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LIVE REPORT

Japanese

暴動クラブ

Skream! マガジン 2024年10月号掲載

2024.08.28 @渋谷CLUB QUATTRO

Writer : フジジュン Photographer:有賀幹夫

昨年11月、7インチ・シングル『暴動クラブのテーマ』で衝撃のデビューを果たした、4人組ロックンロール・バンド 暴動クラブが、8月にリリースした1stアルバム『暴動クラブ』のレコ発ワンマン"暴動クラブワンマンライブ『暴動集会』"を開催。世代や年齢を問わぬロックンロール・ファンを集め、ロックンロールの新たな歴史を切り拓いた。

拍手と歓声に迎えられ、仄暗いステージに登場したメンバー4人。ギターのフィードバックから、鈴木壱歩のシンバル・カウントで始まったOPナンバーは、アルバム1曲目に収録の「とめられない」だ。激しく痛快なバンド・サウンドに乗せて、狂気と色気を併せ持つ釘屋 玄が"もうとめられない"とリフレインするこの曲。オーディエンスの感情を爆発させると同時に、新たな始まりを想像させる歌や曲調はOPにピッタリ。

続いて、マツシマライズのギター・イントロで間髪入れずに始まったのは、デビュー・シングル表題曲「暴動クラブのテーマ」。長髪をなびかせてパワフルにビートを打つ鈴木のたくましいドラム・プレイ、重厚なサウンドとは裏腹な城戸"ROSIE"ヒナコ(Ba)の可憐さ、白いスーツ姿でギュンギュンとギターを鳴らすマツシマの勇ましい弾き姿。そして、センターで圧倒的存在感を放つ釘屋と、激しくも美しいロックンロールの様式を持つ4人のステージに思わず見惚れてしまう。

「気になるお前(沢田研二カバー)」、「すかんぴん・ブギ」と続き、"暴動クラブです。楽しんでってください"と釘屋が挨拶。自己紹介代わりと言えるメンバー個々のプレイが光った「ロケッツ」、ロックンロールのスタンダード・ナンバー「ROAD RUNNER」(BO DIDDLEYカバー)と続き、オーディエンスをグッと惹き込むと、披露されたのは「欲望」だ。

この日、入場者に配布された、初期のデモ音源を集めたCDにも収録されたこの曲。初期衝動全開の直情的で荒々しい歌と演奏はバンドの核の部分に触れた感があり、個人的に最もゾクッときた瞬間。続いて、楽器隊3人で披露したインスト・ナンバー「Voodoo Rag」で、演奏スキルの高さを存分に見せると、再び釘屋が加わってサーフ・ロック調の「カリフォルニアガール」へ。アルバムにも感じたが、楽曲に振り幅がある上、そこにルーツや文脈もしっかり見えるという、平均年齢20歳と思えない含蓄のある音楽性には驚かされるばかりだ。

「いとしのクロエ」、「恋におちたら」と恋愛ソングが続くと、ライヴは後半戦へ。"ロックンロール! はお好きでしょうか? 俺は大好きです"と告げた釘屋が、"ここまで来れたのはみんなのおかげです"と感謝を述べ、ベースのリードで始まったのは、「Da Doo Ron Ron」(THE CRYSTALS)のカバー。ロックンロール・マナーもしっかり抑えつつ、グルーヴィな「まちぼうけ」で踊らせると、熱く激しい「Born to Kill」で再びオーディエンスのハートに火を付け、「シニカル・ベイビー」では会場中が手拍子を合わせ、一体感を生み出して本編を終える。

"暴動"コールを受けて、再びステージに登場したメンバー。2025年4月22日に恵比寿LIQUIDROOMでワンマン・ライヴを行うことを発表すると、釘屋がギターを背負い、インスト・ナンバー「Wipe Out」(THE SURFARIS)をカバー。マツシマと息の合ったギター・アンサンブルで魅せ、アンコールにしてまたバンドの新しい一面を見せると、THE ROOSTERSのカバー曲「C.M.C.」でオーディエンスを大いに沸かせ、ラストは「チェルシーガール」で大団円を迎える。彼等の同世代から、年配ロックンロール・ファンまで、世代を超えたオーディエンスが拳を上げて気持ちを1つにする光景を見て、ロックンロールの偉大な力を改めて感じたし、時代が動く瞬間を目撃した気がした。世界を変えるかも知れない、暴動クラブの快進撃は始まったばかりだ。

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