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INTERVIEW

Japanese

クレナズム

2021年11月号掲載

クレナズム

Member:萌映(Vo/Gt) けんじろう(Gt) まこと(Ba) しゅうた(Dr)

Interviewer:吉羽 さおり

きらめきも憂いも内包した透明感のあるヴォーカルと、シャイニーな轟音がほとばしるシューゲイザー、ドリーム・ポップ・サウンドで注目を集めている福岡発4ピース、クレナズムが4thミニ・アルバム『Touch the figure』をリリース。様々なものがデジタル化している今、直に触れて確かめて浸ってほしい思いをタイトルにした今作はメンバー4人、そしてバンドの持つ想像力の高さを、音という形に閉じ込めた。キャッチーにリスナーに触れ、そしてリスナーの心で曲がエモーショナルに爆発するようなパワーが溢れる。その心で弾ける鮮烈さを、何度も体験できる美しいアルバムだ。ぜひ、この輝きに触れてみてほしい。

-4枚目のミニ・アルバム『Touch the figure』がリリースとなりますが、今回へのいいきっかけになったのではという曲が、3月に配信でリリースした「酔生夢死」なのかなと思います。サウンド面や描かれる世界観も、色鮮やかなバンドの進化を感じる曲ですよね。この曲はけんじろうさんが作った曲ですが、曲作りで意識したことはありますか?

けんじろう:作詞をしていたのがコロナ禍で、ライヴが中止になって、この先どうなるかわからない、いろんな不安で心ががんじがらめになるような時期だったんです。そんな自分たちの心境を曲の主人公に投影したもので、不安から脱却するために這い上がろうとする内面的な歌というか。でも、サウンドは疾走感があって、歌詞の質感とは相対するような音と言葉のギャップにも注目してもらえたら嬉しいなと思いました。

-ダイナミックな曲ですよね。激しくエモーショナルに展開していくシーンと、淡々としたシーンとのコントラストがあって、それがうねりとなってボリュームを生んでいる曲だなと思います。アレンジはバンドのクレジットになっていますが、どのようにやっていくんですか?

まこと:基本的には曲を作った人がデモをメンバーに渡すんですけど、今のようなコロナ禍だとデモをLINEとかで共有して、そこからそれぞれのアレンジを考えて、こういうのどう? とやっていくことが多いですね。

けんじろう:「酔生夢死」はサビのメロディが2、3回変わったよね。最終的には最初のデモ段階のままに落ち着いたんですけど。

しゅうた:なかなかスタジオにも入れない頃だったから、みんなの家の近くの公園に集まって、どうする? みたいな会議もしましたね(笑)。一番これがケンカじゃないけど、話し合ったというか。

まこと:がっちり長い時間話したかな。この頃は、けんじろうがあまり曲を作れなかった時期だよね。

けんじろう:今は退職したんですけど、結構長時間拘束されるようなバイトをやっていて、曲作りができなくて(笑)。

-バンドのこの先としても不安だし、けんじろうさんにもいろんなことが押し寄せていたんですね。公園に集まっても楽器を持たずに集まってるわけじゃないですか。そこで曲を具体化していくのは大変じゃないですか。

まこと:最後のサビ部分でもそれぞれで何案も出ていたので。そうなると電話とかオンライン上でやりとりするより、直接会って話したほうが、話が早いんですよね。直接どう思っているかというのを伝えるほうがいいので。それで会って話していましたね。

-コロナ禍でなかったらスタジオで顔を合わせて作っていけますけど、この1~2年で制作環境は大きく変わりましたね。そのオンラインで曲をやりとりしたり、それぞれが曲作りをすることが多くなったりしたことでの良さはあったんですか?

しゅうた:今までの楽曲はドラム、ベース、ギター、声っていうバンドの基本みたいな形が多かったんですけど。それぞれが曲作り段階からピアノやシンセだったり、いろんな音色をつけ足したりしていて。楽曲の幅が自然と増えましたね。

まこと:DTMが上手くなったよね、俺は特に。やっぱりオンラインでやりとりをするぶん、曲のイメージを形作るのがみんなうまくなったよね。けんじろうとかもめっちゃこだわりが増えたし。

けんじろう:コロナ禍になってみんなと会う機会も減ってしまったので。そのなかで、月に1回、みんなでデモ曲を出し合うということが始まったんです。それもあって、みんなそれぞれで曲作りが進められるように、ちょっとずつ上手になったのかなと思います。

-このコロナ禍の閉塞感も、ものを生み出す機会になったんですね。

萌映:プラスになることが多かったなって思います。

-もともとクレナズムは、メンバーそれぞれが曲を書くバンドだったんですか?

萌映:もともとは、ドラムのしゅうた君とギターのけんじろう君がメインで作曲をしていたんです。でも、バンドをやっていくうちに自分の欲みたいなものも出始めて。私はそれがきっかけで曲作りをしようって思うようになりました。メンバーのルーツがバラバラなんですけど、それぞれが作曲をできるようになったことで、その違いも出るようになったので。成長できたなって思います。

まこと:ちょうどコロナ禍に入るギリギリくらいのときに、萌映ちゃん作曲の曲をレコーディングして、僕だけ作れていなかったんですよね(笑)。それが悔しいというか、自分だけできないの嫌やなって思って。それで、作曲を勉強して少しずつですけど、できるようにはなっていったかなと。

-今回まことさんの作曲が「積乱雲の下で」と「解けない駆け引き」で、クレナズムの新しい側面を打ち出していくような、重要な2曲じゃないですか。

まこと:はい(笑)。僕はもともと好きなのが、J-POPな感じの曲が結構多かったので。そこをうまく反映させられないかなって思って。

-先ほどルーツがバラバラだということでしたが、それぞれ自分に濃い影響を与えているのはどんな音楽、バンド/アーティストですか?

萌映:私は親の影響で宇多田ヒカルさんを聴くようになったのと、あとはお父さんが聴いていた徳永英明さんが出されているカバー・アルバムから、この曲いいなって思って原曲に辿り着くとか、そういう聴き方はしてきました。

けんじろう:僕は中学1、2年生くらいのときにBUMP OF CHICKENに出会ったのが、バンドが好きになったきっかけでしたね。大学に入るとシューゲイザーというジャンルに出会って、日本で言えばきのこ帝国やTHE NOVEMBERSのような、ああいうギターの音に惚れ込んで、今のクレナズムにもだいぶ影響をしているのかなって思います。

しゅうた:僕は小さい頃からエレクトーンをやっていたんですけど、エレクトーンって結構ピコピコした音も出るんです。それでエレクトロとかにハマって、中田ヤスタカさんとかを聴くようになって。バンドよりEDMとかをずっと聴いていました。

-でもドラマーなんですね(笑)。

しゅうた:そうなんです(笑)。ドラム自体は中学時代に"コピバンするからドラムやってよ"っていう感じで、ノリで勝手に決められたのが始まりなんですけど。クレナズムをやるようになってからちゃんとドラムをやり始めて。そこからはバンド・サウンドってかっこいいなって、バンドの音楽も聴くようになったので。聴く音楽の幅が増えたのは、メンバーみんなのおかげです(笑)。

-まことさんは、一番はどういうところですか?

まこと:一番強く残っているのは、小学生のときにいとこが"これ聴いてみな"ってウォークマンに入れたのが、ELLEGARDENと、あとはJAMIROQUAIだったんです(笑)。あとは兄ちゃんがヒップホップをよく聴いていたので、それは「解けない駆け引き」とかに繋がったのかなと思います。

-大学の同級生で結成して、この4人でどういう音を作り上げていくかは、早い段階で固まっていたんですか? それとも活動していくなかで、得てきたものですか?

まこと:最初は大学でコピー・バンドをやっていたんですけど。けんじろうのギターの音の感じと萌映ちゃんの歌声が良かったので──萌映ちゃんの歌声が、自分的にはあまりいないタイプのヴォーカルだと思っていたので。これはいいんじゃない? っていう浅はかな考えで進んでいましたね。

-最初に"これだ!"っていうものができた瞬間は?

まこと:「花弁」(2019年リリースの1stシングル『花弁/いつかの今頃』収録曲)は大きかったんじゃないかな?

萌映:そうかも。個人的にも手応えみたいなものがありました。それまでがなかったわけじゃないんですけどね。でも、バンドとして一番、それぞれの色が出ているということでは、「花弁」が大きなきっかけになったかなとは思います。