Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

MENU

INTERVIEW

Overseas

SIX60

SIX60

Member:Matiu Walters(Vo/Gt) Ji Fraser(Gt) Marlon Gerbes(Syn/Sampler) Chris Mac(Ba/Syn) Eli Paewai(Dr)

Interviewer:菅谷 透

母国ニュージーランドを含むオセアニア地区で高い人気を誇り、今年2月には同国のアーティストとして最大級となる5万人規模のスタジアム・ライヴをソールド・アウトさせている実力派バンド SIX60が、ショーケース・ライヴを行うため初来日。折しも"ラグビーワールドカップ"の真っ只中とあって、バンドともゆかりの深い同国代表"オールブラックス"のファンまで詰めかけた熱狂のライヴとなった。Skream!では、公演の翌日10月31日にバンドに取材を敢行。結成の経緯や、さらに多彩なジャンルを取り込んだ最新アルバム、そしてバンド自身の"ルーツ"についてなど、様々な話を訊いた。

-まず、バンド結成の経緯を教えていただければと思います。手元の資料には、MatiuとEliが大学時代に所属していたラグビー・チームで結成されたとありますが。

Matiu:君が言ったとおり、俺とEliが同じ大学で一緒にラグビーをしていたのがきっかけではあるね。でも、そこから急にバンドを始めようと決めたわけではなくて、時間をかけてそれぞれのメンバーと知り合って、自然発生的にバンドが結成されたんだ。俺たちはニュージーランド南部のダニーデンという街に住んでいて、そこで勉強したり仕事したりしていた。Eliとはラグビー・チームが一緒だったし、Jiは寮が同じだったよ。

Marlon:俺とEliは高校が一緒だったんだ。

Matiu:そういう意味では、とてもユニークな成り立ちだと思う。ある日"よし、バンドをやるぞ!"と決めたというよりは、バンドという形態で音楽を作ることの喜びから生まれたというところがあるね。それは音楽生活でも同じで、自分たちが好きでやっていることが自然に様々な出来事へと繋がっているんだ。

-ニュージーランドのラグビー代表"オールブラックス"とは、キャンペーン・ソングを担当したり、親善試合でパフォーマンスを披露したりと関わりが深いですが、どういったきっかけで?

Ji:ここ何年かの間に、バンドと"オールブラックス"との関係が深まっていったんだ。チームとハングアウトしたり、試合を観に行ったりね。お互いがそれぞれのファンだから、"オールブラックス"が俺たちの曲をキャンペーン・ソングに使ってくれたのはすごく自然な発展だったと思う。こうして今、ワールドカップの期間中に現地でチームを応援できることはとても光栄だよ。

Matiu:"オールブラックス"の選手たちは、試合に出場する前の最後の曲として俺たちの曲を聴いてくれているんだ。それもスポーツのファン――特に"オールブラックス"のファンと、俺たちのファンが結びつくきっかけになっているね。

-"オールブラックス"の公式プレイリストにも楽曲(「The Greatest」)が選ばれてますよね。

Matiu:そうだね。本当にクールなことだよ。

-"SIX60"というバンド名の由来についてもうかがえますか?

Matiu:俺たちがバンドとして一緒に演奏を始めた頃、ダニーデンにあるキャッスル・ストリートの660番に住んでいたんだ。――それが由来だよ(笑)。

Chris:そのあたりは、大学生くらいのやんちゃな連中が住んでいるという意味で悪名高い地域だったんだ。パーティーの一環でソファを燃やしたりね(笑)。

Matiu:(笑)そこの住人はみんなひっくるめて"660 Boys"と呼ばれていたんだ。

Eli:改名しようとしたこともあったけどね(笑)。もう変えられないくらい定着してしまったよ。

Ji:(※日本語で)チョーカッコイイ(笑)。

-(笑)SIX60の楽曲は、ロックや、R&B、ポップ、レゲエなど、様々な要素がミックスされたサウンドだと感じました。音楽的なバックグラウンドを教えていただけますか?

Chris:俺たちはそれぞれレゲエ、パンク、ヒップホップ、メタルなどいろいろなものを聴いて育ってきているから、ひとりひとりの好みをベン図にしたときに重なり合う部分がSIX60の音楽だと言えるね。

Matiu:みんな他のメンバーが嫌いなジャンルの音楽を聴いているんだよね(笑)。俺たちはすべての音楽のファンで、音楽全体への愛を曲に落とし込もうとしているんだ。クリエイティヴな面でも、特定のジャンルを考えていると限定的で小さくまとまった内容になってしまうから、そうした枠組みは制作プロセスでは考えないようにしている。そうすることで、より根本的なサウンドができると思っているよ。また、音楽を通じてみんなをひとつにするというフィーリングが大事なんだ。俺たちはずっとそれを探求しているから、SIX60は進化し続けるモンスターみたいなものだよ。次に何をするかはわからないけど、その可能性にインスピレーションを感じているんだ。きっと誰も聴いたことがないような音楽になるだろうからね。

-なるほど。ところで、これまでのアルバムはすべて"Six60"とセルフ・タイトルが付けられていますね。今度リリースされるニュー・アルバムもそうですが、特定のタイトルを命名しないのはなぜなのでしょうか?

Matiu:バンド名の由来と同じで、周りが勝手にそう呼び始めたから変えたくても変えられなかったんだ(笑)。アルバムのタイトルに関しては、ファンとのコラボレーションという感じで、彼らに委ねているところもあるね。1stアルバム(2011年リリース)は"ゴールド・アルバム"、2ndアルバム(2015年リリース)は"ザ・カラーズ・アルバム"と名付けられたけど、今度のアルバムがどう呼ばれるかはわからないよ(笑)。

-ニュー・アルバム『Six60』は、前作のポップ、R&B路線を踏まえつつ、バンド・アレンジの幅がさらに広がった作品だと感じました。サウンド面で意識したことがあれば教えていただけますか?

Matiu:今回は、意識的にマオリ(※ニュージランドの先住民)の民族楽器を用いたんだ。木製の大きなラッパとか、ホラ貝とか、伝統的な横笛とかいろいろ使っているんだけど、そうした楽器の音色が、音楽の中から強く光り輝いて現れるような構成にしたかったんだよ。世界中に自分たちのルーツを知ってもらいたいという想いがあったからね。プロデューサーのMALAYが、楽器の音をサンプリングしてモダンで格好いいサウンドにしてくれたよ。

Ji:そういった民族楽器の、一番クールなサウンドをレコーディングできるように心掛けていたよ。