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INTERVIEW

Japanese

シイナナルミ

2019年11月号掲載

シイナナルミ

Interviewer:高橋 美穂

-漠然とテレビに出たいと思う人ってたくさんいると思うんですけど、実際そのためにはネタやコンテンツが必要じゃないですか。あるいは、自分のセールス・ポイントとか。特にYouTuberには、そういうアイディアを自ら考えて形にできる人じゃないとなれないと思うんです。シイナさんは自分のチャンネルを持つにあたって、最初からアイディアが浮かんできたんですか?

もともと女子あるあるのショート・ムービーを動画で上げていたので、そこから即興コントみたいなことをやるようになって。さらに、そこから派生した脚本を書くようになったっていう。だから、すべてのことに共通する部分があるんですよね。

-まさに、歌も女子あるあるじゃないですか。

そうですね、はい。

-女子あるあるを自分の持ち味にしようと思ったんですか?

そうですね。最初は、例えば自分よりブスと思っている子のことを"かわいい~!"って言うとか、自分よりかわいいと思っている子のことは、陰で"でも、性格悪いらしいけどね"って言うとか(笑)、そういう女子の毒みたいな部分を出していたんですけど、そこから恋愛系のあるあるも上げるようになって。そうしたら反響が大きかったんですよね。"なるみんが言ってくれるから、こう思っているのは私だけじゃないって思えます。ありがとうございます"ってコメントをいただいて、私はこれでやっていこうと思いました。

-リアクションもありきだったんですね。

はい。みなさんの声が大事でした。

-その結果、"メンヘラ系YouTuber"、"ぶっちゃけ系YouTuber"と言われるようになって。そのことに対しては、どう思いますか?

私は元カレの話もするし、なんでも話すんですけど、それがシイナナルミなんですよね。これまでの経験があるから、脚本や歌詞が書けているので、全然大丈夫、というか嬉しいです。

-たくさんの反響を得て、ここまでぶっちゃけている人って今までいなかったのかな、自分の存在が貴重なのかなって思うこともあるんじゃないんですか?

私、高校生のときから学校でも有名なメンヘラだったんです。例えば、彼氏に専用の携帯を渡していたんですよ。それが普通だと思っていたんですけど、社会に出て自分が違うんだって感じるようになって。でも、そう思っている人って、世の中には何人かいるんですよ。私はおかしいんだって思って、その気持ちを隠している人が。だから、私がSNSでいろいろ発信することで"私だけじゃないんだ"って言ってもらえると、この活動をやっていて良かったなって感じます。これからもぶっちゃけたいし、周りからおかしいと思われることもどんどん発信していきたいですね。

-女の子たちの味方ですね。

自分で言うと嫌われることってあるじゃないですか。そういうことは、私のツイートをリツイートすることで彼氏に気持ちを伝えてねって言っています。"なるみんが言ってること、私もそう思う"って、私のツイートを利用してねって。

-いいSNSの使い方ですね。シイナさんの優しさが出ているというか......表現そのものの過激さとは裏腹ですよね。だって、1stシングル(2019年9月リリース)のタイトルが"君のパンツを食べたい"ですよ!?

メジャー・デビュー1枚目は、とにかく多くの人の耳に残るように......いいとか悪いとか別にして存在を知ってほしかったんですよ。100人いたら100人にいいって感じてもらえなくても全然いいから、"君のパンツを食べたい"って何!? シイナナルミって誰!? って思ってほしくて。だから、あえて奇抜なタイトルにして、実際には純粋に人を思う気持ちが歌われているっていうふうにしたんです。曲も中毒性を持たせて、なんか口ずさんじゃう、なんか聴いちゃうっていうものになるように意識しました。

-そうそう、本当は純粋な歌詞なんですよね。結論は"特別なこの気持ちは君にだけ抱くの"だし。

そう、だからここまでのすべては、好きな人のものは全部欲しいっていう気持ちを言うためのフリなんです。配信で、彼氏の匂いのついた服を枕にして寝たいとか、彼氏のパンツを食べたいよねっていう話をしたときがあって、ファンの子も"わかるー!"って言ってくれて。でも、それは誰に対しても思うわけじゃなくって、好きな人だからっていう。恋愛って極端だと私は思っていて。好きか、そうじゃないかっていう。その好きなほうを私なりに表現するとこうなるんです。大好きとか愛してるとか、わかりやすい言葉も素敵だと思うんですけど、私にしかできない表現をするとこうなります。

-ある種の変態性が出てしまうのも、すべてを振り切るくらい好きだからなんですよね。恋愛って、何よりも人の心を剥き出しにしてしまうものだし、しなければできないものだし。

うん。気持ち悪いって思われてもいいくらい好き。それをただただ言いたいっていう曲です。

-そして、1stシングルの2曲目「俺なんかにはもったいないと言って振る男」は、まさにあるあるですね。

そう。これは、リスナーさんのお悩みを解決していく配信をしていたら、こういうお悩みが多かったんです。だから、リスナーさんと一緒に作ったような曲ですね。

-ガールズトークから生まれたんですね。

そうそうそう!

-かなりスッキリする......はっきり言うと悪口が出てきます(笑)。

そうですね(笑)。でも、最後は"きらいに なるよ、 いつか..."で終わっていて。私も、嫌いになりたいから、別れたあとって彼氏の悪口を言うんです。でも、悪口を言っているときって、まだ好きじゃないですか。そういう微妙な感情も入っています。あとは歌詞のサビに"カス^_^"って顔文字が入っているんですけど、これは、女の子って怒っているときこそ笑顔の顔文字を使うっていう女子あるあるですね。そういうものも盛り込んでいます。

-そうそう。だから、悪口が際立っていますけど、実はこの歌詞の女の子はかわいいですよね。

ありがとうございます。悪口を言っているけれど、好きだから嫌いになれないっていう。こういうのって、みんな持っている考え方だと思います。