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INTERVIEW

Japanese

Rei

2019年11月号掲載

Rei

インタビュアー:石角 友香

卓越したギター・プレイと、シンガー・ソングライターとしての気質、素質を兼ね備えたアーティスト Rei。1stアルバム『REI』ではちゃんMARI(ゲスの極み乙女。)やマナ、カナ、ユナ(CHAI)、ASA-CHANG(ASA-CHANG&巡礼)ら多彩な面々を迎えてカラフルでレンジの広い音楽性を届けてくれたが、今回のミニ・アルバム『SEVEN』ではミニマルな編成で7曲それぞれの世界観を見せることに挑戦している。2015年のデビューから早くもディスコグラフィ、7作目となる本作のテーマ、そして曲ごとに取り組んだアレンジや、サウンド・プロダクション、歌詞面での創意工夫など、全身音楽家 Reiの思考の一端をお届けしよう。

-前作『REI』(2018年11月リリースの1stアルバム)をひとつのピリオドというふうに捉えてらっしゃったようなので、今回の作品に向けて次のテーマを模索する部分はあったんでしょうか。

これまで3枚のミニ・アルバム、2枚の4曲入りのシングルのような作品と、最後に1枚のアルバムということで。一応3、2、1で、自分にとってはひとつのストーリーの終わりを迎えたような感覚はありました。で、今回、また新たな物語の始まりということで、最初はちょっと身構えていた部分もあったんですけど、純粋に今、一番、表現したいことを純度100パーセントで表現しようという意気込みで作った作品になっています。

-今回、編成的にはミニマルというか、シンプルなんだけどReiさんのギタリスト、ヴォーカリストとしてのコアが聴こえるなと思いました。ご自身としては今回の作品は何が取っ掛かりでしたか?

まず、タイトルをなぜ"SEVEN"にしたかというと、7作目のCDで、7曲入りで毎日聴けるんで、"週7で聴ける七変化の作品"ということで、いろんな意味が"7"にこもってる作品になってます。"SEVEN"という言葉の中に"EVE"という言葉が隠れてるんですけど、前夜という意味があります。そういう革命前夜を彷彿とさせるような、これから何か新しいことに挑戦しようとしている人の背中を後押しするような、パワフルで芯のある作品にしたいなと思いながら作っていました。もちろん、届けるだけでなくて、私自身の決意表明でもあって。自分の中に揺るぎない軸をちゃんと強化しなきゃいけないなって危機感もあったので、そういうものと向き合いながら作った作品になっています。

-Reiさんにはずっと軸はあると思うんですけど、強化したい?

うーん、やっぱりテクニックの向上とかそういう部分もありますし、あとは新しい価値観を取り入れる柔軟さっていうのは、軸を強化することだと思います。以前は少なからず人の意見を取り入れるということは自分の作品性の統一感が希薄化するみたいな、そういう危惧もありましたし、人の意見を取り入れるということはまるで自分がなくなるような感覚があったんですよね。でも、それは違うなというふうに思いまして。しなやかな強さみたいなものを育てるために、デザインもそうですし、音楽づくりの面でもそうなんですけど、自分が信頼するセンスをお持ちのクリエイターさんの意見を多少、違和感を持っても勇気を持って取り入れてみるっていうのが、結果的に自分のスタイルを強めるのかな、みたいな、そういう気持ちになりました。

-人の意見を聞いてみたことで自分の軸が強くなったなと思うことはありましたか?

あります。今回はバンド編成というか、バンド・メンバーが前作よりミニマルだったんですけど、どの方も自分がすごく尊敬しているミュージシャンの方々でした。例えばSOIL & "PIMP" SESSIONSや椎名林檎さんのバックなどで演奏しているドラマーのみどりんさんや、EGO-WRAPPIN'やFLOWER FLOWERなどで活躍されているベーシスト 真船勝博さんが参加してくれて。そういうなかで、その方々のセンスを尊敬して信じているので、ベースのフレーズとかも、"こっちのほうがいいんじゃないか"っていう提案に乗っかってみたり、意見交換を進んでやったりしたことによって、より間口の広い作品になったと思います。

-パッと聴き、Reiさんのルーツにあるブルースの印象もあるんですけど、それがビートによってアップデートされているというか、そういう楽曲が多いなと感じました。

はい。よく、メイクの流行は眉毛にあるとか言うじゃないですか。音楽の流行はビートにあると思っているので、ビート次第で結構、時代感が反映されると思います。

-特に印象的だったのがリード曲の「Connection」で。打ち込みと生音のヒップホップ的なサウンドですが、これはもともとどういう発想ですか?

サウンド作りに関して言うと、おっしゃってくださった通り、ハイブリッドにすることっていうのがテーマでした。それはこのもうすぐ2020年になる世相を表していると思います。世界の人たちの価値観も統一化してきているし、よりボーダレスになってきているし、そういう部分で文化の錯綜というか、ミクスチャーな感じ? そういうのは今、タイムリーだなと思って自分の音楽にも取り入れたいなと思いました。あとは自分の世代特有だと思うんですけど、いついつの時代の音楽は聴くとか、そういう先入観があんまりなくて、YouTubeのオススメで出てきたものを次々に聴くので、"かっこいい"っていうことを基準に音楽を聴いたりしてる気がします。そういう自分のジェネレーションならではの空気を閉じ込められたらいいなと思って、こういうサウンドに行き着きました。

-ラップのフロウもかっこいいし。

これまでも言葉数は多いほうだったので、その延長線でラップのフロウとかをより色濃く取り入れてみたらどうかな? っていう試みでした。

-内容的には人間関係について、ですね。

はい。人間関係について歌った曲になっています。やっぱ透明じゃないですか、絆っていうのは。それはあってないようなもので、ないようであるようなものでって感じだと思うんですけど。その透明な絆っていう糸をちゃんと意識して生きていけるかどうかっていうのは、自分のプライベートにも仕事にも反映することだと思うんですね。そこらへん、うやむやにしてない人っていうのは、人からもすごく支持されてますし、いい人が周りにたくさん集まってくる感じはします。

-Reiさん自身はどうですか? うわべの付き合いはしないとか。

うーん、どうなんでしょうね。人並みに姑息な感じなんで(笑)。ちゃんとずるさも持ち合わせてるんですけど、利害関係のそういう間柄であっても、心があるかないかってすごく重要なことで。お金が発生していてもやる気になれない仕事はやる気にならないし。そうですね......基本的には嘘をつかずに心と心で接するっていうのは気をつけてますけど、まだまだ勉強中です(笑)。

-仕事というかクリエイティヴについてのクオリティという意味では、優しく接するだけでは達成できない面もありますし。

私、心のIQっていうのもあると思うんです。これを言うことによって、何を意図して言ってるのか、ちゃんとわかってくれるというか、受け止めてくれる人と受け止めるその心のIQがない人っていますよね。"あ、俺のために言ってるんだ"なのか、"こいつムカつくな"なのかとか、そういう部分はちょっと見極めながら言うところはありますよね、少なからず。けど今の世の中、やっぱりネットの世界が現実世界と同じぐらい存在感を放ってるわけじゃないですか。で、すごく勘違いしやすいと思うんですよ。人との絆に関して言うと。そこらへんの見極めを自分と同世代とか、さらに下の世代とかにも、これは本物の絆、信頼関係なのかどうかを見極める力っていうのは、持ってほしいなと思うところはあります。それをどういうふうに育てていったらいいのか、私もわからないけど。いつの時代も人とわかり合うっていうのは、歩み寄ったり突き放したりの連続だと思うので。とにかく諦めないことだと思います。人間関係は。

-非常に印象的なリード曲だと思います。アルバムの1曲目「Territory Blues」はイントロからハード・エッジなギター・リフが登場します。"テリトリー"って一般的にはナワバリとか閉鎖的な意味合いだと思うんですけども、そうじゃないんですね。

そうですね。ナワバリのイメージが強いと思いますけど、今回は"居場所"という意味でテリトリーというキーワードを描きました。居場所っていうと安心できる場所だったり、甘やかしてくれる場所っていう意味も含まれていますけど、自分を高めてくれたり、意識を高くしてくれる場所だったりもするのかなと思って。私にとって今そういう場所は東京なので、東京について歌った曲になっています。

-自分が活動していたり暮らしたりしている街をテリトリーって言い切れるのは強さがあると思います。自分の居場所だと言えると暮らしやすいですよね。

自分で自分の居場所にしていくって部分があると思うので。波紋のように、自分が中心にいて、その周りに素晴らしい人たちが自然と寄ってくる。自分の居場所になるかは本人次第、みたいな部分もちょっと盛り込めたらなと思って書きました。