Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

MENU

INTERVIEW

Japanese

nim

2018年09月号掲載

nim

メンバー:Koichi Kato(Vo/Gt) Hisana Nogami(Gt/Vo) Hayato Minesaki(Ba) Kenichi Nogami (nong)(Dr)

インタビュアー:山口 智男

紅一点メンバーの加入を含む大幅なメンバー・チェンジを経て、2015年にバンドの第2章をスタートさせた京都のインディー・ロック・バンド、nim。彼らが『Stay Hungry, Stay Foolish』以来となる2ndフル・アルバム『MELLOW KONG』を、レーベル"KEEP AND WALK"からリリースする。2006年の結成以来、90'sエモを継承しながら、磨きをかけてきたnimサウンドは、大きな転機になったというメンバー・チェンジを経て、さらなる進化を遂げたようだ。"原点回帰と新たな挑戦の両方を表現できた"という渾身の新作について、メンバー4人がメール・インタビューに応じてくれた。

-2ndフル・アルバムとなる『MELLOW KONG』について質問させていただく前に、nimというバンドのことを聞かせてください。結成は2006年だそうですが、どんなふうにバンドは始まったんでしょうか?

Kato:nongと高校の同級生だった元ギターふたりが高校卒業後にバンドを始めたのがきっかけで、しばらくはライヴもせず2年くらいスタジオにこもって、ひたすら練習とジャム・セッションしていました。そのときはまだnimという名前もありませんでした。僕が加入して(当時はギターのみで参加)、そろそろライヴをしようということで、バンド名を掲げて動き出しました。その後すぐ、Hayatoが加わって10年くらい活動して、2015年にオリジナル・メンバーだったギターふたりが脱退して、もともと大学の後輩で、当時スタッフをしてくれていたHisanaが加わって今のメンバーとなったんです。いろいろありましたが、今、最高の状態でやれてると思っています。

-『MELLOW KONG』を聴かせていただいて、いわゆる90年代エモの影響を感じましたが、バンドを結成したとき、どんなバンドにしたい、どんな音楽を奏でたいと考えていたのでしょうか? 当時、目標にしていたバンドはいましたか?

Kato:繊細な色彩のコード感、ダイナミックに主張するリズム、優しさと激しさを行き来する歌、既存の枠にとらわれない曲展開を組み合わせて、今までにない音楽をやるバンドにしたいと思っていました。作風や活動を尊敬していたり、そこから影響を受けたりしたバンドはたくさんいるのですが、特定の目標にしていたバンドというのはなくて。世界の第一線でパイオニアとして評価されるバンドになりたいというのがずっと目標です。今でもそれは変わりません。

Hayato:メンバー各々のルーツが少しずつ違っていたので、特に"このバンド"という明確な目標はなかったと思います。国内外問わず尊敬しているアーティストにも負けないくらい、自分たちでも本当にカッコいいと思えるようなバンドになりたいと考えていました。今もポップ・パンクやハードコア、シューゲイズ、エレクトロニカやJ-POPなど、メンバーによって好みが様々に分かれているのですが、90'sエモは結成当初から今のメンバーになってからも全員がフェイヴァリットですね。

-結成当時、メンバーが影響を受けたバンドは?

Kato:先輩の世代だとnaiad、同世代だとNOTIIBELIKESOMEONE、BURNING SIGNといった京都のハードコア・バンドとか、海外だとNOFXやNEW FOUND GLORYなどのパンク・バンドやインディーなエモ・バンドに当時影響を受けたと思います。FURTHER SEEMS FOREVERの来日公演には、nim結成前にオリジナル・メンバーほぼ全員居合わせていたというエピソードもあるくらい、FURTHER SEEMS FOREVERを筆頭に、THE ALBUM LEAF、SUNNY DAY REAL ESTATE、MAE、COPELAND、DEATH CAB FOR CUTIEなどなど、書き切れませんがたくさんのバンドから影響を受けました。

Hayato:個人的には、90年代の海外のメロディック・パンク/ハードコアに一番影響されてます。BIGWIG、RUFIO、SICK OF IT ALLなどなど。今も影響を受け続けていますね。

-その後バンド活動をするうえで、どんなアーティストや音楽がインスピレーションになりましたか?

Kato:時が経つにつれて、創作面ではメンバーそれぞれのバックグラウンドからのインスピレーションが色濃く反映されるようになってきました。今作は特にそれが顕著に出ていると思います。同時に新しい音楽もたくさん聴いていて、現行の海外エモ/オルタナのシーンや、ロック以外の音楽からもよく刺激を貰います。活動面で言うと、たくさん出会いはありましたが、各地のインディペンデントなバンド、レーベルなどの活動からたくさん刺激を貰いました。独自のやり方で自分たちの道を切り拓くっていう。1stアルバム『perfect chicken』(2008年)をリリースしてもらったDrumkanのTsugahara(Satoshi Tsugahara/Vo/Gt)さん主催のレーベル"waver waver"、シングル3部作(2011年リリースの『Texas』と『AQUARIST』、2013年リリースの『EQ』)とヒストリー・アルバム『Stay Hungry, Stay Foolish』(2015年)などをリリースしてくれた高松TOONICEの井川(晃里)さん主催のレーベル"Impulse records"、そして今の"KEEP AND WALK"もそのひとつです。

Hayato:僕はnimに加入してからいわゆるエモというジャンルを意識して聴き始めて、音的な部分というよりは、世界観で言うと、SIGUR ROSは新しくて影響を受けました。

Nong:一番の刺激だったのは、全国各地でツアーをして出会った仲間のバンドたちでした。僕たちはエモーショナル・ロック・バンドと銘打って活動していましたが、当時はエモ・バンドだけでなくハードコア・バンドと対バンすることも多くて。ジャンルは違えど、音楽に懸ける熱量はお互い譲らずで、その熱量MAXのライヴでぶつかり合うことでさらにエネルギーへと変わっていきました。A.O.WやSeth、MEANINGともツアーを回ったし、地元ではjizueやSENSMITH、LABRETも同世代で頑張っていたし、東北ではスプリット(2014年リリースの『Suggesting the possibility』)を一緒に出したto overflow evidence、関西ではbacho、関東は柏のaieなどなど。この仲間との出会いがなければ、10年以上も続けられていなかったと思います。

-結成から12年。ライヴと合わせて、意欲的に音源制作にも取り組んできましたが、2015年に大幅なメンバー・チェンジがあったそうですね。それはバンドにとって転機になりましたか? メンバー・チェンジを経て、バンドは精神的、音楽的にどんなふうに変化/進化をしましたか?

Kato:メンバー・チェンジは大きな転機でした。10年以上活動を共にしたギタリストがふたり抜けて、新しく入ってくれたHisanaはひと回り近くも年齢が離れていたので、変化は大きかったです。最初はやはり手探りでした。当時はソングライターもひとり減った形だったし、3本だったギターのアレンジを2本に編集したり、サウンド面や作曲のプロセスに関しても様々な調整が必要でした。だけど、メンバー・チェンジの原因のひとつでもあった"さらなる高み"って気持ちはさらに強くなって。それだけを推進力に試行錯誤の連続でした。

Hayato:今の4人になってからは、よりわかりやすく、カッコつけず、nimの良さを多くの人に聴いてもらえるようにという意識の変化はありましたね。

Hisana:脱退したメンバーふたりはnongとnim結成以前からの長い付き合いでもあったし、当時はトリプル・ギターの重厚感や5人のアンサンブルが賞賛されていたので、正直メンバー・チェンジの際に、周りからは"nimの終わり"と思われていたところもあったと思います。でも自分たちでは、"終わり"というよりも、"脱皮"や"新たなスタート"というポジティヴなイメージを持てていて。不思議なことに無理をしてポジティヴになろうとしていたわけでもなく、私の加入によって、バンドがさらに新たな挑戦ができたり、無限の可能性が広がったりする、"nimの第2章"の始まりではないかと。サウンド面では抜けた2本のギターを1本に集約することによって、歌が入る隙間が生まれ、Katoがより自由に歌えたり、Nongもより繊細なタッチのドラミングを入れつつも、5人のとき以上のパワーも出ていたりすると思います。手前味噌ではありますが、女性コーラスが加わったことにより楽曲の幅も広がっていると。

Nong:大幅なメンバー・チェンジの前は、ギター3本、ベース1本のフル・パワーをドラム1台で支えるのは本当に大変でした。爆音だったのもあってより太くタイトにドラムを打ち込むことに専念してきて。メンバーが新たに変わって、今の4人の編成になって、より歌をしっかり聴いてもらえるようにドラミング、ギター/ベースの音作りをブラッシュアップして今現在の形になります。精神的にはかなり大変でしたが、このメンバー・チェンジが転機であり、音楽的には有意義な経験ができました。まだまだ進化の途中になりますが、これからこの4人でどこまでも邁進して励んでいければと思っています。