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INTERVIEW

Overseas

CHON

2019年08月号掲載

CHON

Member:Mario Camarena(Gt)

Interviewer:菅谷 透

アメリカは西海岸サンディエゴ出身のインスト・バンド、CHONが、セルフ・タイトルの3rdアルバム『Chon』をリリースする。マス・ロックやメタル、果てはジャズやフュージョンまで多様なジャンルを取り入れた、テクニカルながらクリーンなサウンドで話題を集め、"FUJI ROCK FESTIVAL '19"にも出演を果たす彼らは、今作が待望の国内盤リリースとなる。Skream!では今回、バンドの中核を成す3兄弟(!)の長兄である、ギタリストのMario Camarenaにインタビューを実施。バンドの結成エピソードや風変わりなバンド名の由来、音楽的ルーツ、そしてニュー・アルバムに至るまで様々な話を訊いた。2020年2月には単独での再来日も決定しており、引き続き要注目だ。

-本誌初登場ですので、バンドの紹介をお願いできればと思います。2008年に結成されましたが、これまでの活動を振り返っていかがでしょうか?

振り返るとクレイジーだよね。すごく長くやっているなと思うし。結成当時のメンバーは今と同じなんだけど、僕と僕の兄弟ふたりと、もうひとりギタリストがいるんだ。一番下の弟のNathan Camarenaはドラマーなんだけど、あいつは僕たちが初めてショーをやったとき11歳だったんだ。クレイジーだよね。

-11歳ですか! ということは小学生だったんでしょうか?

いや、こっちではミドル・スクール(※中学校に相当)なんだ。そこからここまで来たんだから、年月の長さを考えるとクレイジーだよね。今は20代前半から半ばだから、歳のわりにはキャリアが長いかもしれない。

-バンドにはMario、Esiah(Ba)、NathanのCamarena 3兄弟が所属しています。あなたが最年長でしょうか?

ああ、僕が最年長だよ。バンドの最年長はもうひとりのギタリストのErick(Hansel)で、僕より2歳上だけどね。

-Erickが3兄弟の大きなお兄さんみたいな感じなんですね。3兄弟の順番はMario、Esiah、Nathanですか?

うん。

-同じバンドに3兄弟が在籍しているのはなかなか珍しいことですよね。どのようなきっかけでCHONが結成されたのでしょうか? そしてErickはどうやって3兄弟に加わったのでしょうか。

Erickと僕はCHONが始まるずっと前から友達だったんだ。キッズ時代はそれぞれが地元のいろんなバンドで活動していた。それがいつしか一緒に曲を書くようになったんだ。5、6曲くらいできたところで、ショーをやってみたいな、だったらドラマーとベーシストが必要だよねって話になった。それで、いろんなミュージシャンを試してみたんだ。友達の紹介で会った人もいれば、ネットで見つけたり、あとはCraigslist(※掲示板サイト)で募集をかけたりして出会った人もいた。そういう人たちとジャムってみたけど、一度もしっくりきたことがなかったんだ。そのパートをうまくやれる人もいなかったし、それぞれなんらかの理由でまったくうまくいかなかった。"じゃあしょうがない、弟たちにやらせよう、そうしたら早く演奏状態に入れるだろうし"という話になったんだ。で、一番下の弟のNathanはドラムス、Esiahはベースを習い始めた。6ヶ月くらい経ったころに最初のショーをやったよ。

-バンド名の由来についても教えていただければと思います。"CHON"というのは覚えやすいバンド名ですよね。

頭字語(※複数の単語の頭文字を繋げたもの自体を単語にしたもの)なんだ。生命に最も多い4つの元素、つまり"Carbon(炭素)"、"Hydrogen(水素)"、"Oxygen(酸素)"、"Nitrogen(窒素)"。すごくオタクな名前だよね(笑)。

-(笑)とても科学的な名前でもありますね。

そうだね(笑)。響きも不思議だし、さっき君も言っていたように覚えやすいしってことでそれにしたんだ。

-メンバーの誰かが学校で理科が得意科目だったとか?

うーん......Nathanは得意だったね(笑)。でも本当のところは、僕とErickがギターを弾きながらバンドの名前を考えていたとき、テレビで科学番組をやっていたからなんだ。番組の中で"CHON"を取り上げていて、それを耳にしたんだよね。それで、"CHONって名前にしよう"って話になった。

-"CHON"の由来はテレビなんですね。

うん。クールだなって思ったんだ。

-そんなバンドの楽曲を聴くと、みなさんが様々なジャンルを経由していることが感じられます。影響を受けたアーティストや、好きなアーティストについて教えていただけますか?

僕たちはいろんなジャンルの影響を受けているけど、初期の大きな影響のひとつは、ジャズ/フュージョン・バンドのRETURN TO FOREVER。キーボードにChick Coreaがいるんだ。彼らの影響は大きいね。ジャズ/フュージョンは他にもたくさん聴くよ。それが初期で、そのあとはエレクトロニック・ミュージックやダンス・ミュージックをたくさん聴くようになった。FLYING LOTUSとかああいうの。そんな感じで、あらゆるジャンルから影響を受けているんだ。ジャズ/フュージョンの前にはヘヴィ・メタルをいろいろ聴いていたしね。あとはPaul Gilbert(RACER X/MR. BIG)みたいなギターの巨匠がやっている音楽も、初期はよく聴いていたんだ。いろんなスタイルから自分の音を作り出していった感じかな。

-バンドの特徴として、テクニカルながらゲインを落としたクリーンなサウンドが挙げられます。どのようにしてこのサウンドに辿り着いたのでしょうか?

最初はすごくハイ・ゲインな音から始めたんだ。

-他のロック・バンドみたいな感じですね。

そう。で、僕たちはそれまでやっていたこととは真逆のことをやりたがる傾向があるんだけど、最初はハイ・ゲインだったのが、次には半分ハイ、半分ローみたいな感じになって、今はほぼ全部がクリーンかな。単にそれまでとは違うことをやろうってことだけでね。今度はまた逆の方向に向かいたいと思っているから、そっち(ハイ・ゲイン)でクレイジーなことをやろうと思ってるよ(笑)。フレッシュな気持ちでやっていきたいからね。

-楽曲のインスピレーションはどこから生まれるのでしょうか?

僕たちが聴いているアーティストたちもそうなんだけど、1枚のアルバムにいろんなジャンルが入っているよね。だから自分たちでも同じことができるようになりたいという考えがあるんだ。1枚のアルバムの中でひとつの音楽性に固執するよりもね。そういう気持ちからきているんだ。

-また、楽曲のタイトルが1、2単語、多くても3単語と、いつも簡潔だなと感じるのですが、タイトルはどうやって決めるのでしょうか? タイトルが先なのでしょうか、それとも楽曲が先なのでしょうか?

通常は楽曲が先だね。曲ができあがると、そこからどんなフィーリングが得られるか考えるんだ。自由に考えて、雰囲気に合っていると思われる言葉ならなんでもタイトルにしているよ。例えば新作に「Pitch Dark」という曲があるけど、あれはちょっと怖い感じの曲だから、"Pitch Dark(真っ暗、真っ暗闇)"という言葉が合う気がしてタイトルにした。普段はそんな感じで名付けているんだ。

-曲のムードからタイトルを決めるんですね。

いつもはね。でもランダムに決めることもあるよ。例えば「If」って曲が新作にあるけど、あれは"If"ってタイトルの曲聞いたことがないよなって話になってつけた曲だし。だから曲の内容とは無関係だけど、なんかクールだなって思って。

-たしかに、"If"という曲はあまり聞いたことがありませんね。ちなみに曲に感情を込めて、それをタイトルにすることはありますか?

たまにはね。例がぱっと思いつくわけじゃないけど。でも、曲の中のあるセクションからヒントを得てタイトルを付けることはあるよ。例えば「Knot」(2015年リリースの1stアルバム『Grow』収録曲)という曲があるんだけど――靴紐を結ぶときの結び目の"Knot"だ。あの曲は途中ですごくクレイジーなポリリズムのセクションがあるんだ。ドラムがまるで別の曲を叩いているような感じで、ギターとは無関係に進む。クレイジーな結び目みたいな感じだと思ってさ。だから"Knot"というタイトルにしたんだ。

-タイトルはなんらかの形で曲に由来していることが多いということですね。結果として抽象的なタイトルになっているわけですが、そうすることで世界観をリスナー側のイマジネーションに委ねているところはありますか?

それは間違いなくあるね。「If」なんかは特にそんな気がする。あのタイトルなら本当にいろんな解釈ができると思うし、そういうふうにするのが好きなんだ。