Japanese
Uniolla
2023年07月号掲載
Member:KUMI(Vo) 深沼 元昭(Gt)
Interviewer:石角 友香
-最初にラスト・ナンバーのことを聞いてしまいましたが、まずアルバムが「The 1st chapter」から始まることによって、前作との違いを感じましたね。
KUMI:あぁ、対照的と言えば対照的だね、「The 1st chapter」と「No wrong answers」は。背中合わせの陰と陽みたいなところもあるから。
深沼:これはちょうど"ストレンジャー・シングス"っていうドラマを観てて、あのサントラが80'sのものが多いんだけども、僕が聴いてた80'sともちょっと違うっていうか、うまく音の面でマスタリングし直してあったり、曲によっては思いっきりアレンジが変えてあったりとかして。ノスタルジックなだけじゃない過去の遺産の使い方みたいなものも含めて、影響を受けたところがあるんですよね。音楽っていろんなものが繰り返しのようで、繰り返しなだけじゃなく、また違った光の当て方をしたりとかして復活してるサウンドもあるので、そういう感性に影響を受けたところがすごくあります。
KUMI:80年代の面白かったところ、飛び出したところをさらにブラッシュアップして(笑)、"あ、この時代良かったね、カッコいいね"って思っちゃう感じ。
-"ストレンジャー・シングス"は意外でしたが、この曲が1曲目にあることで、メランコリックな部分や、傷みたいなものも抱えていこうという印象を持ちました。
深沼:たしかに、他には1stアルバムの流れを組むようなポップで明るい曲がたくさんあるけど、1曲目がこれだとだいぶ聴こえ方が違いますよね。
-そう感じました。だからアルバムを聴き進めていくうちに、様々な曲調がありつつ"今を生きよう"という1本の筋を感じるというか。
深沼:そうですね。この主人公はもう常にこうやって"今が、今度が第1章だ"って思いながら生きてるっていうか。何回も失敗するんですけど、前に進める強さみたいなものはすごく持ってる。諦観だけじゃない、次こそは行けるはずだっていう、自分が通ってきたガチャガチャした道もわかってきてるんだけど、あえてそう思いたいみたいな、そういうところでまたこの主人公の1stとは違う強さが出てるかなと思いますね。
-そして「嘘はないはず」はモータウン・ポップ的なビートで、純粋にいい曲で。
深沼:ありがとうございます(笑)。できたときに、これは2ndアルバムまで行けるなと思った曲ではありましたね。ライヴでみんながすごい楽しそう。
-そしてこれも前回のツアーのときからあったという「Leap (Alternate Mix)」ですが、ベースラインが強力ですね。
深沼:これベースライン、あとから考えたんですよね。最初に歌メロとあのリフがあって、まぁ歌のメロディとリフはほとんど同じなんで、ある程度作ったあとにベース入れようと考えたときに、もっと自分勝手なやつがベース弾いてる感じにしようと思って。バンド支える気があんまりないというか、頭の中にあったのはex-NEW ORDERのPeter Hookみたいな。NEW ORDERのリフってほとんどあの人が弾いてるんですけど、"お前がそれ弾いたら誰が低音部分を支えるんだ?"っていうことばっかりやるわけですよ。しょうがなくシンセ・ベースとか入ってて、"ベーシストどこ行った?"みたいな感じになってるんだけど、そのぐらい勝手な人が弾いてもいいのかな、みたいな感じのイメージであのベースラインは出てきて。僕の中では音的にはTHE CUREなんですけど、ライン的にはTHE STONE ROSES風であったりとか、自分の中の引き出しがいろいろ開いたラインになってると思うんですね。
-KUMIさんにはいわゆるニュー・ウェーヴ的な音楽は背景にあるんですか?
KUMI:特に強くあるわけではないんだけど、ちょうど子供の頃海外で過ごしていた時期なので、なんかあるんだろうね。どっかには(笑)。
深沼:特定の何かにハマったわけではないんだろうけど、やるとセンスは持ってるので、残ってるんだろうね。
KUMI:それがUniollaにはいいのかもね。ミュージシャンとして、プロとして分析してない、イメージの中でこういう音っていいよねっていうのがミーハーでいいところはあるかもしれない。
-ルーツ的な意味で破綻してないことだけが重要なわけじゃないですし。
深沼:そうね。僕なんかだとそのへん、KUMIと微妙なその年月の差というかね、その間で受け取り方すごい違うと思うんですよ。僕の年代の考える80年代後半あたりのやつって、もっと距離が近いんですよね。自分たちもちょうどその直後にプロになってるみたいなところもあるから。そういうのがバンドとしての面白さなのかなと思いますね。
KUMI:そうだね。林君と私がちょうど同い年で、下にヒデ君がいて、この幅もいいかもね。みんな共通するサウンド・イメージもありつつ、少しずつ違ったりしてね。
-それがUniollaの幅に繋がっているのかもしれないですね。「ララ」のこともおうかがいしたいんですが、この曲はリズムがユニークで。
深沼:これは去年のライヴをやるときに配信リリースする曲っていうことで書き下ろしたので、完成までが早いというか、すぐにみなさんに聴かせる形に持っていかないとならなかったので、ヘッド・アレンジをがっつりやった曲だったんですよ。だから曲を作ったときに最初から僕の中で完成度が高かったんですけど、"本当にこのリズムでできるのか?"みたいなところがすごくあって、それをこともなげにやってくれたヒデ君には本当に感謝するっていうか。
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