Japanese
こゑだ
2017年12月号掲載
Interviewer:石角 友香
-なるほど。
さらにモンシロチョウに意味を感じてるのは、人間は生まれてきて、最初はすべてのことを受け入れられる真っ白な純粋な気持ちを持ってると思うんですね。でも成長していくにつれて学校で人間関係を学んだり、やりたいことができなかったり、やってほしくないことをやられたりして傷ついたりしていくなかで、人間は、どんどん成長していくと思うんです。だけど、成長していくと真っ白だったものにちょっと虚勢がついたりして、いい意味でも悪い意味でも染まっていくと思うんですよね。例えば新しいことを始める場合、今までの自分じゃ通用しないってことに直面してすごく沈んだり、抜け出せる道がわからなくなると思うんですね。そういうときって真っ黒に染まっているんだと思うんです。
-結構、激しく落ち込む方ですか?
すごい落ち込む方ですね。1stを作るときも"なんでなんだろう?"って考えたら沼の底の底まで落ちていって。沼の一番下のところで根を生やした感じがして。なかなか這い上がろうとしても這い上がれない気持ちになったことが何ヶ月間かあって、それがすごいつらかったんですよ。さらにつらいを通り越して、よくわかんなくなっていったんです。だけど2ndを作るまでにはいろんないいこともあったりとか、自分が"いや、このままじゃだめだ"と思う気持ちが希望になって、それで動いたり。誰しも沈むこともあれば、すごい上がることもあって、ほんとに山あり谷ありで。人生ってそういうことが山ほどあるなぁと思うんですよね。それを物語にしたくて、だから「モンシロチョウは死なない」には、"純粋な心は死なない"ってことを伝えたいんです。真っ白な気持ちで始まって、いろんなもので染まっていって、「小さなモンスター」に辿り着くころにはもう真っ黒になってて、根が生えちゃった状態で。でも、必死で生きてることを主張しているんです。すっごくつらくて、自分は消えていなくなってしまいたいという気持ちはあるけど、それでも今、こうやって自分は生きてるっていうのを「小さなモンスター」で言ってるんですね。
-それでも生きてるっていう根拠がアルバム全体で歌われていると。
なんかもがいて生きていれば必ず報われるっていうのは浅はかというか、そんな軽い言葉で言ってはいけないような気はするんですけど、まったく光が差さないってことはなくて、どんなにめちゃくちゃつらいことがあっても、自分が希望を手放さなければ開ける道はあるというか。でも、未来のことは誰にもわからないから、それを切り拓いていくのも自分だし、支えてくれる人を作れたのも自分でもあるから、希望の意味も込めて、「小さなモンスター」では、自分は真っ黒なんだけど、でも真っ暗闇だけじゃないっていうのを言いたくて。
-何があったんですか? って言いたくなるぐらい、今、一気に話してくれましたけど。
ははは(笑)。というより、私極端な性格で、嬉しいことは嬉し泣きできる、例えばファンの子と会えたらそれだけでうるっときちゃう的なとこもあるんですけど、その反面、ちょっとでも嫌なことがあると、そこを拡大しちゃうところがあるんですよ。でも、書いたり人に話したりすることで整理できるというか。私が相談したりするときって、助言を求めてもいるんですけど、整理してるんです。それをすることで、"ここでは自分はこういうふうに考えてたんだな"って認識できたときに、"今度こういうことがあったらこうしよう"とか、"自分が今こういうふうな気持ちだからこういう行動すればいいんだな"って思えて初めて解決するっていうのはあります。
-歌うことが最も大事で一生賭けるっていうのはもちろん、作詞作曲という表現をフルにやっていった方がこゑださんはいいんじゃないですか?
歌は尋常じゃないほど自信ありますし、作詞とか作曲も自分の想いを伝えるという意味では自信があって、作品としてそれができあがると我が子のような気持ちになるんです。それが褒められるとすっごい嬉しい気持ちになるし、だからこそ"え~"って言われるとすんごい傷つくし。
-ヴィジュアルも一新したし、また新しいところへ踏み出した感じがします。
はい。1stのときもソロ・デビューでひとり立ちしてスタート地点って思ってたんですけど、2ndもまたさらに、1stでやりたくてできなかったこともあるなかで、なんでできなかったんだろう? って沼に根を生やした気持ちにもなりました。でも、そういうのを乗り越えて、それがすごい自分の身になっていて、それを『モンシロチョウ』ってアルバムを作り上げるうえでフル活用して、より成長した自分でこの作品を作り上げられたので、これからは今まで経験したことを生かして、またここをスタート地点にしないと、と思ってますね。
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