Japanese
the knowlus
2017年08月号掲載
Member:川野 奏太(Vo/Gt) 千葉 太朗(Dr) 田村 昌平(Ba)
Interviewer:秦 理絵
-その状態から"これだ!"っていうものができた瞬間はあったんですか?
川野:今回のアルバムで言うと、2曲目の「brilliant noise」ができたときですかね。
千葉:「空中都市の夕暮れ」とかね。
-「空中都市の夕暮れ」はリード曲ですね。
千葉:それまで、僕らは速い曲ばっかりだったんですよ。でも、スローな曲調でリードになりそうな曲を作れたときに、"これだ!"と思ったんですよね。
川野:この曲ではテンポ感もコードも難しいものは使ってないんです。シンプルなコード進行でスロー・テンポにしても、ちゃんと曲を作れたっていうのは大きかったです。
-そうやってthe knowlusの新しいオリジナリティを打ち出すための作品が『theory of everything』というミニ・アルバムなんですね。
川野:そうですね。でも、新しいだけじゃなくて。今回のアルバムにつけた"theory of everything"っていうタイトルは、"万物の理論"っていう意味なんですけど、世界に存在する力をひとつの公式で表す、みたいな科学の理論なんです。このタイトルにすることで、『不確定の原理』までのthe knowlusのイメージとそれからの2年間で生まれた新しいものを融合させるっていうのを表現したくて。だから、1曲目の「dimension」とか最後の「名前のない少年」みたいな、前回までのカラーを残した曲もちゃんと入ってるんです。
-バンドの"これまで"と"これから"を少し言葉にすると、これまでの曲は複雑で重めの曲が多いけれど、新しい曲はメロディが抜けるような楽曲になってます。
川野:ちゃんとメロディが伝わるようにしたいっていうのは結構考えました。いままでは遠回しに表現してたので、それを極力取り除いていったというか。
千葉:これまでみたいに小難しいことをやるんじゃなくて、シンプルでノリやすいものを目指しました。僕らはわりと変なことをしたがるところがあるんですけど。
川野:いままで、「brilliant noise」みたいなルートだけのベースはなかったもんね。
田村:この曲で僕は何もしてないです。
-いやいや、ちゃんと弾いてるじゃないですか(笑)。
川野:普通の人からしたら、結構弾いてるぐらいの感じですよね(笑)。でも、シンプルなものをかっこよくやるのは難しいなと改めて思いました。あとは、いままでにないポップなコード進行を使ってる曲もあるから、これをライヴでやったときに、"どういう反応をするんだろうな?"っていう不安は少しありますね。
-でも、それまでに言われ続けた"誰々っぽい"から脱却することができた手応えは感じてるんじゃないですか?
川野:そうですね。レコーディングの最中に知り合いに聴いてもらったら、明らかに反応が違ったから、ちゃんと変われたんだなっていうのはあります。
千葉:いままでは自分らが変わってるつもりでも、そうやって受け取られないっていうパターンをずっと続けてきたので、しっかり反応があるのは嬉しかったですね。
空想と現実の融合みたいな不思議な世界を目指してるんです
-自分たちのオリジナリティを出すとか、過去との融合っていう部分以外で、今回のアルバムの中で伝えたいことはありましたか?
川野:歌詞の中でずっとテーマとして掲げてるのは、空想と現実の融合みたいなことですね。完全に空想でもないし、完全に非現実でもない、みたいな不思議な世界をいつも目指してるんです。今作は特にバランスを意識してます。前作では空想の方が強かったんですよ。でも、今回は現実的な言葉を入れてみようっていうのはありました。
田村:僕と(川野)は音楽の趣味はあんまり合わないんですけど、それ以外の映画とかアニメとかの趣味は一緒だから、この世界観がいいなと思ってます。
川野:僕は藤子・F・不二雄先生が大好きなんです。
-と言うと、"ドラえもん"とか?
川野:"ドラえもん"の影響は受けてると思いますね。藤子・F・不二雄ミュージアムにも頻繁に行っちゃうぐらい好きなんです。あそこまで現実世界に非現実をきれいに持っていける人はいないと思うんですよ。そこを尊敬してます。
-普通の小学生の日常に"どこでもドア"とか"タイムマシン"が出てくる感じですよね。
川野:机の引き出しを開けたら"タイムマシン"になってるとか、竹とんぼを頭につけたら空を飛べるとか、うまいですよね。"タケコプター"とか"どこでもドア"っていうネーミングもすぐ覚えられるし、いいですよね。
田村:あんなに科学が発達してるのに、結局電池がなくなるとかね(笑)。
-でも、誤解がないように言うとしたら、the knowlusの世界観は"ドラえもん"ほどポップなものではなくて、ダークで文学的なものになってますね。
川野:斜に構えてますね(笑)。
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