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INTERVIEW

Japanese

the circus

2020年11月号掲載

the circus

メンバー:楠 敦志(Vo/Ba) 藤岡 佑樹(Gt/Vo) 安田 伊慶(Dr) 西川 真由(Key/Vo)

インタビュアー:山口 智男

"気怠いダンスと焼き付くギター。唄うサイケデリック・ポップ。ロックンロールサーカス"と自ら掲げる5人組ロック・バンド、the circusが初の全国流通盤となる2ndアルバム『PARK』をリリース。メインストリームとは一線を画する、その気怠さはたしかにこのバンドの大きな個性には違いないが、『PARK』の全12曲を聴けば、彼らの魅力がそれだけにとどまるものではないことがわかるはず。初の全国流通盤を完成させた手応えをメンバーに訊いた(柳原太郎は欠席)。

-the circusは2015年に徳島で結成されたそうですね。どんなふうに現在の5人が集まったのでしょうか?

藤岡:ちゃんあつ(楠)が先輩とやっていたバンドを、たまたまライヴハウスで観たら、ライヴがすごく良くて。自分もやっぱりバンドをやりたい、気怠い感じのロックンロールができたらいいなと思って、ちゃんあつと飲んだとき、"メンバーを探しているんだけど、ベースがいないんだよね"って言ったら"俺やろ"と言ったんで、"そうなん?"ってそこは即決で決まったんです。そのあと、もうやめちゃったんですけど、ブルースマンのギタリストと、ほぼ初心者のドラマーを入れて結成したっていうのが最初でした。

-そのあと、西川さんが加わった、と。

藤岡:そうですね。結成から1年ぐらいした頃、ブルースマンのギタリストが地元に帰ることになったので、代わりのギターを入れないとってときに鍵盤も入れたいということで、以前ライヴを観たことがあった真由ちゃんと、仲良くしていたブルースやハード・ロックが好きなギタリストの太郎(柳原太郎/Gt)が加入して。しばらくはその5人で活動を続けていました。で、2018年の頭ぐらいにドラムが抜けて、以前から仲良かったただよし(安田)に交代して、今の5人になりました。

-気怠い感じのロックンロールをやりたいと藤岡さんは考えていたそうですが、楠さんはそのアイディアに乗ったわけですね?

楠:そうです。それ以前に僕がやっていたバンドはポスト・ロックみたいなことをやっていたんですけど、歌が効いているオールディーズなロックがやりたいと密かにずっと思っていたんです。

-藤岡さんと楠さんの間で、こういうバンドがやりたいねと具体的なバンド名はいくつか挙がっていたんですか?

楠:こういうバンドをやりたいって話をしたわけではないですけど、ビートルズ(THE BEATLES)とか、60年代のバンドが好きというところは共通してましたね。

藤岡:僕はストーンズ(THE ROLLING STONES)がすごく好きなんですけど、ビートルズも好きでしたし、同じようなバンドがお互いに好きだというのはわかっていたので、言わずともわかっているみたいなところはありましたね。

-今回、『PARK』を聴かせてもらって、日本語のロックに影響を受けたバンドなんだとばかり思っていました。例えば、6曲目の「渚」の歌詞には"はらいそ"という言葉が出てきます。

楠:はい。

-細野 晴臣 & イエロー・マジック・バンドに"はらいそ"ってタイトルのアルバムがあるじゃないですか。そこからの連想で、はっぴいえんどの影響を受けているのかな、と。

楠:はっぴいえんどは好きなバンドのひとつではあるんですけど、取り立ててすごく好きというわけではないです。細野晴臣さんはずっと好きですね。

藤岡:僕もはっぴいえんどや細野、大瀧詠一は好きな音楽の中のひとつという感じです。

-ビートルズや、ストーンズのほうが上位に来る、と。

藤岡:そうですね。

-西川さんは、そんなふたりに誘われたわけですが、音楽的なバックグラウンドはふたりと似通っているんですか?

西川:誘われた当時は、ユーミン(松任谷由実)さんとか松田聖子さんとか、昭和のポップスが好きでした。バンドとしてサーカス(the circus)はよく知っていたし、いいバンドだと思っていたので、声を掛けられたときは嬉しかったです。

-安田さんは、どんなバックグラウンドの持ち主なのでしょうか?

安田:正直、これだというバックグラウンドがあったわけではなくて、大学に入ってから楠に教えてもらいながら、いろいろなジャンルの音楽を聴いたり、ポスト・ロックのバンドで叩いたり、ブルースのセッションをしたりしてきました。

-『PARK』はいただいた資料で謳っている"気怠いダンスと焼き付くギター。唄うサイケデリック・ポップ。ロックンロールサーカス"というキャッチコピー通りの作品ですが、気怠いというコンセプトというか、ワードはどんなところから出てきたものなのでしょうか?

藤岡:自分が怠惰な人間だからかな。ずっと寝てられるんですよ。

楠:サーカスの5人に共通していることって怠惰さだと思います。

一同:はははは(笑)。

楠:誰ひとりちゃんとしていない。怠惰であることが音楽に零れ出てしまっているんだと思います。

藤岡:たしかに(笑)。

-怠惰って言ってしまっていいかわからないですけど(笑)、たしかに気怠さっていうのはthe circusというバンドの大きな個性、魅力になっていると思います。

藤岡:そう言ってもらえると、嬉しいです。

-ただ、みなさんまだ若いしロック・バンドだし、もっとアップテンポの曲を演奏したくなるときもあるんじゃないかと思うんですけど。

楠:それがないんですよね。どんどん遅くなる。

藤岡:ライヴでやっていると、曲を作ったときよりも遅くなることが多くて、昔の動画を観ると、"速っ"てことがよくあります。

楠:あるよね。

-でも、それが自分たちの魅力だ、と?

楠:真面目にできるものならやっていきたいんですけどねライヴを観ていたお客さんから"ダルい感じでしたね"って言われると、褒められてるのかな、どうなんかなって思います。

-結成から5年活動を続けてきて、目標や、バンドが目指すところはどんなふうに変化してきましたか?

楠:昔は、一度フェスに出てみたいと思って、"りんご音楽祭"のオーディションを受けて出演したこともあったんですけど、今はいい作品を作りたいという気持ちが強いです。もちろん、今もライヴやフェスに出るのは楽しいですが、段々と音楽を作ることに時間をかけたいと思うようになりましたね。

-じゃあ、『PARK』がthe circus初の全国流通盤になったのは、全国の人に届けたいと思えるくらい、いい作品ができたからということなんですね?

楠:それくらいいい作品ができたから、ということではないですね。完全に満足するってことはありえないから、いつだって不完全というか、何かが不足しているとは思うんですけど、今の精一杯のもので作ったアルバムだから、たくさんの人に聴いてほしいと思っています。

-どんなアルバムにしたいと考えたんですか?

藤岡:活動しながら曲を作って、ライヴで演奏してきたんですけど、音源を作るってことをあまりやってこなかったので、まずは、ライヴで演奏している曲をきちんと聴ける状態にしたいというところが最初です。やっぱりいろいろな人にちゃんと聴いてもらったほうがいいし、何よりもライヴって自分らが客観的に聴けないので。自分たちの曲を客観的に聴きたかったので、"じゃあ録ろうか"というところから始めました。今回はもうひとつテーマがあって、曲を書く人が増えたらどうなるかなという。

-なるほど。3人のヴォーカリストと3人のソングライターがいるのは、そういうわけなんですね。

西川:そうです。これまではちゃんあつさんと藤岡さんがメインで曲をずっと書いてたんですけど、今回アルバムを作り始めるときに、"5人全員が作曲してみないか"という話が出たんですよ。結局、作ったのはふたりと私だけだったんですけど(笑)。