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INTERVIEW

Japanese

ゴホウビ

2023年07月号掲載

ゴホウビ

Member:cody(Vo/Gt) スージー(Vo/Key) 405(Ba) むんちゃ(Dr/Cho)

Interviewer:藤坂 綾

2018年11月2日結成の4人組バンド、ゴホウビ。"みんなにとっての「ただいま」と呼べる場所になりたい。"をテーマに活動を続ける彼らが、メジャー4thデジタル・シングル「なんぼのもんじゃい」をリリース。自らを"豆腐メンタル4人組"と公言しながらも、そのメンタルとはまったく相反するこのタイトル、曲に込めた想いとは――ゴホウビ結成に至るまでを振り返りつつ、今の想い、バンドに対する想い、そしてこれからの未来へ向けての想いをメンバー全員に訊いた。

-4人はもともとそれぞれに音楽活動をされていたとのことですが。

cody:もともとは別々に音楽活動をしていて、それぞれがメジャー・デビューしていました。当時、僕とスージーは同じレーベルという繋がりがあったし、僕が前にやってたバンド・メンバーとも仲が良かったから、1度一緒にLINE LIVEをやったことがあって。そこで初めて一緒に歌ったとき、それがもう気持ち良くて、ね。

スージー:声の混ざり具合とかがね。

cody:そう。すごくいいよねって。その気持ちを持ったまましばらくお互い別々の活動をしていたんですけど、同じタイミングでメジャーを離れることになって。そこで、こんなにいいハーモニーを出せるなら、一緒にバンドを組んでもう1回夢見ようぜってことになり、そこからスージーのサポート・ベースだった405を誘い、レコーディングやライヴを一緒にやってたむんちゃを誘い、ゴホウビの活動が始まりました。

スージー:それが2018年の11月2日です。

-codyさんがスージーさんと一緒にバンドをやりたいと思ったのは、結構早いタイミングだったんですか?

cody:そんなにすぐではなかったかも。LINE LIVEを一緒にやってくれてたスタッフさんが、"一緒にやってみたらいいんじゃない?"って言ってくれたんだよね。

スージー:そう、そういう助言があって。で、渋谷の豆腐屋で......

-豆腐屋?

スージー:豆腐屋さんがあるんですけど......いや、ネギ屋か。

cody:うん、ネギ屋かな? 一番最初はネギ屋。

スージー:"一緒にやってみたらいいんじゃない?"って言われてから、私もcodyのことを誘ってみようかなってちょっとマジで思うようになってて、そのスタッフさんと一緒にcodyをネギ屋に呼んだんです。そこで話をして、断られたらつらいなと思いながら様子を窺ってたら、codyはもう誘われることをわかったうえで来てたんでしょうね。即答で"やります!"って。

cody:"いいね"って言ってくれたスタッフさんもいたし、そういう場をわざわざ設けられるってことは、まぁそういう話かな、そうだったら嬉しいなって。

スージー:音楽活動にいったん区切りがついたときは正直落ち込んだし、自分の音楽に自分自身でレッテルを貼りそうになってた時期でもあったし、ほんとは迷いもあったんです。でも、新しい体制になったらまた違う道が開けるんじゃないかって、私にとっては希望を持つきっかけにもなったときでした。

-405さんとむんちゃさんは、声を掛けられたときどういう心境でした?

405:ちょっと悩みましたね。バンドをやってた時期もあるんですけど、バンドの前はサポート・ミュージシャンをやっていて。自分としてはそれでやっていくことが夢だったから、バンドをやめて、またサポート・ミュージシャンで頑張っていこうって気持ちになってたところでもあったので、正直誘われたときは悩みました。でもcodyもスージーも昔から知ってるし、デモを聴いたらちょっと面白そうだったので、今はサポート・ミュージシャンもバンドも両方やってます。

-一番の決め手はなんでした?

405:僕はスージーの作る曲が好きなんです。そのスージーが作った曲を、codyとスージーふたりで歌ったらこうなるんだっていうのが面白くて。それぞれの足りないところを補っているようなふたりの歌を聴いてすごく共感できたというか、腑に落ちた感じがしたんです。だから一緒にやってみようと。

-むんちゃさんは?

むんちゃ:私は、共通の知り合いに"バンド興味ない?"って言われてたんですけど、全然やる気がなかったからずっと断ってたんです。でも"とりあえず、1回会ってみて"ってことで呼ばれて行ったらそこにスージーがいて。スージーに言われたら、もうやるしかないじゃんってことになったんです。

-それ、すごいですよね。

むんちゃ:スージーのお手伝いをさせてもらってたときから、曲も声も大好きだったんです。スージーに呼ばれるなんて全然思ってなかったけど、そこにいたのがスージーだったからもうやるしかないっしょって。そのときはまだcodyとは友達じゃなかったもんね。

cody:お互いまだ知らなかったね。

むんちゃ:だからきっかけはスー(スージー)だったけど、やって良かったなって。

-最初はやる気がなかったというのは?

むんちゃ:前のバンドとかでもそうなんですけど、人間がめんどくさくなっちゃって(笑)。そのバンドがA型とB型の集まりだったから大変なことになってたっていうのもあるんですが、もう人と音楽やるのは嫌だし、ひとりでやってるほうが楽しいわって思ってたけど、スージーだったからやりました。

-そういう気持ちで始めたからこその覚悟みたいなものって、みなさんの中にありましたか?

スージー:私とcodyは最初にふたりで固まったっていうこともあるので、音楽に対する熱量とか、バンドで成功したいっていう共通認識はもともとありました。でも、405はサポート・ミュージシャンとバンドで両立していくということだし、むんちゃはとにかく音楽を楽しくやりたいっていう人なんです。楽しくないことはやりたくない。その素直な気持ちって、ある意味一番大事なものなんじゃないかと思って。だから覚悟みたいなもの、いわゆる成功する、売れたいっていう気持ちはもちろんあるんですけど、それよりももっと根底的なところで大事なもの、楽しくやりたいっていう気持ちを持って活動できていたら、夢は絶対叶うんじゃないかと。私自身も最近は考え方がそういうふうにシフトしてきているような気がするし、ずっと続けていけるように、その気持ちを持続していくことが一番なんじゃないかと感じてますね。

-楽しくやるって、何事もそれが一番大切なことだし、それがゴホウビの一番のコンセプトのような気がします。

スージー:だから"ゴホウビ"なのかなって、最近思うようになりました。自分たちにとって音楽をやる時間ってすごく尊いから、だからこそ"ゴホウビ"だなと思うし、このバンドは自然にそう感じるべき場所なんだよなって。

-"ゴホウビ"というバンド名はどなたが?

スージー:それはcodyだよね。

cody:そうです。"ごほうび"っていう小料理屋さんがあって、ちょうどゴホウビを組む直前に知り合いに連れて行ってもらったんですけど、おいしくて丁寧で、お店の人も感じがいいし、めちゃめちゃ癒されたんです。だから音楽でこういうふうに思ってもらえたらいいなって、それがきっかけです。

-ご褒美って、例えば仕事や勉強を頑張ったから自分にあげる人も多いと思うんです。だから逆から考えたら、頑張ってないと貰ってはいけない、あげてはいけないと思ってる人もいるんじゃないかなって。だけどゴホウビはどんな人に対しても、どんな状況に対しても、それでいいよっていうことを歌ってくれているし、それこそただ"ゴホウビ"としてそこにいてくれるだけで救われる人、安心できる人も多いんじゃないかと思います。

スージー:ご褒美って、私からしたらそれがないと前に進めないもののような気がしてて。それがあれば安心するし、前に進めるきっかけになるし、ないとやってけない。そういう意味でも、みんなの居場所みたいなものになりたいなということはやっぱりずっと思っていて。だから5月のワンマン・ライヴ([ゴホウビ ONEMAN LIVE "Home Sweet Home!! Vol.1"])で"おかえり"、"ただいま"っていう言葉をみんなに直接言うことができたのがすごく嬉しかったんです。それに、自分もそう感じてるというか、ここにいていいんじゃないか、私の居場所はここなんじゃないかって、聴いてる方たちに思わせてもらってるような気もするんです。

-ライヴに来た人にとっても居場所だし、ゴホウビにとってもゴホウビが居場所だと。

スージー:はい。"おかえり"、"ただいま"って言える場所があるってことは、安心にも繋がる。今、むんちゃは島根から通ってるんですけど、彼女が音楽活動をしに東京に戻ってくるときに"おかえり"っていう気持ちがあって、それはたぶんメンバーもそうだと思うんです。だからメンバーに対しても、みんなに対してもそういう気持ちを大切にしていきたいなと思うし、友達といたり、恋人といたり、家族といたりしても、どこかで孤独感を抱えていることもあると思うんですけど、その孤独を持ち寄れる場所になれたら嬉しいです。

-そういう居場所になってきているという実感もありますか。

スージー:なってきてると思います。それをもっともっと広げていけたらいいなって。