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INTERVIEW

Japanese

Loiro

Loiro

Member:RURI(Vo/Gt)

Interviewer:山口 智男

かつて天才ギター少女として話題になったRURIこと並木瑠璃と要注目の若手ベーシスト、Takuma Sato。ともに今年24歳のふたりが新たにユニット、Loiroを結成し、7月8日にシングル『GOD / POP's』を配信リリース。ユニットを代表して、RURIに登場してもらった今回のインタビューでは、男女ツイン・ヴォーカルとテクニカルなギターおよびベース・プレイを武器に、ハイブリッドなポップ・ミュージックを追求するLoiroについてはもちろん、ギタリスト/シンガー/ソングライターとしても新たなキャリアを歩み始めたRURIに心機一転、音楽に取り組む現在の気持ちや、これからのヴィジョンを訊いた。

-これまでシンガー・ソングライターとして活動してきたRURIさんが、新たにTakuma Sato(Ba/Vo)さんとLoiroというユニットを始めたきっかけを教えてください。

一昨年まで所属していた事務所を、大学卒業を機にやめてフリーでやっていこうと考えていたときに、たまたまTakuma君とTwitterで話す機会があったんです。彼とは前の事務所に所属しているときに、とあるお仕事で出会ったんですけど、"今何してんの?"と聞かれたので、"フリーだよ"って返事したら"えっ、フリーなの? だったらふたりで何かできたらいいね"って。そこから交互に曲を送り合うようになったんです。

-どんなことをやっていきたいという方向性も決めずに、ただただ曲を送り合ったんですか?

そうなんです。ほんとにノリだけで始めたんです。

-そうこうしているうちにユニットとしてちゃんと活動していこうとなっていった、と。

去年の12月ぐらいからそんな話が出始めて、今年の4月に"ちゃんと配信してみない?"、"いいよ"ということになりました。それで、Naru君というミックスもできるTakuma君の友達のトラックメイカーの子も入れて、ユニット名も決めてやってみようって曲を作っていったんです。Takuma君は女性アーティストとやるのも今回初めてだし、ギタリストとやるのもなかなかないしということで興味があったみたいです。

-RURIさんはSatoさんとやることにどんな可能性を感じたんですか?

私はずっとJ-POPを聴いてきたんですけど、逆に彼は洋楽ばかり聴いてきたんです。一緒に曲を作ると、そこが交ざり合うのが面白いと思いました。私が知らない曲を、Takuma君はいっぱい知っていて、プレイリストにして聴かせてくれるんですよ。ZEDDとか、NOTDとか、EDMが多いんですけど、洋楽ってリフがあって、どこがサビかわからない曲があるじゃないですか。そこが新鮮だったんです。逆にTakuma君は私が聴かせた中森明菜さん他、昔の歌謡曲を新鮮に思ってくれたみたいです。

-そんなふうにお互いに影響し合っているわけですね。ところで、大学卒業を機に事務所をやめたのは、事務所にいると、本当にやりたいことができないという理由からだったんですか?

事務所に入ったのが中学1年生のときだったんです。そこから本格的に曲作りを始めて、ずっと事務所の人に聴いてもらってということを繰り返してきたんですけど、普通だったら作りたい曲を作るじゃないですか。でも、私の場合、大人の顔色を見ながら作るようになってしまったんです。ギターも2歳の頃からやっているから、もう好きなのかどうなのかもわからないままただやっていたんですけど、曲作りも同じように、ただやっていた。そのうちに好きじゃなくなってきたんです。やらなくても普通にいられる。1ヶ月ぐらい弾かなくてもなんとも思わないようになっていた時期だったので、自分が本当に音楽をやりたいのか確認するために事務所を離れてみようと思ったんです。『GOD / POP's』のジャケットが鳥籠なんですけど、自分のことを事務所という籠の中にいる鳥みたいに思っていたんですよ。

-フリーになることに不安はなかったですか?

それが意外となかったんですよ(笑)。それまでいろいろお仕事をさせてもらってたら、不安に思ったかもしれないですけど、ただ所属していただけなので。大学を卒業するギリギリのときに"mellow"という映画の主題歌(「花になる」)を担当させていただいたんですけど、ちゃんとした仕事という意味では、それが初めてでした。その直後にやめちゃったんですけど(笑)、その曲は小6のときに作った曲だったんですよ。

-そうだったんですか。

そうなんです。歌詞は映画を観て、監督と話しながら書いたんですけど、本来はアコギを弾きながらバラードを歌いたいと思っていたわけではないんですよ。中には、そういう曲もあっていいんですけど、そういうところで葛藤しつつやりながら、事務所にいたらこの路線のまま持っていかれると感じたので、それは違うと思ってやめました。怖くて、声が出なかった時期もあったんですよ。ライヴも小さいところで、しばらく月イチぐらいでやってたんですけど、客席にはマネージャー含め関係者がずらっといて、ノリもしないし拍手もしないし。怖くないですか(笑)? それで結構落ちちゃったこともありました。

-事務所をやめてからはギターや曲作りを楽しめるようになりましたか?

楽になりました。何も要求されることがないから、自分で決められるし、音楽をやっている友人から"曲を作って"とか、"ミックスして"とか、頼まれても事務所にいる頃はできなかったんですけど、今はそれができる。"フリーになったんだ。だったら"っていろいろなお話をいただけるようになって、今は楽しいですね。

-ひとりのアーティストとして、ミュージシャンとして、どんな道を進んでいきたいと考えているんですか?

アーティストとして活動することよりも、曲のことを考えちゃうんですよ。構成とか、メロディとか、歌詞とか。そういうことを考えるともともとライヴは苦手だったので、自分が表に立つというよりは、人に曲を提供するほうが好きなのかなってのはあります。ギターも誰かのためにという気持ちのほうが最近は強いです。

-じゃあ、作詞作曲とか。

プロデュースとか。あとは歌い手として人の曲を歌うとか。声というか、"私、楽器です。どうぞ"みたいな(笑)。歌えないけど、曲を作るのはうまいという人を手伝いたいんです。私で良ければ、歌いますっていう。だから、自分の曲はあまり歌いたくない(笑)。トラウマなのか、自分の曲を自分で背負えないんです。だから、Loiroの曲もTakuma君に歌わせたんですよ。彼もこれまでは、ただベースを弾いている人だったから、この機会に前に出てほしかったんです。デモを送る段階で、"ここの歌はTakuma君"って書いたら、Takuma君が"えっ!?"ってなるという。"歌うの!? 俺"って(笑)。

-2歳からギターを始めているから、ギターが好きかどうかわからないとおっしゃったんですけど、好きだと感じたときもあったんですよね?

たぶん。たぶんですけど、"さんまのSUPERからくりTV"に(天才ギター少女として)出ていた頃は楽しかったと思います。みんなが歓んでくれるから、イェイ! って部活みたいな感じでやっていたんじゃないかな。そもそも好きなのかどうかなんて考えたことがなかったんですよ。考えたのは大学に入ってから。大学で軽音サークルに入ったら、めちゃ楽しかったんです。それまでは音楽の話ができる友達っていなかったんです......っていうか、友達がほぼいなかったんですよ(笑)。1年のときは講義もひとりで受けていたんですけど、あまりにもつまらないから、2年生になったとき勇気を振り絞って軽音サークルの新入生の歓迎会に行ったら、みんな"えっ!?"となって。"そういう人は今さら、軽音サークルになんて入らないんじゃない?"と。

-あぁ、天才ギター少女として活躍していたから。

でも、そこでそんなにメジャーじゃないバンドのエモみのある曲を教えてもらって、そういう曲をコピーするのが楽しかったんです。

-でも、周りの子たちと明らかにテクニックに差があるじゃないですか。

最初、新入部員だけのライヴがあったんですけど、そこでUNISON SQUARE GARDENをやって引かれました(笑)。そもそも誰とバンドを組むか決める会議があったんです。それぞれ胸に楽器歴の年数を貼るんですけど、私だけ1桁多い(笑)。恐れをなして、誰も一緒にバンドをやろうって言ってくれなかったんです。そのとき、私、髪の毛が真っ白だったっていうのもあったかもしれないですけど、最終的に同じ2年生の子と、4年生の方がやろうって言ってくれて。

-で、UNISON SQUARE GARDENをやって、引かれるという(笑)。

それから難しい曲ばかりやってと頼まれるようになりました(笑)。