Japanese
Rei
Skream! マガジン 2021年03月号掲載
2021.02.14 @EX THEATER ROPPONGI
Writer 石角 友香 Photo by 上飯坂一
"近しい友人がビデオ電話で、弱いところや、傷ついていることをシェアしてくれたのが嬉しかった。心が壊れてるときは感じることすらできないから、友人が感情を見せてくれて嬉しい気持ちになって、それを作品でやってみようと思った"と話して、演奏したのが「Categorizing Me」。自分の寂しさや、悶々とした気持ちや、悔しさを隠さず表現するだけでなく、そのことで誰かと繋がることができる――新作である2ndアルバム『HONEY』の真髄はそこにある。
その新作のツアーだが、残念ながら大阪と名古屋は新型ウイルス感染拡大を受けて中止となったものの、ワンマンとしては約1年ぶりの東京公演は彼女初のEX THEATER ROPPONGIで、人数制限はありつつ、有観客で開催され、同時に配信も行われた。
暗転したステージに今の彼女の世界観を表現する最強にユニークなメンバー、中西道彦(Ba/Yasei Collective)、山口美代子(Dr/BimBamBoom)、渡辺シュンスケ(Key/ Schroeder-Headz)と共に登場。横1列に並ぶ陣形で、Reiは客席から向かって右側に仁王立ちでスライド・ギターを弾き始める。新作同様、1曲目は「B.U.」。マイク・スタンドではなくヘッドセットであることが、楽しい予感を掻き立てた。続く「COLORS」では中西がシンセ・ベースを弾き、山口のドラムもトラック的な響きで全体的にタイトだ。新曲が続いたあとは今のバンド・アレンジにアップデートした「JUMP」。Reiが首から掛けたタンバリンを肩の位置で叩くと自然とクラップが起こる。ヴォーカルにギターにタンバリン、まるでバスキング状態なうえ、足元にずらりと並ぶエフェクターも壮観。音楽そのものが躍動している。そんな感じだ。
"エヴリバディ、スタンドアップ! トーキョー!"の一声で、椅子席から跳ねるようにファンが立ち上がった「MOSHI MOSHI」。オールドなロックンロールのかっこ良さを振りまきつつ、"もしもし六本木? もしもしー?"と煽りながら、踊りながら歌う。センターに大きくスペースが空いていたのはこういうことだ。ヘッドセットゆえにヴォーカル以外の掛け声も息遣いもつぶさに伝わる。シームレスに四つ打ち&ファンキーなカッティングの「COCOA」に突入。この曲もシンベ(シンセ・ベース)且つミニマムなドラミングで、トーキング風のReiのヴォーカルが映える。グッとモダンなアレンジと出音が新鮮だ。シャウトでエンディングを決め、序盤にして早くも恐ろしいエネルギーが放出。
最初のMCでは"こうして一堂に介してライヴがやれるってことがとても嬉しいです"と、喜びを率直に表現。リアクションは拍手や手拍子でと言いつつ、"配信で観てくれてる人は大声もOK、なんなら全裸で"とカメラに向けて笑わせる。
ロマ音楽的なムードの「ORIGINALS」も、ピアノの生感とドラム・パッドの掛け合わせが新しい聴感だし、Reiの三連符フロウや、その難しい歌メロを歌いながらオブリを弾くプレイヤーとしての卓越した技が光る「ERROR 404」も今の彼女ならではのバランス。リズム隊のセンスや柔軟性が、多彩なニュー・アルバムの楽曲に即応している感じだ。
新曲多めの前半。思えばこのセットリストはこの日限りだし、ツアーではないので、今日が初日にしてファイナルでもある。この日にかけるパッションは相当なものだったと想像がつくが、ちょっと冷静に考えると初日とは思えない完成度だ。さて、久々にファンと対面してのライヴが楽しくてしょうがないと言った表情で、長めのMCに入ったRei。"お客さんを入れてのライヴは去年、2月の札幌を最後に中断になったから"と振り返り、今回の新作『HONEY』のことに繋げていく。"パーソナルで優しくてすごくリスナーに近い距離の作品になったかなと思います"と、これまでになくありのままの自分をサウンド、歌詞、アレンジ、ヴォーカル、どの側面でも出したことを改めて再確認。そんな作品になったひとつの発端が、冒頭に書いた「Categorizing Me」ができた経緯でもあったのだ。前半のある種実験的でパワフルなモードから一転して、柔らかいトーンの声で同曲を歌う。ギターも素の響きが心地よい。だが、柔らかさの中にどんなパッシヴな曲より突き刺さる歌詞があった。"誰のために息をしているの baby"――自問自答でもあり、大事な存在への思いでもあるだろう。比類なきシンガー・ソングライター/ギタリスト、Reiという形容は事実だけど、その看板を知らなくても、誰しもの心の一番柔らかいところに触れる曲だ。
ブルーのライトに照らされてのインスト、「Broken Compass」から、あどけなさすらあるヴォーカルに釘づけになる素朴さと、ミニマムでモダンなアレンジの「Stella」へ繋いでいく。イノセントなふたりの人恋しい小品で、一瞬で「Stella」の物語を立ち上げて見せた。まるで舞台の主人公のようだ。
一瞬の暗転のうちに衣装を早替したReiはSOIL&"PIMP"SESSIONSのタブゾンビ(Tp)と、SOIL(SOIL&"PIMP"SESSIONS)をサポートする栗原 健(Sax)を招き入れ、彼らの"DEATH JAZZ"とReiのロカビリーのニュアンスを融合した、ハード且つアッパーな「Lonely Dance Club」へ突入。バンドもSOILのアレンジを独自に昇華しているのが面白い。間奏ではタブゾンビが存分にブローし、そこに身体ごとギター・ソロで切り込んでいくReiのダイナミックさ。続けてホーンふたりを加えての「My Name is Rei」へ。
グッと分厚くなったアンサンブルから、ホーンのふたりが下がり、オーセンティックなロカビリーでのソロが堪能できる「Route 246」へ。メンバー紹介を交えてどんどん熱量を増し、続けてアコギに持ち替えると、シンプルな音像だからこそ抜群の抜き差しが楽しい「DANCE DANCE」。メンバーと"DANCE DANCE"のコール&レスポンスを行い、配信のカメラに向かっては"大阪! 東京! 福岡! 北海道!"と、各地のファンに呼び掛ける。さらに「New Days」では中西と掛け合いをしつつ、彼をステージ前方に引っ張り出し、ソロを弾いている間にReiは袖にはけ、しばらくベース・ソロが続いていたかと思うと、なんとステージ向かって左のバルコニー席に参上した。フライングVでソロを存分に弾いたかと思うと、扉の向こうに消え、今度は渡辺のキーボード・ソロ。クラビ(クラビネット)っぽい、ノイジーでちょっとプログレッシヴなソロがフロアに響きわたるなか、今度は逆サイドのバルコニー席でReiがソロを弾くという、全身全霊のアクトだ。1階のフロアもスタンド席もクラップでエネルギーを送り続ける。さらにReiがステージに戻り、そのあとも山口のドラム・ソロを煽り、ギターで拮抗した。
フライパンの上のポップコーン状態で激しくアクションしながら演奏し、歌う彼女をムービーのカメラも追いきれないほどで、もはや誰にも止められない勢いがついたReiとバンドは、「What Do You Want?」でフロアを挑発し続け、ヒールでお立ち台の狭いスペースで最後のソロを決め、大きな声で"センキュー!"だけ残し、勢い良くステージをあとにした。
ロックンロールの痛快さもプレイの確かさももちろんある。しかし、いい意味でそんなことを忘れさせるほどのヒューマン・パワー。モンスター級のパフォーマー、Reiのステージはただただカッコ良かった。
声は出せないものの、熱狂がピークに達したフロアは拍手が鳴り止まない。そこに存外、早々に再登場したバンドは再びタブゾンビと栗原を迎え入れる。ふたりも久々のライヴで嬉しさが滲み出しており、"生が一番!"と、このコラボを堪能した様子だった。ホーン2管を加えて何が飛び出すか? と思ったら、Reiの高速ヴォーカルと小気味いいファンクネスが溢れる「BLACK BANANA」。ホーンとの息もつけないフレーズの掛け合いを経て、再びお立ち台に上がりジャンプした途端、シールドが抜けノイズで埋め尽くされたが、それすら痛快だった。エフェクターが機能しなくなり、"すいません! いやもう、溜まってんですよ。恥ずかしいよ、ほんと"と暴れる自分にツッコミをいれるRei。いや、どんな周到な演出より最高である。
"(ライヴがやれなかったことで)メンバーもスタッフもライヴをやるってことの初心にかえれたなと。今もシェイ・スタジアムでライヴやりたいと思ってるけど、この1年でひとりの人に、ひとつの「愛してる」という感情を伝えることがどれだけ難しいかわかった。みんなを塊のように思ってたの、それは反省してる、ごめんね。だから(今日は)ひとりひとりに「I love you」って届けばいいなと思ってやってました"と、2020年を通じて変化した心境を語り、ファンも大きな拍手で応えていた。そんな思いが象徴的に結晶した新曲のひとつである「matatakuma」を、それこそひとりひとりに届けるような親密さで、歌い、この貴重な時間を締めくくったのだった。ちなみにエフェクターは復活できず、"いいか、このままで"とアンプ直で鳴らしたギター。それもとても今の彼女らしかった。
アンコールで彼女の口から発表されたが、2018年11月リリースの1stアルバム『REI』のインターナショナル・バージョンが、アメリカの"Verve Forecast"レーベルより2月26日、全世界配信されることが決定。英語詞への変更だけでなく、改めてアレンジ、ミックス、マスタリングも行った作品なので、聴き比べるのも楽しみ。
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