Japanese
有安杏果
2017年10月号掲載
Interviewer:吉羽 さおり
中学生のころから日記を書くのが好きで、その延長で、いつか曲を作るときにと書き溜めていた歌詞ノートがあったんです
-小谷さんには、自分で書いた歌詞も渡したんですよね。それは、どんな内容だったんですか。
あぁ......恥ずかしいんですけど(笑)。どこにも話してないですけど、"皮肉"っていうタイトルの歌詞を書きました。
-普段あまり見せない部分じゃないですか。
そうですね。
-今回のアルバムでの曲は、そういうふうに、このソロを作るにあたって、こんな想いを伝えたいとか、心の内を書き出したものなんですか。
そうですね。今回のアルバムのタイトル『ココロノオト』って、"心ノート"と掛け合わせているんですけど、もともと、中学生くらいのときから日記とかを書くのが好きで、その延長線上で、いつか何か曲を作るときにと思って書き溜めていた歌詞ノートがあったんです。その中から、言葉をチョイスして作ったものが多いですね。1曲目の「心の旋律」は、ちょうど喉を壊してしまって声が出ないときに、"歌いたい、歌いたい"と毎日のように書いていて。その強い想いをこの曲に詰め込みました。
-書くことは好きで、もともとやっていたことで。書くことで、心に溜まっていく何かを消化するものなんですね。
そういうのがあるのかもしれないです。
-歌詞を見ていると、どんなことがあっても前向きに頑張っていこうという姿勢が見えます。でもきっと、ノートに書いているものってそこまで前向きなものばかりではないですよね。
ノートにはここに出せないくらいの、もっとドロドロしたものもありますね。最初に歌詞を書き始めたときは、やり方も何もわからず──学校で、作詞の勉強をするわけでもないので。"これ、暗すぎるでしょ"ってレーベルのプロデューサーにも言われたこともありました(笑)。
-それで、歌詞にするにあたっては希望が見えるようにしようと。今作で有安さんが最初に書いた曲はどの曲ですか。
実は今回のアルバムは、この曲順が自分が作った順番にもなっているんです。さっきも言った「心の旋律」は、中高生のときに何度か喉を壊してしまっているんですけど、その時々で"歌いたい"とノートに綴っていたものがもとになっています。2曲目の「Catch up」は、大学生になったころのもので。芸大だったので、音楽やってる子や、作曲の勉強をやってる友達も身近にいたんです。同い年でもこうして作曲の勉強をしてるんだなって刺激を受けて、試しに私も曲を作ってみたいって、大学1年生のときに作って、そこからずっと眠っていた曲だったんです(笑)。それで、横アリでのコンサートが決まったとき、"あ、あの曲があった!"と思って。初めて作った曲だからメロディも覚えていたし、友だちは打ち込みができたから、ちゃんとデモとして残っていたんです。これだ! と思って。ちょうど、ちょっとかわいい感じの曲を作ってみたかったので、だいぶ一生懸命に、女の子のかわいい気持ちを自分で書いた曲ですね(笑)。
-そういった曲も似合ってますよ。
でも、こっ恥ずかしくて。自分で恋愛の歌詞を書くって初挑戦だったので。アレンジャーの方にちょっと手伝ってもらいながら作り上げた曲でした。そのあとが3曲目の「ハムスター」なんですけど、この「ハムスター」が、人生で初めて、作詞作曲を全部やった曲ですね。横アリをやるって決まって、じゃあ、自分で1曲だけでも作詞作曲を頑張ろうと思って、何もやり方がわからないけど、とりあえず鼻歌でやってみようってイチからメロディを作って、自分で完成させた初めての曲でした。
-自分が作った曲のアレンジが上がってきたときはどう思いましたか。
自分で打ち込みとかができないので、メトロノームに合わせてボイス・レコーダーで録った鼻歌を、恥ずかしながらアレンジャーさんに送って。しばらくすると、そこにコードやイントロがついて返ってくるんです。まず届いたときに、"ヤバい、どうしよう!"って、聴く前からドキドキワクワクしましたね、どんなふうになったんだろうって。初めて曲になったと思ったら、すごく嬉しかったんです。そうしたら今度は、どんどん欲が出てきて、自分のイメージはここがもっとこうだなとか、何度かアレンジャーさんとやりとりをさせてもらって。最終的に、レコーディングで生の楽器を入れていくうちに、また曲の表情がどんどん変わっていきました。今までは、レコーディングで自分の歌以外の部分、サウンドや楽器周りのことに携わることはなかったので、曲を作り初めてからは、日々勉強になるし、面白いです。やるたびにわからないことも増えて。アレンジャーやエンジニアさんが使う専門言葉でわからないこともあるから、悔しいなって思ったり、もっと勉強したいなって思ったりしてます。
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