Japanese
256
2017年09月号掲載
Member:池田 光(Gt/Vo) 草野 仁(Gt) 本庄 拓也(Ba) 中嶋 将大(Dr)
Interviewer:吉羽 さおり
-いいバランスの4人ですね。本庄さんのデモは、すべての楽器が入った"作り上げられた"ものなんですか。
本庄:そうですね。ドラムを打ち込んで、ベース弾いてギター弾いて。そこから丸投げです。何も歌がついてない状態で渡して、光なりのものを乗せてもらう感じがずっと続いています。そのあとみんなに聴いてもらって、ひととおりコピーしてもらって1回合わせたときにこいつ(草野)とかが──
草野:ぶっ壊していくので(笑)。1回はコピーするんですけど、ここはもっとこうしたいとか、ギタリスト的なアプローチは自分の方ができるので、そこは変えていってという感じですね。
池田:デモのおいしいところはとっておいて、あとは破壊しまくるっていう。
草野:言い方気をつけてな(笑)。
-(笑)それが仕上がりとしてポップに聞こえるというのは、それぞれがいいさじ加減でやっているんだと思いますよ。
中嶋:そこは、本庄チェックが入るからね(笑)。
本庄:まぁちょっと、"ここはダメなんじゃない?"っていう。"音がぶつかっちゃってるんじゃない?"っていうのをチェックしたり、ということです。
-本庄さんの頭には、256のバンド像や音楽像のようなものがあるのですか。
本庄:256でやりたい音楽というのが、僕の中だけで止まっちゃっているというか。それを、なんも言わずにみんなに投げてみて、それぞれのこうした方がいいという意見をもらって、という感じですかね。結構、流行りのものとかもデモに入れちゃうんですよ、EDM系のノリだったり。そういうのに関しても、みんな何も言わないですけどアプローチで変えてきてくれるので。結局、うん......みたいな(笑)。
中嶋:ダメなのか(笑)。
本庄:ちゃんと丸くなるっていうかね。
-元ネタを投げると、256として返してくると。
池田:それこそ、デモに僕がメロディと歌詞をつけて返したら、"全然イメージしてたのと違う"って言われることもあるんですけど、"これがいい"っていうのもあったりして。そういうふうに、彼が考えていたものとは真逆のものもあるらしいんですけど、それで結果的に256でまとめるといいものができたりして。
-サウンド的に爽やかさがありつつ、歌が乗ることでニュアンスが変化する曲も多いですよね。歌詞の切なさや恋愛の曲では、歌に湿り気みたいなものが入ってきて、サウンドと組み合わさっていくところがありますが、池田さんはどういうところが歌になりますか。
池田:一番多いのは、曲ごとにストーリーを作ることで。頭の中で、架空の物語を作って、それをもとに歌詞をバーッと書いていくんです。芯にあるのは、これは周りに言われて気づいたんですが、"等身大だ"と言われて。無意識ではあるんですけど、今の自分にしか書けない、今の自分の解釈でのいろんな社会経験や恋愛経験を盛り込んだ歌詞、今の自分が書ける等身大のものをそのまま物語に反映させて書いている形ですね。それが時に恋愛がテーマだったり、時には自分たちに反映させて"頑張ろう"という曲だったり、ちょっと恋愛とは一歩離れたテーマで書いてみたり。バラバラなんです。
-意識的に自分の経験を綴っているわけではないんですね。
池田:そうですね。あとから思うと、無意識のうちに反映されているな、と思います。全部が全部ではないんですけど、希望が見える歌詞が多くて。最終的に、ゴールを見つけるというか。例えば「ヒカリ」では、一見すると恋愛テーマっぽい曲ですけど、そういうのでもなくて。ダメダメな人生で、何もかもわからず、でも根拠のない自信を頼りに必死に突っ走っていて。最終的には、明日なんとかなるなっていう曲になっていたり。
-みなさんは歌詞について、彼らしさが出ているなと思いますか。
草野:たしかに"光世界観"みたいのはあるよね(笑)。
本庄:ちょっと青臭いというかね。泥臭いまではいかないけど。
中嶋:古めかしいとか、ちょっとアナログテレビみたいな。
-そんなに昭和っぽさがありますか(笑)。
本庄:たしかに。地デジではない感じがある。
池田:わかりづれえなぁ(笑)。
中嶋:見た目はサブカルなんですけど、根はそうじゃないというか。もっとなんていうか──
本庄:人間臭いよね。
-なるほど(笑)。また「夢で逢いたい」では、ゴージャスなホーン・セクションが入っていて、いろんな楽器を入れた方向性もありだなと思わせる曲でした。ここからサウンド的にチャレンジをしたいことは、ありますか。
本庄:ローズ・ピアノがめちゃくちゃ合うだろうな、とずっと思っているんですけど。なかなか今だとライヴで1回1回サポートでキーボードを入れることはできないので、まだ手は出してないんです。
池田:その話は結構上がるよね、キーボードを入れたいとか。
-そういう、あたたかみやヴィンテージ感のある生の楽器が自分たちには合うな、という感じですかね。
本庄:あまりグイグイいくデジタルなサウンドではないかな。
池田:生音勝負をしたいという意識があるんです。音源でそういう音を入れすぎてしまうと、生音で再現ができなくなっちゃって。同期でやればできることですけど、今はまだ4人の音だけで勝負をしたい、というのがあって。将来的にはチャレンジすることもあると思うんですけども。
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