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INTERVIEW

Japanese

夜韻-Yoin-

2021年01月号掲載

夜韻-Yoin-

メンバー:あれくん(Vo/A.Gt) 涼真(Composer/Gt) 岩村 美咲(Pf/Director)

インタビュアー:稲垣 遥

アコースティック・ギターの弾き語りを軸に切ない恋心を描いた楽曲が、10代を中心に支持を集めているネット発シンガー・ソングライター あれくん、オルタナティヴ・バンドのギタリスト 涼真、音大卒でクラシックをルーツに持つピアニスト 岩村美咲の3人が2020年に結成した夜韻-Yoin-。同年8月に配信した第1弾曲「Seafloor」のMVが30万回再生を突破している彼らが、同曲を含むメジャー1stミニ・アルバム『青く冷たく』をリリースすることになった。特筆すべきは史上初のノンストップ・ミックス・アルバムでのデビューになるということと、1枚である物語を描いたコンセプチュアルな作品であること。フレッシュな好奇心を詰め込みながら自信作と言いきる1枚を完成させた3人に、夜韻-Yoin-というユニットや、作品について話してもらった。

-3人の出会いは、あれくんが2020年3月にソロでリリースしたアルバム『白紙』の制作時だったそうですね。

あれくん:はい。そこで僕が一緒に活動していたドラムの子がいて、その子の人脈でふたりを紹介していただいて、そこから繋がって声を掛けたって感じですね。

-そこにはどういう意図があったんですか?

あれくん:3人それぞれのやっている音楽の畑が違うので、興味本位というか、好奇心から面白そうだなって。不思議な音楽ができるんじゃないかと。ジャンルにとらわれずに、いろんなことができればなっていう考えのもとで結成をしました。

-音楽の畑が違うというのは、あれくんはポップスを軸にしたシンガー・ソングライターで、涼真さんはオルタナティヴ・ロック・バンド(MAKE OWN LIFE)を組んでいて。

涼真:そうっすね。もう(※Skream!マガジンを持って)こういう感じっす。

一同:(笑)

-まさにですね、ありがとうございます(笑)。で、岩村さんはクラシック出身で。あれくんは前々からソロ以外にこういったユニットでの活動もしたいと考えてたんですか?

あれくん:もともとうっすら考えはあったんですけど、そんなに明確な何かがあったってわけではなかったですね。

-じゃあふたりと実際に作業をしてみて思いついたと。

あれくん:そうです。

-歌に加えてギターを弾く人がふたりとピアニストというこの編成も、イメージしていたわけではなかったんですか?

あれくん:はい。結成したときは考えてなかったですね。

涼真:最初はトラックにしようってなってましたね。ちょっと四つ打ち系っていうか、そんな感じでやろうとなってたんですけど、世界観を作っていくうえで、バンド・サウンドやりたいなぁって変わって、今はあんまり編成にこだわらず、制作しています。

あれくん:作りたいものを作ろうみたいな。

-楽曲を聴いていて、それぞれ個人ではできないことに意欲的に取り組んだんだなという印象があります。みなさんソロや、自身のバンドの曲を作るときと比べて夜韻-Yoin-の曲作りで意識していることはありますか?

涼真:バンドと、僕らみたいななんでもやる系のユニットって、フォーカスするスポットが僕の中では違ってくるんです。単純に聴いてくれる人たちの層も違ってくるだろうし、ヴィジュアルに寄せた音楽を鳴らすのかとか、ストーリー性に共感を得てもらうのかとかもすごく違うと思うんです。こういうふうに聴かせたいなみたいなのはありつつ、勉強しながら探り探り制作していました。

-おふたりはいかがですか?

岩村:あれくんが曲を作って、涼真君はギターとアレンジもがっつりやってくれるうえで、"こういう世界観がいいんじゃない?"って3人で意見を出し合って広げていくんですけど、そこに自分のピアノがあって。"化学反応"って最初「Seafloor」を作ったときに呼んでたんですけど、違う畑で育ったからこその3人の調和を出せたらと意識しています。

あれくん:僕は本当にメロディとか、歌詞とか、作るものに関しては全部直感で。個人の曲のときも作り方は一緒なんですけど、個人のやつだとどストレートに書いてる歌詞が多いんです。でも、夜韻-Yoin-だと直接的なものじゃなくて、比喩を使ってわりとふわっとした意味合いを持たせてて。そこに答えを設けるんじゃなくて、世界観を聴いて感じてもらうのが夜韻-Yoin-のやり方だと思ってます。

-おっしゃっていただいた通り、直接的なメッセージを届けるというよりは、物語を描いているような音楽ですよね。涼真さんからリスナーの層の話もありましたが、リアルなシチュエーションを描くあれくんソロの音楽のファンは、10代が多いイメージがありますけど、夜韻-Yoin-の音楽は比喩的な表現が多いからこそ、世代などに関係なく届くように思います。

涼真:3人でやってるからこそどうしても出てきちゃうずれみたいなものが、そういう広いところに向けた音楽に繋がってるんじゃないかなと思って。特に"10代女子狙おうぜ"とかって作ってるわけじゃないから、必然的に楽曲の世界観がそうなっていく。僕たちは3人でやってますって謳ってるわけですから、それを良さにしていかないとと思っています。特にアルバム制作のときにはみんな考えてること違うんだよなとも感じつつ、それがひとつの形にまとまると、言ってもらったようにどこの世代をターゲットにしてるかわからない感じになって。僕はそれがすごく好きだなと思いますね。

-また、みなさん"夜好性"と呼ばれるアーティストからの影響も公言されていて、今回の資料にも"夜好性"向けアーティストとあるんですが、自分たちではそこについて仲間入りしたいというような感覚なんですか?

涼真:いちアーティストとして近いところにいるなぁっていうのは自分たちで思ってるので、別に戦いとかはなくて普通に共存したいっていうか、リスナーさんたちがそこと同じくらいで聴いてくれたらいいなと。こっちも好き、こっちも好きって中に僕ら夜韻-Yoin-も一緒にいれたら嬉しいなって思いで、1年目はやらせてもらってます。

あれくん:謙虚にね(笑)。

-わかりました。出会った当時は涼真さん、岩村さんはあれくんの作品を作るレコーディング・メンバーだったと思うのですが、今は3人のユニットになって。関係性も変わってきたりしましたか?

岩村:やっぱり一緒にいる時間が長いとそれなりに人間性とかお互い知ると思うんですけど、最初からめちゃくちゃ仲いいと思います。初日から。

涼真:でも、もちろん最初より仲良くなってますね。俺はずっと後輩魂貫いてますけど。

あれくん:(笑)でも、もともと波長が合うなって気はしてて。そこから3人共一切ブレなく活動できてるのが、仲のいい秘訣でもあります。そこがうまく調和できてるのもあって、3人共音楽の畑が違うけど、うまくやりたいものができたりいい音楽に昇華できたりしてるのかなって実感してます。

-単にプレイヤーでなく、涼真さんはコンポーザー、岩村さんはディレクターというポジションでもあるんですもんね。具体的な曲作りはどのように行っていきますか?

あれくん:最初に僕が作詞作曲をしてから美咲に渡して。

岩村:間奏が何小節あってA、B、Cメロとか全体の構成と、このコードこっちのほうがいいなって確定をして、整理をして楽譜とベーシック・データを涼真君に投げてます。そこから涼真君にアレンジしてもらって。

涼真:来たデータをいい感じにかっこ良くしてます。

-今回リリースされるミニ・アルバム『青く冷たく』の曲も、そういった方法で作っていった曲が多いですか?

あれくん:「Seafloor」だけ僕と涼真君が一緒にいたときに、ぱっとね(笑)。

涼真:そうですね。僕の家で一緒に制作しててぬるっとできたっていうか。出てきたアコギのコードをリアルタイムで僕がPCでいじって、それと同時に歌詞を作って。要するにオケ先で作った曲なんですよ。それを美咲さんに送ってピアノがきて。実際3~4日しかかかってないんじゃないかな。「Seafloor」はより直感的だったかもしれないですね。

-それが最初の曲作りですか?

あれくん&涼真:そうですね。

-じゃあ、「Seafloor」があった状態でそれをもとにミニ・アルバムを作っていった?

あれくん:でも、「Seafloor」を作った段階で、コンセプトを持ってミニ・アルバムを作ろうって思ってたわけじゃなくて。その次に曲を作るときに直感的に降りてきた歌詞に、ちょうど似てるなってところがあったんで、これを繋げたら面白くなるんじゃないかな? と思って繋げていったらミニ・アルバムができあがったって感じです。

-先に全体の構想を考えていたのかなと思ってましたが、「Seafloor」ができたあと、続編や前のストーリーを作っていった感じだったんですね。

あれくん:着色みたいな感じですね。

-なるほど。本作は、ノンストップ・ミックス・アルバムというのがトピックとして大きいと思うんです。これは、ミニ・アルバム全体をひとつの物語として聴いてほしい気持ちから生まれたアイディアだったんでしょうか?

あれくん:そうですね。そこが一番大きいです。

岩村:1曲目から通して聴いてもらいたいなと思ってます。

-サブスクが主流になって、アルバム単位で聴く人が減ってきていると言われるなかで、実際はボーナス・トラック含め7曲あるけど、それを繋げて1トラックにすることで、アルバム全曲を聴かせるというチャレンジなのかなと思ったんです。

涼真:そういうとこかっこいいですよね。

あれくん:(笑)メジャーの強みでもあって。あとコアなファンの子たちに限るのかなと思うんですけど、サブスクとかだと自分の手元に残らないじゃないですか。データとしては残るだけで。CDだと自分の手元に残るので、それも強いのかなと思ってます。

-にしても、今からファンを獲得していこうという一発目のミニ・アルバムで、挑戦的だなという印象でした。でも、聴いてもらえる自信がきっとあるってことですよね。

涼真:そうですね。飽きないで聴けるっていうのはすごく感じました。6曲とかフルで聴いたら、集中力続かなくてキツいときもあると思うんですよ。このアルバムだったらいけるなぁって。

-全部通して18分くらいっていうのもちょうどいいかもしれませんね。

あれくん:そうですね。

涼真:聴ききれるっていうか。それにストーリー性が入ってくるから、普通の曲とは違う聴き方ができるのかなって。CDにも地図とか、世界観が表れたものが入ってて、そういうものを見ながら聴いたら面白いなぁって思いますね。