Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

MENU

INTERVIEW

Japanese

nim

2018年09月号掲載

nim

Member:Koichi Kato(Vo/Gt) Hisana Nogami(Gt/Vo) Hayato Minesaki(Ba) Kenichi Nogami (nong)(Dr)

Interviewer:山口 智男

-この1年、ミニ・アルバムの『leverage』(2017年リリース)、シングルの『searchlight』(2018年3月リリース)、そして、今回の『MELLOW KONG』と立て続けに音源をリリースしてきました。精力的なリリースにはなんらかの意図があったんじゃないかと思うのですが、実際はいかがでしょうか?

Kato:生まれ変わったnimはここまでできるんだぞっていうのを示したかった。さらなる高みを目指すために。そのために曲作りも活動ペースも限界突破して加速させる必要を感じて。だからまず『leverage』を作りました。想像どおり大変だったけど、その過程で新しい自分たちへの手応えと、本当にやりたいことが見えるようになったんです。「サーチライト」をはじめとする今回のアルバム収録曲の原形もでき始めていたので、さらに加速させてフル・アルバムを作ろう、と。最初は過去曲の再録も数曲含める予定だったんですけど、結局は納得する12曲を書き下ろすことができました。これは意図した以上の結果でした。

Hisana:メンバー・チェンジのあった2015年に4人体制で初めて「not in me」を作ってヒストリー・アルバム『Stay Hungry, Stay Foolish』に加えてリリースすることができたのですが、翌年の2016年はただひたすらにライヴしかしていなくて。バンドでのライヴに加えて、私とKatoは路上ライヴもやっていたりして、年間100本以上のライヴをして、とにかく4人の音を馴染ませて感覚を掴もうとしていました。コンピ・アルバムの話をもらったのをきっかけに"KEEP AND WALK"に入り、4人の音源を早く作ろう! となって作ったのが『leverage』です。で、フル・アルバムの前にひとつの点としてシングルを出したくて『searchlight』を作りました。それまでのnimのイメージを一掃するようなポップでライトな楽曲と音色で作った『leverage』、nim史上初めて全編日本語詞で挑んだ『searchlight』、そして次はいったいどうなるんだろう? という誰も想像のつかなかったような仕上がりに『MELLOW KONG』はなったと思います。

-『MELLOW KONG』を聴かせていただいて、なんでもありとならずにとてもストイックにnimサウンドを追求していると感じましたが、完成させた現在、どんなアルバムになったと手応えを感じていますか?

Kato:自分たちとしては、原点回帰と新しい挑戦その両方を表現できたアルバムになったと感じています。何をやっても滲み出る"らしさ"。これがnimなんだよっていう感じです。

Hisana:今回は具体的なアルバムのイメージもなくただひたすら自由に曲を書き続けていました。曲単位でアレンジや音作りを確立していった結果、すごく幅の広い楽曲が揃ってしまったのですが、いざ1枚のアルバムとして完成してみたら、意外とバラバラになることもなく、曲ごとの個性も薄れることなく、まとまった作品となりました。まさにジャケットのような、今にも爆発して弾け飛びそうな巨大なエネルギーを持った惑星みたいな作品になったと思います。

Hayato:単純に最高な作品ができたと自信を持って言える初めての作品です。初めて自分たちの作品をプライベートでよく聴いてます(笑)!

-それは制作前に思い描いていたアルバム像ですか? それとも完成してみたら、予想とちょっと違うものになったという部分もあるのでしょうか?

Kato:全体像としては制作前に思い描いていたイメージから大きくは外れてないですが、予想をはるかに超えていいものができました。

Hisana:アルバム像を描かずにひたすら個々の楽曲作りに専念していましたが、今回は陰と陽が混じり合うとんでもなくパワフルなアルバムになりそうだなと思っていました。完成してみたら、そのとおりでしたね。

Hayato:ある程度は想定内ですが、ここまでバラエティ豊かになったのは予想以上だったし、単純に嬉しいです。

-アルバムを作るにあたっては、どんな想いを込めたのでしょうか?

Hayato:原点回帰でしょうか。もう一度10年前に初めて作品を世に出したときの気持ち、初期衝動的ワクワクとか、ありったけのポジティヴィティを込めました。

Kato:今のメンバーで原点回帰して、そしてそれを大きく越えたいという想いは全員共通してあったと思います。

Hisana:現実のつらさ、それと向き合う自分自身の弱さや強さ、友情、家族愛、社会へ対するブラック・ジョークなどの、4人の日頃の気持ちや、自分たちの鳴らす音楽で爪痕を残してやりたいという想いが込められています。

-アルバムの曲作りは、どんなふうに行っているのですか?

Kato:新しいアプローチをするからといってまったく別のバンドみたいになってしまうのは嫌で、新旧それぞれの要素を高いクオリティで融合できるかということがひとつテーマとしてありました。曲作りのプロセスは、Hayatoの歌詞、Katoの歌、Hisana&nongの楽曲、この3種類の原型を各々ある程度作り込んだ曲にして、そこにみんなでアレンジを加えていく形で進行しました。今回、一番印象的だったのは、レコーディング中のアレンジ変更がすべてとてもいい結果になったことです。原型が持っていた可能性以上の結果が生まれたのは本当にエキサイティングな出来事でした。

Hisana:まず私とKato、各々が思う曲を書いていって、歌やギターのイメージを膨らませていって、曲としてだいたいの形になったら、そこにnongやHayatoの思うイメージをつけ加えて、Hayatoが連想した歌詞をハメ込んでみたりして、だいたいは完成しています。曲によってはKatoがリード・ギターやドラム・フレーズまで考えてみたり、nongがギターの音色のイメージを決めたりしている曲もあるんです。誰かひとりが完全に監修して作られた曲はなく、必ずメンバーのエッセンスが混じり合っているのがnimの楽曲の醍醐味だと思っています。