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INTERVIEW

Japanese

Maki

2021年08月号掲載

Maki

Member:山本 響(Ba/Vo) 佳大(Gt) まっち(Dr)

Interviewer:三木 あゆみ

-今回は結構話し合いをして、できあがっていった感じだったんですか?

山本:そうだったのかな? でも、今回から弾き語りで持っていって録るとかではなくなって。家である程度ドラム、ギター、ベース、メロディの外側を固めた状態で持っていって、中を詰めていくっていうふうに作ったんです。

まっち:要は曲作りがアナログからデジタルになったんですよ。ようやくパソコンが使えるように成長したなっていう(笑)。

山本:「from」以外はだいたいそうですね。それがあったのでほか4曲は「from」よりはスムーズにいったかなと思います。

-では、各曲についても聞かせてください。「Soon」は、日々の中でこういうことを感じながら過ごしている人が前を向けるような言葉のひとつひとつが印象的でした。この歌詞を書いていたときはどういうことを考えていましたか?

山本:「Soon」と「車窓から」とかを書いたのはツアーの真っ最中だったので、そのことを結構思い浮かべてましたね。たぶん9割くらい。自分がバンドをやっているなかで気づいたこととか、思ったこと、みたいな部分は大きいと思います。

-疾走感があり、ギターのリフもかっこいいなと感じたのですが、サウンドで描きたかったイメージはどういうものでしたか? 結構温かみも感じられたような気がしたんですが。

山本:自分の中では、温かみゾーンと冷たいゾーンみたいなのが、しっかり分かれている曲なのかなと思っているんですよね。リード・ギターは佳大君が考えてくれて。

-響さんから佳大さんにリード・ギターについて要望はありましたか?

山本:スネアでリズム取れるくらいのリフが欲しいっていうのを言ったくらいですかね。

佳大:この曲の、メンバーからの"こうでしょ!"みたいなのは、ギター・ソロ以外はたぶんなかったかな。

-"こうでしょ"っていうのはどんなイメージだったんですか?

佳大:ギター・ソロがCメロのあとに入るんですけど、あのソロは右手がめちゃくちゃ速いんですよ。

まっち:あの気合のギター・ソロね。

佳大:最初はしれっとしたソロを弾こうと思ってたんですけど、いやここはこうでしょ! って――

まっち:すかしてんじゃないよ、もっとガシガシ弾いてほしいって(笑)。それで変わっていきましたよね。

-まっちさんはこの曲に対して、どのように向き合っていきましたか?

まっち:ドラムはCメロで急にビートが変わるところが一番の見せ場だなって考えていて。この曲は、実際サビはサビとしてあるんですけど、一番目立つところはCメロで、そこのビートのノリというか、聴いている側がそのビートを聴いてどういうふうにノるか、一番気持ちいいビートを探して当てられたかなと思いますね。そこはほんとにこだわりました。

-続く「fall」は、Aメロで2ビートが出てきますが、こういうノスタルジックな空気を纏った2ビートのサウンドを取り入れられるのは、Makiならではの武器な気がしました。

山本:2ビートのバスの部分は迷ったよね。いつもの数にする? どうする? みたいな。

まっち:手が同じでもバスの入れ方でノリが違うよねっていう話になって。今回は疾走感というよりかは、おっしゃっていただいたようなノスタルジックな感じを出したかったんです。僕らは今まで疾走感のある2ビートしかやってこなかったので、そこでの入れ方は結構迷って。最後、あれでハマったっていう感じですね。

-こういうサウンドを作れるのはシンプルにすごいなと思いました。あと、Makiは秋が似合いますね。「秋、香る」(2018年リリースのミニ・アルバム『グッド・バイ』収録)という曲もありますし。

山本:秋が好きなんですよね。自分の誕生日があるからなのかなぁ(笑)。でも、季節の肌触りとか、やっぱり好きですね。「fall」はこのEPの中でもお気に入りかもしれないです。情景描写もうまくできたんじゃないかなと思っていて。この曲のことは3時間くらい話せますよ。好きすぎて(笑)。

-(笑)一番お気に入りの部分はどこですか?

山本:一番気に入っているのは、それこそさっきの2ビートの部分から最後の部分ですかね。ここの対比は電車に乗っているときに思いついて。電車に乗っているときって、外の景色がゆっくり流れていくじゃないですか。で、降りて外から電車を見たら、電車ってめっちゃ速い。っていうところから、内面と外見の違いみたいなのが音で出たら面白いなと思って。デモの段階で、最初の部分はバスドラをちょっと減らして、コード進行の間隔もちょっと長くして、ゆっくりな感じに聴こえるようにしたいなって考えていたんです。そこから電車を降りて、外から見たときの電車を表すためにコード進行を細かくして、少し不安定な音とかも入れて、過ぎ去っていく感じを出せたら最高やんと。それが、自分が持っている知識、持っているものでうまくできたので、自分でも勉強になった曲ですね。

-この曲は情景がバッと頭に流れる感じがありますよね。そして、「車窓から」はシンガロングがエモーショナルな3拍子のバラードです。最後のドラムが変化してくるところは、聴きごたえもあって面白いなと思いました。

まっち:そこのビートは気持ち悪いですよね。バンドとしても3拍子の曲が初めてで、最初に作ってみたときにすごく単調な3拍子の曲になってしまって、バラードだし、このテンポで3~4分聴かされたらちょっと飽きちゃうなって思って。それで、今言ってたちょっと変なビートを入れてみたりしたんです。自分の中で3拍子の曲の引き出しが少なくて、それをどうにか増やしていくためにいろいろ考えたという点ではちょっと大変でしたね。

-佳大さん、響さんはこの曲について、いかがですか?

佳大:「Soon」もそうなんですけど、「車窓から」は1曲通してリードが入っていて。こういうのは今まで弾いてこなかったので、挑戦にはなりましたね。

山本:ベースは渋くって感じにしてます。ずっとルート弾きなんですけど、締まるところだけちょろっと入れてますね。この曲は、夜の高速道路にいるときに歌詞を書いたんです。さっき18日間の遠征の話あったじゃないですか。ほんとにあの最中に全部書いたんで、そのときの思い入れが強いですかね。歌についてはおっきな声でハキハキと歌いました。

まっち:小学生やん(笑)。

山本:あと、この曲はサビがどこか人によって解釈が変わるだろうなって思いますね。

-たしかに。バンドとしては決まっているんですか?

山本:全部サビかなぁ。難しいっすけどね。サビっていう概念も難しいし。まぁでも、個人的には最初の2行がこの曲の中では一番好きかもしれない。収まりがいいというか、頭でちゃんと全部提示される感じが結構好きですね。