Japanese
雨模様のソラリス
2022年12月号掲載
Member:たべる子 小泉よう 清野宮あんな 神咲雅 東条泉美
Interviewer:藤坂 綾
2021年2月にデビューしたアイドル・グループ 雨模様のソラリスが、バンドマンの三島想平(cinema staff/peelingwards)、高橋國光(österreich/ex-the cabs)、奥脇達也(可愛い連中/ex-アカシック)をはじめDIVELA、一二三、buzzGといったボカロP、Numa、三矢禅晃といったアニメ界隈の作家陣を招き、制作した1stフル・アルバム『amity』をリリース。豪華な楽曲制作陣に負けず劣らず、結成からの成長をこれでもかと見せて(聴かせて)くれるこの1枚を軸に、雨ソラ(雨模様のソラリス)のこれまで、今、これから、そしてグループへの想いを訊いた。
-1stフル・アルバム、どんな1枚に仕上がりましたか?
たべる子:雨ソラのいろんな曲が入った、超かっこいい最高の1枚に仕上がりました!
小泉:雨ソラ結成が(2021年)2月で、このアルバムがリリースされるのが12月14日なので、2年弱でやっと名刺代わりになるアルバムを作ることができたなという感じです。収録されている曲はもうライヴでやっている曲ばかりなので、アルバムができた時点ですでに愛着があるし、これが私たちの大切なものですってみんなに渡せる1枚になりましたね。
清野宮:16曲がこうやって1枚にギュッと詰まって、これが雨ソラですって出せることはとても素敵なことだし、とても嬉しく思ってます。
神咲:2年目以降ってグループとして大事な時期になると思うんですけど、約2年やってきて、いったんここでひと区切りではないけど、ここからまた新たなステージに進むためのまとめのアルバムになったんじゃないかなと思います。
東条:私もこのアルバムは集大成的なものだと思っていて、歌い方も変わってきてるし、そういう成長や頑張ってきた私たちをこのアルバムで感じてもらえたら嬉しいです。あと、楽曲が全部いいので、運営さんが本気出してきてるのがよくわかると思います。
-あはははは(笑)。成長という言葉が出ましたが、結成からの2年を振り返って、ご自身たちでもそれは感じられてると思います。
神咲:1stワンマン・ライヴ("1stワンマン~Forever and Ever~")とかもう観れなくない?
小泉:観れない! 日々の成長をちゃんと感じてるからこそ、ちょっと前のことでもすごく未熟に思えちゃって、もう観れないよね。
神咲:そうそう。
小泉:進む速度が遅かったり速かったりした時期もあったかもしれないけど、確実に前に歩み続けてきた2年間ではあるかなと。
-具体的に成長したところというのは?
小泉:メンタルですね。私はアイドル7周年を迎えて今8年目なんですけど、雨ソラに入ったのは6年目だったかな。そこそこアイドルをやってきてからの加入だったんですけど、やっぱり環境がガラッと変わってしまったこともあって、結成当初は自分がどうあるべきか悩んでた時期があったんです。だけど活動していくうちにどうあるべきかとかではなく、自分らしくありたいと思うようになって。そしたら自分を受け入れられるようになり、自分のダメなところも愛せるようになったんです。
-ダメなところも愛せるって、まさに自分らしくいられるようになったってことですもんね。
小泉:そうです。だからメンバーのいいところもいっぱい見つけられるようになりました。人それぞれ、もちろん私にも苦手なことってあるじゃないですか。自分を受け入れられるようになったら、メンバーの苦手なことを見ても、それがダメとかじゃなくてむしろかわいいなって思えるようになって。だから自分のことも同じように考えていいんじゃないかなって、そう思えるようになりました。
-いつ頃のタイミングでそう思えるようになったんですか?
小泉:最初の1年くらいはずっと悩んでて、2枚目のシングル『届かない星でいて。』(2022年2月)を出す頃かな。自分が一番歴が長いことにコンプレックスがあったんですよ。自分が一番しっかりしなくちゃいけないとか、とにかく年齢とか歴へのコンプレックスが大きかったんです。
-自分が引っ張っていかなくちゃ、みたいな。
小泉:そういう気持ちもあるし、誰にも負けたくないって気持ちもあったし。今はそういうちっちゃなプライドみたいなものがなくなった気がしますね。それよりも、雨模様のソラリスというグループを愛してもらうには自分はどうしたらいいかなとか、少しは広い視野で物事を考えられるようになったし、自分らしくいられるようになってからは世界が一気に変わったと思います。
-神咲さんはいかがです?
神咲:ステージ・パフォーマンスはましになったかなと思います。私歌にコンプレックスがあって、音もうまく取れなかったり、上がり症なんで緊張しちゃって声が上ずったりとかよくあったんですけど、最近はないかな。ダンスはもともと好きなんですけど、最近は表現の幅が広がったかなと思っていて。今、カミヤサキ(ex-BiS/GANG PARADE)さんに振付をしていただいているんですけど、言葉がすんなり身体に入ってくるんですよ。私に合ってるというか。それで表情の作り方とか身体の動かし方とか、細かい身体の使い方が身についてきたんだと思います。
-緊張もしなくなったんじゃないですか。
神咲:そうですね。自分に自信がついたからなんじゃないかと思います。昔はミスったらどうしようとかばっかり考えてたから、動きもぎこちなくて。でもありのままの自分でステージに出たら、それを認めてくれる方も多くなったし、優しい目で見守ってくれる方が増えたので、安心してステージに立てるっていうのもありますね。
-東条さんの成長したと感じるところは?
東条:私は、雨(雨ソラ)に合わせた歌い方ができるようになったと思います。
神咲:いずみん(東条)は、ふわふわな衣装を着たり、キュンってなったりするアイドルがもともとは好きな子なんですけど、雨ソラはもっとアーティストっていう感じじゃないですか。なので、それに合わせた歌い方ができるようになったっていうことかな。
東条:はい、そうです。私クセが強いんですけど、メロディに沿った歌い方で、楽曲の良さを届けるということが最近はできるようになってきたなと思います。あとは、最年少だから、周りのかっこいいメンバーのみんなから社会人としての常識を学んでます。
-具体的に変わったところというのは?
東条:しっかりしました。人に対する接し方、距離感とか変わった気がするんですけど......難しい、誰か助けて!
たべる子:今まで謝るという行為があまりできない子だったけど、最近は自分の発言に対して、"さっき言い方キツかったよね。ごめんね"とか言ってくれるようになったので、ほんと変わりましたよ、この子は。
小泉:あはははは、親目線(笑)。末っ子気質で甘えたいタイプの子だったんですけど、雨ソラに入ってメンバーにいろんなことで怒られたりしながら、言っていいこと、言っちゃいけないことを学んだってことですか?
東条:はい! そうです!
-ふふふ(笑)、では清野宮さんは?
清野宮:体力がつきました。体力が成長しました(笑)。
-何かやられてるんですか?
清野宮:走ってます。1日1時間くらい、週4で。1年前は、30分のライヴでもすぐに疲れちゃってたんです。バチバチのかっこいい曲でも、体力なくてその曲をやりながら自分にイライラしてきちゃって。それが嫌で走り始めたら、ライヴでも疲れなくなりました。
小泉:きよちゃん(清野宮)は、ライヴのパフォーマンスがめちゃめちゃ激しいんですよ。誰よりも体力が必要なパフォーマンスをしてるんですけど、限度を知らないというか、走り始めたらずっと走っちゃって、1回ぎっくり腰になったんです、ライヴ中に。
-ライヴ中に?
小泉:9月の3rdワンマン("雨模様のソラリス 3rdワンマン「粧す此の夜」")のとき、パフォーマンスが激しすぎてぎっくり腰になっちゃって。なのに気づいたらまた走り始めてて、あのとき走っちゃダメだよって言ってたのに、もうそんなに走ってたんだ。
清野宮:うん。もういいかなと思って。それに走らなかったら体力なくなっちゃうんじゃないかと思うから、もうやめられない(笑)。
-内面的に変わったところはありますか?
清野宮:あんまり変わらないですね。
小泉:きよちゃんはいい意味でずっと変わらないですね。仏みたいな感じ。出会ったときから。
神咲:私はもっと尖ってる人だと思ってました。
小泉:たしかに。仏で(笑)、言ってることは正しいんだけど、"これはこうじゃない?"ってパンッて言ったりするから、"たしかにそれは正しいんだけど......"って。でも最近はより優しくなって空気を読んでくれるようになったかな。
神咲:きよちゃんとは最初あんまりしゃべったことがなかったんだけど、輪の中に入っていかない人だったから、我が道を行くタイプなんだろうなって思ってたんです。だけど、そうでもなくて。
小泉:自立してる人だよね。
神咲:そうそう、自分でちゃんと歩いていける人。
小泉:メンバーの誰かがメンタル的にダメなときがあると、一番寄り添ってくれるのがきよちゃんです。弱気者に優しい。ありがとう、いつも(笑)。
清野宮:こちらこそ、ありがとうございます(笑)。
-あはは(笑)、ではたべる子さん、お待たせしました。
たべる子:たべ(たべる子)は、自分で歌がうまいと思ったことはないし、今もうまくなったとは思ってないけど、ボイトレを定期的にやるようになって、出せる声の域が広がってるってこないだメンバーに言われて、ちょっとは声が出るようになったんだなくらいで、成長とか変化はまだわかんないです。メンタル落ちても出さないようにしてるし、波もそんなにないほうだから、変わったところはないかな。
-自分で解消できるんですかね。
たべる子:発散する方法がいっぱいあって、好きなYouTube観たり、ゲームしたり、楽しめる趣味があるから、落ちてもすぐ回復できる。だからメンタルは強いです。
小泉:たべちゃんときよちゃんは日頃からメンタルのブレも少なくて、いつどこに行ってもフラットにいられて、私と雅と泉美は結構日による(笑)。でもメンタル落ちててもライヴの手は絶対に抜かないから、そこはみんなすごいよね。
たべる子:それは思う。始まるってなるとみんなスッと立って、みたいなね。
神咲:たしかに、すごいよね。あと、成長と変化っていうところでこのアルバムでは歌い方の違いがすごく現れてるかなと思います。最初の頃にレコーディングした曲と最後のほうにレコーディングした曲だと、だいぶ違うよね。
小泉:違う! 全部録り直したい(笑)。でも、今回「Invisible rain」は録り直してるんです。この曲は最初にできた曲なんですけど、これまでずっとCDにも収録されていなくて、サブスクにもなくて、唯一お披露目だった日のライヴ映像と共にYouTubeにはアップしてたんですけど、満を持してアルバムに入るんで、一番成長を感じてもらえるのは「Invisible rain」かもしれないですね。
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