Japanese
halca
2019年09月号掲載
Interviewer:秦 理絵
アニメ作品の世界観に寄り添い、様々な声色を使い分けて歌を紡ぐ新世代シンガー halca。昨年5月にTVアニメ"ヲタクに恋は難しい"のエンディング・テーマ「キミの隣」でメジャー・デビューを果たして以降、"逆転裁判"や"かぐや様は告らせたい"など、次々にアニメ作品とのコラボレーションを展開している彼女が、8月28日にミニ・アルバム『white disc +++』をリリースした。今作はインディーズ盤『white disc』に新曲4曲を加えたリニューアル・バージョン。幼少期からアニメ作品と"歌うこと"に魅せられ、オーディションから夢を掴んだhalcaのこれまでを振り返りながら、シンガーとして新たなチャレンジとなった今作に込めた想いを語ってもらった。
-『white disc +++』はhalcaさんの新しい魅力を感じられる作品になりましたね。
ありがとうございます。今まで(メジャーで)3枚CDを出させていただいてるんですけど、そのカップリングにも、いろいろな幅広い楽曲を収録してきたんです。今回はもっとびっくりしてもらいたいなと思って作りました。今から聴いてもらえるのが楽しみです。聴いて、びっくりして引っくり返っちゃえ! と思ってます(笑)。
-(笑)。今回『white disc』(2017年リリースのインディーズ盤)に、新曲が加わった企画盤になりますけど、どうしてこういう作品を出そうと思ったんですか?
"プラス"になる前の『white disc』は、「Hail to the world!!」と「キミの空」、「曖昧グラデーション」の3曲とも本当に大好きな曲ばっかりなんです。2017年の夏にCHiCO with HoneyWorksさんの全国ツアーに出させてもらったときに、会場限定でリリースしたんですけど、デビュー後に、アニメで知ってくださった方が少しずつ来てくださるようになって、実はこういうのも歌ってたんだよっていうのを知ってほしくなったんです。
-この作品はhalcaさんにとって初の作品であり、唯一のインディーズ盤なんですよね?
はい。初めてのレコーディングだったので、すごく緊張しましたね。
-それから昨年5月にメジャー・デビューを果たして、何枚かシングルのリリースも重ねてきましたけど、どんな1年間でしたか?
それまでは、カラオケとか車の中、お風呂とかで、ひとりで歌を歌ってたんです。友達とカラオケに行って、"楽しいね"っていう感じだったんですけど。メジャー・デビューしてからは、いろんな方に自分の歌を聴いてもらえて、応援していただけることや、感想をもらえるのが不思議な感覚ですね。インターネットでこっそり感想を覗き見たりしてます(笑)。今まで経験したことのないことをたくさん経験させていただいて、本当に充実したあっという間の1年でした。
-ワンマン・ライヴも3回開催しましたけど、そのあたりの手応えは?
いつかはやりたいと思ってたけど、"こんなに早くするの!?"っていう感じでした。誰も来なかったら、どうしようと不安で。それまではインストア・ライヴをさせてもらってたんですけど、それは観覧フリーだったから、ワンマン・ライヴだと......。
-お金を払って来てくれてるわけですからね。
そうなんです。MCでかっこいいことを言わなくちゃとか思うんですけど、全然できなくて。ライヴのときに動きをつけるのが苦手なんです。だから最初はライヴに対して苦手意識がありました。歌うのは楽しいけど、人様に見せられるものなのか? っていう、不安と緊張で、実は逃げたいと思ってたんです。でも、初めてのワンマン・ライヴ("LAWSON presents halca first LIVE Help Me!")のときに、たくさんなのお客さんに来ていただいてるのを見て、私のライヴのためだけに来てくれているんだと思うと、勇気が湧いてきて。それまでは、登場してトマトとか投げられたらどうしよう、と思ってたんですけど......。
-トマト!?
昔、カートゥーン ネットワークとか見てたので、そういうイメージがあったんですよ(笑)。でも、初めてのワンマン・ライヴはすごく楽しくて。本当にあっと言う間に終わっちゃったんです。今、私が一番自分を解放できる場所はレコーディング・スタジオなんですけど、いつかはライヴでもそんな姿を見せられたらいいなって思います。
-halcaさんは、小さいころからずっと歌手になりたかったんですか?
はい。小さいころからなりたいものがいっぱいあったんです。ケーキ屋さんとか、お花屋さんとかお姫様とか(笑)。でも、小学校3~4年生ぐらいのときに車の中で音楽に合わせて歌ってるのが気持ち良かったんです"あー、歌うの楽しいな"、"もっと歌いたい"って思ったんです。
-車の中では、どういう音楽が流れてたんですか?
父の趣味だったんですけど、浜田省吾さん、長渕 剛さんとかですね。そうしたら歌ってる私を見て、父がCDを買ってきてくれたんですけど、それがYUIさんだったんです。あと、歌と同じぐらいアニメも大好きで。当時"きらりん☆レボリューション"っていうアニメがやっていて、そのアニメは久住小春さんが主人公のきらりちゃんの声優をやってるんですけど、アイドルの話だから歌がいっぱい出てきたんです。そのCDも買ってもらって、1日中流して歌ってたんです。気づいたら、自然と歌手になりたいと思ってました。
-"歌う"っていうジャンルの中にも選択肢があるじゃないですか。それこそアイドルもそうだし、バンドのヴォーカルとか、シンガー・ソングライターとかもあるけど、halcaさんが歌う原点としてアニソンにこだわったのは?
なんだろう......たしかに友達とカラオケに行ったりすると、みんなバンドの曲とか西野カナさんの曲とかを歌ってるんですけど、私はずっとアニメ・ソングばっかり歌ってたんです。カラオケの料金って中学生にとっては高いじゃないですか。貯めたお金で気持ちを発散するから、みんなが知らなくても、好きな曲を歌いたかったんですよね。
-当時は、純粋に"好き"っていう気持ちだったと思うけど、今シンガーとしてデビューも果たして、この世界のどういうところに惹かれていると思いますか?
作品とリンクする歌詞が出てくると嬉しいんですよね。"これって、もしかして、あのときに言ってたセリフ?"って気づいたりして。だいたい1曲が4分ぐらいじゃないですか。でも、アニメは1話が30分で何話もあるから、1曲の中にアニメのいろいろな場面が凝縮されてるんですよね。オープニングとかエンディングで流れてた曲を聴くだけで、小さいときに好きだったアニメの内容も思い出せるし。だから、私はアニメの作品を歌わせていただけるなら、作品に寄り添った世界観がちりばめられてる歌を歌いたいと思っています。
-ちなみに、halcaさんが憧れていたシンガーとかはいるんですか?
憧れていた......。
-こういう存在になれたらいいなとか。
好きなシンガーはいるんですけど、こうなりたいっていうのはないかもしれないですね。好きなのは、YUIさん、牧野由依さん、やなぎなぎさんとか。みなさん優しい声だけど、自分の特徴を持ってるから、カラオケとかで真似したくなるんです。でも、真似できない。(その人には)なれない感じが......それが憧れなのかな。
-でも、"そうなりたい"っていうのとは違うんですね。
"なりたい"って思ったら、そうなっちゃうから。真っ新な気持ちでいたいんですよね。だから、"こうなりたいな"っていう人はあんまり考えないようにしてます。でも私も、私の好きな方たちみたいに、真似したいけど、どう頑張っても真似できない。コピーできないなって思ってもらえるようなシンガーになりたいなって思います。
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