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INTERVIEW

Japanese

Uniolla

2023年07月号掲載

Uniolla

Member:KUMI(Vo) 深沼 元昭(Gt)

Interviewer:石角 友香

LOVE PSYCHEDELICOのヴォーカル KUMIと深沼元昭(PLAGUES/Mellowhead)、林 幸治(TRICERATOPS)、岩中英明による"大人の新人バンド"Uniollaが、1年半という短いタームで早くも2ndアルバム『Love me tender』をリリースする。どこか60年代のポップスを90年代のインディー・ロックやオルタナティヴ・ロックに変換したようなニュアンスがあった前作『Uniolla』(2021年リリースの1stアルバム)から、グッと深みを増した今回。KUMIの日本語と英語をシームレスに行き交うヴォーカルにも新鮮な響きが宿る。その変化と軸にある不変の部分を、深沼元昭とKUMIにインタビュー。キャリアを重ねた今、新たなバンドに尽きない楽しみを見いだしている理由が見えてくる。

-Uniolla、コンスタントにリリースを重ねていますね。

深沼:1年半。新人かよ! って感じですね。

KUMI:新人なんだけど(笑)。

-1stアルバムのとき、"新人バンド"っておっしゃってましたよね。

深沼:うん。みんなキャリアのあるミュージシャンなんですけど、2ndアルバムが早いのは、ワンマン・ライヴを全部オリジナル曲でやりたいっていうのが最初の原動力になったと思うんです。そういった意味でも、キャリアを積んでもそのバンドが始まったときの勢いっていうのは変わらないなと思いましたね。

-バンドが始まった頃に比べて、より"ずっと続けていくバンドなんだ"という手応えは感じられましたか?

深沼:最初からそういうつもりだったっていうのはすごくあるんですよね。みんなで集まって、メンバーとして4分の1をやって、大げさに言えばライフワークのようなバンドをやりたいなと思っていたので。

KUMI:もちろん、気の合う仲間とバンド活動をずっと続けていくというコンセプトもあったけど、ツアーを終えて、自分が期待してた以上に楽しくて、続けていきたいと思える。まだ1stツアー("Uniolla 1st Tour 2021")の東名阪3ヶ所と去年の8月("八月のユニオラ")、今年の3月("三月のユニオラ")の5本しかライヴをやっていないんだけれども、やるごとに楽しいし。今年のライヴでやっとみんなの呼吸が本当に合ってきたなと感じるし、まだまだスタート、これからやりたいことのアイディアがどんどん湧いてきます。

深沼:あとはせっかくバンドになったから、ちゃんとバンドとしてまたアルバムを作ろうっていうかね。やっぱり1stアルバム作ってるときは、バンドを作っていく過程でアルバムを作ってるエピソード・ゼロ的な、まだUniollaが誕生していく過程の副産物がアルバムになったみたいなところがあったので。あとはコロナ禍で、そんなにしょっちゅう集まったりできなかったので、ようやくツアーやってバンドらしくなったかなというところはあるかな。

-ツアーのときにもやってらっしゃった楽曲も入っている今回のアルバムなんですが、人間に喩えたら、かわいらしい女の子が大人の女性になったような印象があって。

KUMI:バンドとしての成長なのか、Uniollaの歌っている主人公の成長なのか、そういうものは感じますね(笑)。

深沼:漠然と考えてたUniollaの主人公みたいなものが、単純に成長したというよりは陰影がついたというか立体的になった。それまでもう少しファンタジックだったものに肉感性が伴ったというか、そういうとこあるかもしれない。

-Uniollaの主人公が動くというか、変化してきた理由は深沼さんの中にありますか?

深沼:いや、主人公を通して伝えたいことというか、テーマみたいなものは大きくは変わってないんですよ。ただ、主人公の動きとかのディテールがすごく違う。心の動きであったり、そういったものが前よりも自分の中でより人らしく動いてくれるようになりました。基本的にいろんなことを考えてるつもりになってるけど、あんまり考えてないのがUniollaの主人公だと思うんですよ。思い入れが激しかったり、間違ってばっかりいて、そのたびにいろんなことをそれなりに考えてみて、また動き出すみたいなところがあって。で、そういったことから今回のアルバムのテーマというか、人の人生において間違った答えはない、あるいはそういうふうに思いたいという主人公の気持ちを中軸に据えた感じで肉づけしたいなぁっていうところがあるんだけども、それがより動いてくれるようになったかなと。最終的にKUMIの歌として出て行くときにもKUMIの中であんまり迷いがないように感じたというかね。実際テイク数も少なくてあっという間にレコーディングしていくんだけど、それを録っててそういうふうに感じたかな。

KUMI:1stはもっと夢見がちだったし、いろんなものが曖昧なまま結構好き勝手に歌うというか、振る舞うようなところがあったんだけれども、もっと現実だったり目の前の景色をもう少し俯瞰で見れるようになった主人公がいて、人生の光と影というか、そういう陰影だね。よりシャープさが増した感じですね、2ndは。

-1stのときは、KUMIさんが日本語で歌うとこんなにイメージが違うんだっていうことに驚いたんです。言語によってこんなにトーンも変わるっていう驚きがあって。それが今回、英語と日本語の印象がシームレスになってきたような気がして。

深沼:うん。架空のキャラクターというか、Uniollaのストーリーの中心人物は、歌詞の中においては完全に文章の世界なんだけど、バンドだから、サウンドがあってそこに乗っかって歌う人なんです。なのでサウンドができあがってくる、あるいはみんなと今回録った楽曲たちに対しての歌詞、特に一番最後に書いた新しい曲たち――先行配信された「The 1st chapter」とか、「No wrong answers」、「So am I」は、よりそのサウンドを受けて主人公が動いてるっていうところがあるから、作詞に関しても前半/後半でよりはっきりしてるというところがあるかもしれないですね。

-なるほど。

深沼:KUMIの歌も後半のやつは後半に歌ってるから、よりキャラクターがはっきりしてるってところはあるかもしれない。

-ところで林(幸治/Ba)さんと岩中(英明/Dr)さんがUniollaのメンバーになってから、新たに見えた側面はありますか?

深沼:林君はいつも僕のいろんなプロジェクトを支えてくれてるし、基本的にチームのために弾ける男なので、どんなときでもバンドが良く見えるようにやってくれるんだけど、やっぱ立ち上げからやってるから思い入れがすごく強い。当事者としてバンドの一員っていう気持ちが強いなぁと思いますね。ヒデ(岩中)君は触媒みたいな人だから、みんなの雰囲気とかを受けて、より増幅するというか、みんなが楽しい気持ちになってるのをより楽しくできるみたいな、それを後ろから励ましてくれるようなドラムを叩ける男だなと思います。いつもポジティヴですね。

-そして1stに続いて非常に親密に音作りもされたと思うんですけど、前回はドラムの音作りにNAOKI(LOVE PSYCHEDELICO/Gt)さんがすごい時間をかけたっていう話がありました。

KUMI:それは2ndも変わらず。

深沼:1stがまだかわいく思えるぐらいすごいです(笑)。たまにNAOKI君も"この曲のドラムはいい感じで汎用性の高い音ができたから、これを受けて次の曲行こう"って言うんだけど、最初だけ(笑)。言ってみるだけで、また始まると全部ほぼゼロからしっかり作っていく。彼はやっぱり、そういう意味での音に対する感覚ってすごいものがあって、彼の場合はあれで理想に対して最短距離を行ってるんだと思う。そのぐらい時間がかかる最短距離というか、"だいたいいい感じ"っていうところではやめないので。

-ドラム・サウンドのことで言うと「No wrong answers」は王道のアメリカン・ロックのニュアンスですが、ドラムの音がモダンだなと思いましたね。

深沼:そうですね。これは一番最後に書いた曲で、中高生ぐらいに聴いてたイメージのスタジアム・ロックみたいなものを作ろうかなと思ってて。もう9曲できてて、最後の1ピースをいろいろ考えてるときにこれがポロッとある日できました。若干、KUMIに聴かせるときは緊張したんです(笑)、"またとんでもないもん作ってきたな"と思われるって。もとのバージョンは音の面でもっとコテコテだったから、どうなるかなと思ってKUMIに聴かせたら、"これはすごくいいけど、次のアルバムでもいいんじゃないか"って言ったんだよね。

KUMI:もうひと作品できるぐらい、イメージが広がったから(笑)。このハード・ロックというか、今なかなかデリコ(LOVE PSYCHEDELICO)でもそんなにやっていないけれども、自分の中にはこの要素ってたしかにあって。"あ、この感じも今いいかもな"って。最初のデモで聴かせてくれたときはもっとハード・ロックな音だし、スタジアムな世界観で、もうそのままやろうっていうぐらい興奮したんだけれども、完成するに連れてどんどんUniollaのアルバムに相応しい世界観になっていったんだよね。ドラムがまさに、こういう曲なのにモダンだよね。