセプトになるときに"次は魔法少女だよ"と言われたんですよ。"え! 魔法少女になれるんだ!"と思っていたときにこの曲をいただいたんですけど、"魔法少女になれなくたって"と書いてあるじゃないですか。"え? なれないの?"と思ったんですけど、歌詞を見てみると"魔法少女になれなくたって"、"強く願えばきっと叶うよ"と書いてあって。インキャの私たちでも魔法少女になれなくても、強く願えばきっと叶うって、すごく明るくて希望のある曲なんです。あとこの曲のMVは、引きこもりのインキャの女の子が、小さい頃から憧れている魔法少女になるのを夢見るストーリーなんです。キャッチーでかわいいメロディ、振付もかわいいんですけど、NANIMONOらしいインャで影のある歌詞もあって、そこが見どころの曲だと思います。あと、林檎がたくさん出てくるんですけど、デビュー曲の「アイデンティティー」(2022年デジタル・リリースの1st EP表題曲)(のMV)にも林檎が出てきていて、それがキーになるのでそこにも注目してほしいです。

-林檎にはどんな意味があるんですか?

774:うちの事務所(OTONA CHILD.)のコンセプトというか、ロゴが林檎なんですよ。プロデューサー(こゆびちゃん)のnoteを見たら人間を表していると書いてありました。NANIMONOの林檎が人間なのかは分かんないけど、事務所の林檎は人間だと書いてありました。

-林檎は人間を表しているというのは、知恵の実的な意味なんですかね。

ヲユタ:これから明らかになるのかな? 自分たちも知らないよね。

-アルバムはインキャという性質丸出しの歌詞の曲も多いなと思いましたけど、皆さんどれも共感できるんですか?

ねる:全部共感できます。

-例えば「顔面コンプ期」だと顔のコンプレックスがテーマですけど、そういう部分にも共感を?

ねる:そうですね。

-アイドルをしていても顔面にコンプレックスを抱く?

ゆま:たぶんアイドルをやっているからこそ抱くんだと思います。メンバーはお互いがお互いでかわいいって本気で思うから病むし、他の現場に行ったら他のアイドルさんにスタイルがいいなぁとか顔の形がいいなぁとか、なるでしょ?

ねる:なる。本当に「顔面コンプ期」の歌詞のままだよね。

ヲユタ:この曲を歌うときは、アイドルとして届けるというよりは、中身の人格になっていますね。ヲユタじゃなくて、ヲユタの中身が歌っている気持ちになります。女の子はみんな共感できると思います。

-素の部分が引き出されるというか。

りんか:本当にこのままですね。

-きっと作詞をしているプロデューサーが皆さんとシンクロしているんでしょうね。

774:一番のインキャだもんね。

りんか:インキャというか社不(笑)。

ぷりん:だから気持ちを分かってくれるし、誰よりも生きづらさを感じてきたんだろうなと思います。

ヲユタ:NANIMONOって最初はコンセプトが違ったんですよ。でも、このメンバーが集められて、みんながインキャだからそれをコンセプトにしようみたいになったらしいんです。たぶんプロデューサーがインキャの女の子に惹かれやすいのかな(笑)。必然的にインキャだけが集まることとかないじゃないですか、でもみんなインキャなんです。なので、たぶんインキャの女の子がタイプ(笑)。

-「404」(読み:not found)だと、人生に何かが足りない、という感情を歌っていますね。

ねる:"足りない"という言葉の多さにびっくりしました。でもライヴをしていくうちに、振付も曲調も相まってかわいくてファンの方も真似できるような感じになっているので、こういうネガティヴな歌詞なんですけど、ライヴ自体は楽しい曲ですね。

ぷりん:今回収録されている新曲をライヴでやって、一番反応が良かったのは「404」かもしれない。

ゆま:耳に残りやすくて、振付も真似っこしやすいし、最初に乗り遅れても一生"足りない"と言っているからどこかでは絶対一緒に楽しめる。

ぷりん:"泣"を"ぴえん"って読むんですよ。オタクと一緒に"ぴえん!"って言っています。一緒に楽しめる曲だから好きな人が多いのかも。

774:"足りない"人間なので歌詞が好きなんですよ。これは私が歌い出しなんですけど、歌詞がマジでぴったりで。"飽きたな"、"人生ゲーム 何周目?"は口癖です。でもこれを歌っているときはちょっとだけテンションが上がります。"足りない"と言っているけど、こんなネガティヴな歌詞なのにライヴだとオタクのみんなが楽しんでいるし、ネガティヴな歌詞なのにこんなに楽しめるのはすごいことだなと思って、ちょっとテンション上がります。好きな歌です。

-ライヴで楽しそうなオタクを見たときに、"足りない"から"足りる"になる瞬間ってないんですか?

774:一瞬足りても、ステージを降りたらもう足りないんですよ。ステージに立っているときはインターネット魔法少女のアイドルなので、足りるときもあるんですけど、やっぱり中身は変わらないからステージの階段を降りた瞬間にすっと足りなくなって。だから足りるためにライヴしているのかもしれない。"足りる"ためにアイドルをしているのかもしれない。