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INTERVIEW

Japanese

九十九

2018年09月号掲載

九十九

Member:まめ子(Vo/Gt) 牧 孝奎(Gt) 酒井 健太郎(Ba) 野村 卓馬(Dr)

Interviewer:蜂須賀 ちなみ

愛知県岡崎市発、女性ヴォーカル擁する4ピース・バンド、九十九(読み:つくも)が1年3ヶ月ぶりのミニ・アルバム『こけら落とし』をリリース。先行シングルとして今年5月にデジタル・リリースされた、そして今作では1曲目に配置されている「Delight」という曲の、かつてなく明るい響きを聴けば、バンドが殻を破っただろうということを想像することができる。こんなにも大胆な変化、相当勇気が必要だったのでは? と思ったが、メンバーに訊いてみるとどうやらそういう温度感ではない様子。自分たちの可能性を解放し、素直な気持ちでアウトプットすることができたからこそ、ここまでジャンルレスな作品が生まれたのだ。

-『こけら落とし』、改めてどのような作品になったと感じていますか?

牧:前作の『GIRL MEETS BOY』(2017年リリースの初の全国流通ミニ・アルバム)を出したときは"(全国流通)1枚目だし勢い重視でいこう"みたいな感じで作ったんですけど、今回の作品は真のスタートっていう意味を込めて、より振り幅を重視して作ったんですよ。

酒井:この1年で曲の引き出しも増えて、個々も進化したと思うんですけど、そういう情熱がギュッとひとつになったような作品ですね。

まめ子:もちろん戸惑いの声もあると思うんですけど、それすらも楽しんでもらいたいなっていうふうに思ってますね。あと今回は、ギターの牧が何曲か作詞に参加していたり、私が新たにトランペットを吹いたりしてて。

-あのトランペットはご自身で吹いてたんですね。

まめ子:そうなんですよ、吹奏楽部だったので。アコースティック・ライヴでトランペットを吹きながら歌うっていうことはやってたんですけど、レコーディングで挑戦するのは今回が初めてでしたね。そういう意味でも九十九としての最新版の作品になってます。

-みなさんのおっしゃるように、とにかくいろいろなタイプの曲が入っているなぁっていうのが第一印象としてあって。

まめ子:なんか自然とこういう曲ができたんですよね。たぶん"いい加減違うような曲もやりたくない?"っていうのがみんなの根本にあって。

牧:結成当初、最初にYouTubeで「電光石火」(2015年会場&いまじんウイングタウン岡崎店限定リリースの1stミニ・アルバム『死人に口無し』収録曲)っていう曲を出したんですけど、そのころから結構"○○のパクリだ"っていうことを言われて。もちろんそういうのも好きだし、そのおかげで知ってもらった人もいるのでありがたいとは思ってるんですけど、ひと括りにされるのはちょっと癪だなぁっていうのが、ソングライターのプライドとしてあったんです。それに単純に、そういうのをやってるだけじゃ自分たちも飽きるしなぁっていうのもありましたね。

-ということは、意識的に変化したのではなく、より素直にアウトプットをした結果っていう感じですかね?

牧:そうですね。だから『GIRL MEETS BOY』みたいな曲だけじゃないぞというか、前までが第2形態ぐらいだとしたら、これが最終形態で。

酒井:最終形態はまだ早いよ(笑)。でも本質を見てほしいというか、そんな感じですね。

-それで1曲目の「Delight」からしてなかなか意表を突いてくるというか。これまでの曲にはない明るい響きをした曲ですね。

牧:今までずっとEマイナーの曲が多かったから、最初のEメジャーを鳴らすのがまず最大の難関でしたね。でも別に、暗い曲しか聴かない奴はこの4人の中にはいなかったし、やっていくにつれて"あ、いいな"っていうふうに思えました。

まめ子:私は、ライヴでやるまでは正直怖くて。でも初めてライヴでやったときにみんながめちゃくちゃ笑顔で観てくれたから、それが自信に繋がりましたね。それに、私は応援ソングのつもりで書いたわけではなかったんですけど、(お客さんから)"「Delight」を聴くと背中を押してもらえる気持ちになる"っていうふうに言ってもらえて。

-そういうふうに実際に受け入れてもらえた経験が大きかったと。

まめ子:そうですね、そのあとライヴを何本も重ねても"やっぱりいい曲だね"ってすごく言ってもらえたので。CDで聴いたときにどう受け取られるのかっていうのは正直まだわからないんですけど、自分たちで自信を持っていい曲だって思えていて、それに1曲目だったら絶対聴くだろうから、避けられないように1曲目にしました(笑)。