Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

MENU

INTERVIEW

Japanese

暴動クラブ

2024年08月号掲載

暴動クラブ

Member:釘屋 玄(Vo)

Interviewer:フジジュン

60年代ロックを彷彿とさせる、モノラル録音のロックンロール・サウンドで圧倒的な現在を鳴らす、令和のロックンロール暴動が勃発! 平均年齢20歳の若きロックンロール・バンド、暴動クラブが待望の1stアルバム『暴動クラブ』を完成させた。7インチ・シングル『暴動クラブのテーマ』で鮮烈なデビューを果たし、"ARABAKI ROCK FEST."など大型ロック・フェスにも出演。世代を超えた幅広いロック・ファンから注目を集める彼らの新作は、プロデューサーにTHE NEATBEATSのTakashi "MR.PAN" Manabeを迎え、彼の所有するオール・アナログ機材によるGRAND-FROG STUDIOでモノラル・レコーディングされた、時代を超える最強のロックンロール・アルバム。熱く激しく人間味に溢れたロックンロールの系譜を継ぐ、懐かしくも新しい彼らの音楽について、そして最新作について、釘屋 玄に話を訊く。

-待望の1stアルバム『暴動クラブ』が完成しましたね! まずは1stアルバムが完成しての率直な感想を聞かせてください。

"やっとできた"という感じです。ここからフェスもあるし、ワンマン("暴動クラブワンマンライブ『暴動集会』")もあるんですけど、1つの達成感があります。

-昨年11月にデビュー・シングル『暴動クラブのテーマ』をリリースして、大きな舞台に立つ機会も増えましたし、注目が集まることも増えたと思うのですが。いざデビューしての心境や艦橋の変化はいかがですか?

まだ街に出て、女の子にキャーキャー追い掛けられることもないんで、なんとも言えないですけど、どんどんライヴの規模も大きくなってるので、身が引き締まる思いです。でも僕がライヴとかでも緊張しないタイプなので、プレッシャーを感じることはあまりないのですが、もちろん、応援してくれる人や関わってくれる人が増えて、"ありがとうございます!"という気持ちはあります。

-自身の音楽との付き合い方や、音楽環境には何か変化ありましたか?

音楽の聴き方が、例えばライヴに行っても、手を上げて"よっしゃー!"みたいなタイプではなくて、静かに聴いて拍手するような感じで、オタク気質じゃないけど、家でもじっくり暗く音楽を聴くタイプではあったんですけど、自分で曲を作るようになって、より意識的にいろいろな音楽を今までとは違うアングルで聴くようになりました。

-今回のアルバムを聴いてすげぇなと思ったのは、着地点としてアナログ機材のモノラル録音で、古き良きロックンロールを彷彿とさせる作品になりましたけど、音楽的には決して、オールド・スタイルのロックンロールの焼き直しになってないということで。古い音楽から新しい音楽まで、様々な音楽をフラットに聴いて、カッコいいものを独自のセンスで吸収して消化した、独創的且つ最新型のロックンロールが鳴らせてることでした。

ありがとうございます。僕は広島の出身なんですけど、もともと音楽を聴き始めたきっかけが、広島にある"STEREO RECORDS"ってお店で、"THE ROLLING STONESおすすめだよ"とか、"THE KINKS聴いてみな"とか店員さんに教わりながら、自分でもWikipediaで調べながら、いろんな音楽を聴くようになって。

-オタク気質が発揮されたんだ。

そうです(笑)。そこで"これがハード・ロックで、これがソフト・ロックで"ってレコード・ショップの棚みたいな聴き方から、サブジャンルみたいなところをさらに掘り下げていって。お金がないから、特価のレコードばかり買ってましたけど、あの経験がなかったら、今頃バンドをやってないんじゃないかなと。昔からそういうのが好きで、子供の頃も"ガンダム"の機体の歴史が書かれた本があって、面白いなと感じて見てて、それと同系列で音楽を聴いてたから、オタク気質は昔からあったんだと思います。

-音楽に興味を持つきっかけになったバンドとかいるんですか?

映画"地獄の黙示録"で流れてた曲をググったらCCR(CREEDENCE CLEARWATER REVIVAL)の「Suzie Q」(原曲はDale Hawkins)で、とりあえずベスト盤を買って聴いてみようという感じで、そこから音楽に興味を持って、聴き始めた感じでした。他のメンバーは親の影響でみたいな感じもあると思うんですけど、メンバー同士で薦め合うっていうのはあまりないかな?

-メンバーの好きな音楽の共通項を上げるとしたら?

THE ROOSTERSとか、シーナ&ロケッツとか、めんたいロックはみんな好きです。

-20歳くらいで、最初にパッと出てくるのがめんたいロックというのが面白いです(笑)。

僕が一番好きなのは、60年代のガレージ・ロックとか、プロト・パンクと呼ばれてるジャンルなんですけど、ビート・バンドが好きなので、初期のTHE ROOSTERSとかTHE ROLLING STONESとか、シンプルな3コードとビートで、どれだけ自分たちの個性を出すか? っていうのが面白いなと思っていて。

-暴動クラブのアルバムを聴いても思ったんですが、結局、時代が変わっても表現方法が変わっても、若者の湧き上がる衝動やパッションの部分は変わらないんだろうなって。だからこそ、現代の若い子がTHE ROOSTERSを聴いても伝わる部分があるし、PCで音楽表現をしている若い子たちにもきっと伝わる部分があると思うんです。

特に今回は1stアルバムだからというのもあって、意識的にシンプルにしようってのがたぶんあったんですが、ロックンロールはこの世に出てきて70年くらい経ってて、出尽くしちゃってる部分はあると思うので、"出尽くしちゃってるなかでどれだけできるか"はすごく苦難しました。

-僕はシンプルだからこそ、今を鳴らせてるっていうのがガツンと伝わってきたし、音楽さえもAIに取って代わられるかも知れないって時代に、暴動クラブみたいなバンドが出てきてくれたのが嬉しかったし、これだけ音楽が溢れているのに物足りなさを感じる昨今、暴動クラブのようなバンドが登場してくれたことが必然とさえ感じました。あと思ったのは、よくもまぁいいメンバーが揃ったなということで。結成は22年8月ですよね?

そうです。メンバーとは4月とかに大学で知り合って、僕が酔っ払った勢いで"バンド組もうぜ!"と言ったのがきっかけでした。僕はそれまでも、THE JAMみたいなモッズのバンドとかGS(グループサウンズ)っぽいガレージの3ピース・バンドとか、バンドを2、3個やってて、どれも"ちょっと違うんだよな"みたいな感じがあって、自然消滅してきたんですけど。暴動クラブはメンバーそれぞれの方向が違うけど、向いてるベクトルが一緒だから、それぞれがやりたいことをできる感があって。まぁ、巡り合わせでしょうね。

-今のメンバーには、"こいつらとやっていきたい!"と思えた?

そうですね。最初にスタジオに入ってSONHOUSEのカバーをやったらいい感じだったから、"これでライヴ出よう"って下北のライヴハウスに出たんです。そのときはセッションでできた曲をやったり、もともと僕がやってた曲をやったり、寄せ集めでライヴしてました。