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INTERVIEW

Japanese

Jam Fuzz Kid

2019年10月号掲載

Jam Fuzz Kid

Member:今村 力(Vo) 黒木 徹(Gt) ヤマザキタイキ(Gt) 小畠 舜也(Ba) 村松 知哉(Dr)

Interviewer:山口 智男

-普段、何に苛立ちますか?

黒木:タピオカ!

今村:いや、俺は好きだよ(笑)。

黒木:なんだろうな。淡々と生きて、淡々と死んでいく人たちにイライラしますね。

今村:タピオカの話をしていると思ったら急に!

黒木:タピオカがいい例で、メディアがこぞって取り上げるからいいものみたいな、自分の意志を持っていないみたいなのは、苛立ちます。

今村:俺は、売れたいという気持ちがめっちゃ強くて、わけわからないやつらが売れているじゃないですか。それにイラつきます。

黒木:例えば誰?

今村:夜中にテレビをつけてると、ほんとクソみたいなバンドを紹介してる。だったら俺らを出せよって。俺らもそう思われてるのかもしれないけど、俺らが自信を持っているのは、意志を持って、これをやってるから。例えば、四つ打ち一辺倒もそうだと思うんだけど、売れるための道具としてやっているとしか思えない。

-でも、JFKももしかしたら、今後売れるにはこういうことをやらなきゃみたいなことを言われるかもしれない。そうしたらどうしますか?

今村:実際"日本語でやったほうが売れるよ"って言われてますから。なんだお前って思います(笑)。初めに決めたんですよ、日本詞にするか英詞にするか。どっちでもいいことは書けるんですよ。英語でも、日本語でも関係ない。で、俺らは英詞にしようってみんなで決めたんです。俺は海外にいたことがあるから、英語で伝えたいことを書こうというふうに決めて、そこはずっと曲げずにいます。日本語のほうが日本の人は一発で頭に入ってくるっていうのはもちろんわかってるけど、それでも英詞で伝えたいことを書きたいって思っているのに、"日本語で書いたほうが"って言われても、知らねぇっつーの。何度も言ってくるやつがいるんですよ(笑)。

-これからも言われ続けると思います。

今村:どれだけ言われても変わることはないです。

黒木:日本よりも世界のほうがマーケットはデカいし。

今村:ワールドワイドでいきます。

-今回の6曲は、新曲なんですか?

今村:今年の5月に「Fringe」と「Where we gonna go」を先行配信しましたが、すべて新曲です。

-1曲目の「Concorde」なんて、冒頭のギターの歪みがえぐすぎてちょっとびっくりだったんですけど、やってやるぞって意気込みが伝わってきますね。

今村:勢いっていうか、初期衝動っていうか、ほんとウォー!! って曲で。題名が"Concorde"っていうのも、デモの段階から速い乗り物の名前にしたくて、最初は"フェラーリ"って言ってたんですけど、"それならコンコルドだろ。マッハ2.2で飛ぶんだから"ってヤマザキが。

ヤマザキ:フェラーリそんなに速くねぇわって。

黒木:ちょうど"ボヘミアン・ラプソディ"ってQUEENの映画の中に、Phil Collinsが、"LIVE AID"でイギリスからアメリカまでコンコルドで移動したってエピソードがあって、ちょうどいいじゃんって(笑)。

-今回、音作りにはどんなこだわりがありましたか?

今村:曲ごとに、それに合うアンプを使い分けているんですよ。

小畠:「Concorde」と6曲目の「Welcome to me」は同時に録ったんですけど、そのときはとにかくデカい音が出るアンプ。アンプ自体がデカいみたいな感じで。

今村:ジョンが使ったマーシャルのヘッドの箱に、"PRIMAL SCREAM"って書いてあったんですけど、来日公演のとき、使ったやつらしいです。あれを見たときはウワッてなって、"俺らPRIMAL SCREAMじゃん!"って。

小畠:あのあと調べてみたら、KASABIANも使ってた。

今村:あれはテンションが上がった。

小畠:で、「Floating away」と「Canal」は、ブリットポップ感を出したかったので、ギター・アンプはコンボを使って、ベース・アンプもちょっとちっこい、かわいい感じのやつを使うっていう分け方をしたんですけど、今回は全体的に引き算を考えてないです。全部足し算で。

黒木:アンチ・シティ・ポップです(笑)。

今村:耳も大満足っていう。

黒木:アンチBillie Eilishです(笑)。

今村:今は音数が少ないのが主流だけど、俺らは音の壁を目指しました。だから、ヴォーカルもちゃんと聴こえるんですけど、バンドの一部というか、ヴォーカルがそんなに前に前にって来すぎるのもどうかねって話になって、ちゃんと聴こえて、メロディも伝わってくるラインで一体感、壁感、バンド感を意識しましたね。

-それぞれにお気に入りの曲を教えてください。

黒木:「Where we gonna go」ですね。だいたい俺が作ったんですけど、ちょっと思いついた瞬間にバーって全部が一気に出てきて。今までにない感覚だったんですけど、イントロからサビまでフルで思いついたんですよ。脳が沸騰するみたいな感覚がありました。あんなに上手く作れたことはないですね。あれをまた味わいたくて、曲作りをやってます。

ヤマザキ:僕は「Welcome to me」。「Canal」とその曲は、自分がおおもとのデモを作ったんですけど、「Welcome to me」は、いろいろもりもりにして大爆発しているみたいな感じが好きです。ラスサビに"即興で弾け"って言われて弾いたギターをうっすら入れてるんですけど、聴いていると、それしか聴こえなくなりますね(笑)。

今村:メロディは基本的に俺が全部作っていて、どの曲もちゃんと"これだ"ってメロディをつけているんで、そういう意味では平等に大好きなんですけど、「Canal」は、歌詞が一番寂しいというか、切ないというか。このアルバムの中で、1回気持ちが落ち着くというか、センシティヴな曲なんですけどね。CDには和訳も入れてるんですけど、「Canal」は歌詞もいいですよ。

-そういう切ない気持ちになるときもあると。

今村:あります、あります。でも、それが俺自身っていうか、ロック・スターでありながら、ちょっと寂しくなる瞬間があってもいいのかなっていう(笑)。

-小畠さんは?

小畠:「Concorde」のギター・ソロ。バカデカくて、バカ歪んでる、あの音が鳴ったときは、自分たちはこれが出したかったんだと思いました。最初は普通の音で弾いてたんですけど、"それじゃダメだ! もっとエフェクターを繋げ! 歪みを上げろ!"ってどんどん音を作っていったんです。ベーシストなのにギターの話ですみません(笑)。

村松:JFKの曲はドラムが目立つ曲調じゃないと思うから、僕はできるだけフィルインやオカズは入れないようにして、他の楽器が目立つように心掛けているんですけど、今回一番好きなのは、「Canal」です。単純に叩いていて気持ちいいんです。ちなみに全曲、曲に合わせてスネアは変えているんですけど、その中でも「Canal」は、一番いい音で録れたんですよ。

-"Chased by the sun"というEPのタイトルも面白いですね。

今村:スターの道を追いかけろみたいなのは、よくあるじゃないですか。でも、俺たちはすでに太陽にまで追われているという。だって俺たちはスターになること確定でしょ? って。

黒木:それと同時に焦燥感を表したかったんでしょ? 早く抜け出して、OASISみたいにウェンブリー・スタジアムでやりたいっていう(笑)。

今村:それもそうだし、もうひとつ言うと、影からしか見えないものがあると思うんですよね。だから俺たちは太陽から追いかけられる存在になっても、きっと影を探すと思う。そこで苛立ちや愛情やいろいろな感情と向き合って、それを表現していきたい。野良猫目線っていうか、そういう視点を忘れたくないんですよね。

-なるほど、そういうことなんだ。

今村:俺たちはアイドルやそこらのバンドと違うから。それがロックンロールでしょ。