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INTERVIEW

Japanese

katyusha

2017年12月号掲載

katyusha

Member:えつこ(Pf/Vo)

Interviewer:沖 さやこ

-ははは(笑)。時を経て繋がった縁も多いえつこさんですが、様々な経験をしたこの10年間で、katyushaの活動における意義や目的に変化はありますか?

ありますね。katyushaを始めたときは"シンガー・ソングライター1本でちゃんとご飯が食べられるようになりたい"という気持ちでやっていたけれど、事務所が決まりそうで決まらなかったり、話が進んでいたところで"やっぱり一緒にはできません"と言われたり......うまくいかないことが多くて。"27歳を過ぎてこのままだったら、今後どうしていくかちゃんと考えないと"と思っていたときに、ゲスの極み乙女。のコーラスの話を貰ったんです。そこからサポートのお仕事が増えるようになって。

-まさしくターニング・ポイントだったと。

それまでは自分で作詞作曲をして、自分で歌ってお客さんに対してライヴをするのが楽しいと思っていたんですけど、サポートをやるようになって人の曲をさらに輝かせるお手伝いをする楽しみを知ったんですよね。そのときに"こういう生き方があるんだな"と新たな自分の居場所を見つけられたような気がして。だからいまはDADARAYや、サポート・ミュージシャンなどの音楽仕事をやりながらも、katyushaは自分のエゴを出せる場にできればいいなと思っているし、自分を発信できる居場所として、大事に長く残していきたいですね。

-今回フル・アルバムを作ろうと思われたきっかけはなんですか?

前作が2年前に出した会場限定シングル(『YES』)なんですけど、それも全国流通には至らずで。精力的にライヴができる環境でも、コンスタントにリリースできる環境でもないので、次はちゃんとしっかりしたものを、聴いてくれる方々に届けたかったし、そういう環境から抜け出せないなら自分の好きな人たちと自分の好きな曲を好き勝手に作ろう! と思ったんです。曲のストックもたくさんあったので、フル・アルバムにしました。「泣きそうだ」は20歳くらいから歌っていて、「We」も初期からやっていた曲で。そのほかは数年前に書いてあったものもあれば、ワンコーラスだけだったりした未完成のものを、今回のレコーディングのタイミングで完成させた、という感じですね。

-ストッパーがかからずにとめどなく広がっていく感情が音楽になっているという印象があったのですが、ここに綴られている歌詞はえつこさんの赤裸々な心情や出来事......なのでしょうか?

あー......それ聞いちゃいます(笑)? 自分の曲を作る場合、本当に起こったことだけで曲を作りたくないし、本当じゃないことだけで曲を作ることもしたくなくて。1から10まで全部自分のことを教えることはできないけれど、全部嘘かというとそうじゃない。私が経験したり感じたりしたことも曲になっているし、人から聞いたことも含まれていますね。例えば、女友達と飲みに行ったりご飯を食べたりすると、仕事の話もそこそこに、自然と殿方の話になるじゃないですか(笑)。

-女の子あるあるですね(笑)。

女友達の"聞いてよ。こういうことがあってさー......"という話から"あぁ、それわかるわ"と思ったり、"私はそういうふうに思ったことはないけど、そう感じることもあるかもしれないな"とか"自分も同じ立場ならそういうことをする可能性があるかもしれない"と思ったことが曲には入っていたりしますね。"そんなことをする人の気が知れないわ!"と思うものは曲にしていないと思うので、だいたい自分が思ってることです(笑)。自分が29年生きてきた中のいろんなことをほじくりまくって、それを曲のテーマにしていくことが多いですね。


歌っていてもグサッとくるけれど、聴き手の人に伝わってくれた方が作った甲斐がある


-そうですか。からっとしてはいるけれどグサッとくる言葉が多いので、当時のことを思い出してつらくなることはないのかな、と思いまして。

つらくなることもあるんですけど......私にとって曲を聴いてもらうということは、女子会の延長みたいな感じでもあるんですよ。私が"こういうことがあったんだよ、聞いてよ"と思うことを音楽で伝えて、それを聴いてくれた人が"わかるわかる、えっちゃんわかるよ! すっごいグサグサくる"とレスポンスをしてくれるようなやりとりがしたいというか。自分の曲を通してお客さんと会話がしたい。だからほんと、女子会なんですよね(笑)。

-よくアルバムを聴いて"映画を観ているよう"と言ったりすると思うんですよね。でも『I Like Me』は映画というよりは生々しいところも多くて、でもリアリティがあるというよりは観念的なところにも訴えかけてくる。だから"女子会"は言い得て妙だなと。親しい人と話していて"あぁ、そういうことあるな......"とえつこさんが感じること、というリアリティが曲になっているのかも。

いまより若いときは遠回しな表現の歌詞が多くて、それは若者特有のメンタルの弱さもありつつ、自分の気持ちを知られるのが恥ずかしいところがあったんです。自分の気持ちは音楽ではなく友達や好きな人にぶちまけていれば良かったんだけど、歳を重ねていくと相手に自分の気持ちを伝えることができなくなってくるところがあると思うんです。例えば、この年齢にもなって友達の前で感情に任せて大泣きできるかというと泣けないし、"こんなことあったんだよ、聞いてよ! あいつがこんなこと言ってきて"なんていちいち報告するような年齢でもないし。

-たしかに、歳を重ねるごとに自分のことを明け透けに話せる相手はどんどん減りますね。

何をするにも自分で解決しようとするし、人に自分のことを話さなくなってくるぶん、だけど話したいと思う気持ちが曲の方に表れているのかも。それもあって歌詞がどんどんストレートになってきて、それを聴いてもらうことによってお客さんにもいろんな想いが湧き上がって――若いときとは違う女子会の方法を私なりに設けたい気持ちがあるのかもしれません。歌っていてもグサッとくるけれど、聴き手の人に伝わってくれた方が作った甲斐があるので。