Japanese
the knowlus
2024年05月号掲載
Member:川野 奏太(Gt/Vo) サイトウシンタロウ(Ba) 千葉 太朗(Dr)
Interviewer:石角 友香
90年代末~00年代初期のオルタナティヴ・ロック黎明期の洋楽、邦楽双方の影響を感じさせるサウンドを持ちつつ、現代にアップデートし続ける3ピース・バンド、the knowlus。まとまったリリースとしては2017年のミニ・アルバム『theory of everything』以来となる作品『Discovery Age』をリリースする。メンバー交代やコロナ禍を経て、制作スタイルを模索しつつ、このバンドならではの硬質でストイックなサウンドとアンサンブルは、より強化され、ソングライターである川野奏太の描く世界観は、危機感と混沌を極める現代社会と驚くほどのリンクを見せる。新作を軸にしたインタビューからバンドの今をひもとく。
-今回の『Discovery Age』に至るまで、どんなことが作品に一番影響していますか。
川野:私生活の面で変わったこともあるし、バンドのやり方、曲作りに関してもそうですし、練習もそうだし、楽曲との向き合い方もサイトウ君が加入したというのもあって変化はあるし、コロナ禍を経てという意味でも変わったところはたくさんあるんです。なので結構いろんな面で新しくなったなと。やり方もそうだし世界観もそうだし、コロナ自体が良かったということは絶対にないんですけど、それをきっかけにバンドとして新しい試みもしたかなという期間ですね。変えざるを得なかったところも多々ある感じです。
-変えざるを得なかった面とは?
川野:一時期ライヴにお客さんを入れてできない時期もあったし、そもそも3人でスタジオに入れない期間が結構長かったので、その間も何かできることはないかなっていう感じで、遠隔でミーティングや曲作りをやって。それまでは3人で会ってセッションみたいにして曲を作ることが多かったんですけど、3人で集まれないのでひとまずDTMなりなんなりである程度こんなのがやりたいって形にしたものを他のメンバーに提示するようにしたとか、根本的なやり方も変えてみようというところがありましたね。
-千葉さんはいかがでしたか? 以前の作り方と比べて。
千葉:新鮮でしたね。今までギターのリフ1個とかサビ1個とか "こんな感じのやつ作りたいんだよね"から始まるんですけど、今回はさっき言ったみたいにある程度川野さんの方で形ができてて、なんだったらドラムも入ってるみたいな状態でデータが送られてきて、それにドラム入れてみたいな感じだったので。作ってる感覚は今までと全然違いますね。それから始まるので、自分で考えたらこのフレーズ叩かないだろうなみたいなのも結構作中に出てきてるかなと思いますね。
-今回、楽器の音量が大きくて、すごい迫力で演奏が聴こえてくるなと思ったんです。
川野:最近ってサブスクでリリースするのが前提でみなさん楽曲制作されると思うんですけど、どうしてもストリーミングというとデータが圧縮されてしまうんです。コロナ禍になってよりサブスクで音楽を聴くようになったっていうのもあるんですけど、ちょっと音量ちっちゃいなと思うことも多々あって。一応音量バランスは(サブスク側で)揃えられてはいるんですけど、なんとなく迫力に欠ける部分っていうのはたまに感じてたんですね。それは自分の楽曲もそうですし、他のバンドさんの楽曲を聴くときにも"ちょっと音量上げたい"みたいな瞬間があったんで、とにかく演奏の迫力を出したいなってところに重きを置いたというか、もっと音を前に出したかったんですよ。
-なるほど。タイトルの"Discovery Age"には大航海時代という意味もあるということなんですが"大航海時代"からよくイメージされるような意気揚々とした感じとはいい意味で違う印象を楽曲から受け取ったんですよ。大きな枠ではどういうイメージのもとに集まった7曲なんでしょうか。
川野:最初に楽曲を作り始めたときは何かを新しくしようと思ってたわけじゃなくて。サイトウ君が入ったこともそうだし、6年前とは自分の中にインプットしてたものもたぶん違うだろうし、いろいろやって作ってみたら結果新しくなっちゃってたっていうのが正直なところなんですよ。で、必ずしもそれって楽しいことばっかりじゃないというか。新しい世界って、さっきおっしゃってた意気揚々としたとか希望に満ち溢れたという面ももちろんあると思うんですけど、新しい世界に飛び込むときって勇気がいると思うんです。大航海時代っていうのをテーマのひとつに挙げているんですけど、新しい冒険に出るときとか新しい世界に飛び込むときって大変なことがすごい多いし、苦しいこともたくさんある。でも全部が鬱屈とした感じかって言うと、それは違くて、いつも言ってるんですけど、最後には光が見えるような歌詞や音の世界観というか、そんな持っていき方にはしてるつもりなんです。いろいろ新しくて苦労することもあるけど、最終的には光を見いだせる、そんなところを全曲通して思い描いて作ったかなという感じではあります。
-すごく今の世界のムードというか、危機感も煽られるヒリヒリした内容ではあるんですよね。
川野:昔の楽曲からヒリヒリした世界観というのは結構あって、それを大きく変えたつもりはないです。語る言葉は新しいものが結構あるんですけど、根底にあるものは変わってないかなっていう感じで。僕としては、僕らが世界に近づいていったというよりも、逆に僕らの楽曲の世界観にちょうど世界の方から近づいてきたって感覚なんです。"今の世界がこんな感じだからこれを書こう"っていうのではなかった。"世界も偶々そういう雰囲気だ"って感じですかね。
-シンクロしちゃったんですね。1曲目の「僕らが深淵を見つめる時」に顕著な気がしたんですけど、何かひとつ乗り越えたバンドの宣言のように聴こえて。
川野:バンドの状態的にもだしコロナ禍ってのももちろんあったし、制作過程でのアイディアが出てこないとか、僕のアイディア待ちだったところも結構長い期間あって。うまく形にできない期間がすごい長かったので、ライヴのセットリストも、変えたいけど新しい曲できないからあんまり変えられないみたいな時期も長かったんです。それはたしかに乗り越えたかなと思いますね。
-この楽曲はミュージック・ビデオも作られていて、動いているみなさんを見るとはっきりわかるんですけど、千葉さんの綿密な若干マス・ロック的なリズムとかめちゃくちゃポイントなんじゃないでしょうか。
千葉:ありがとうございます(笑)。マス・ロック的な......それこそtoeとか好きでよく聴いてたから自然とやってしまいますね。
-しかも川野さんのヴォーカルって意外とフォーキーな曲でも似合いそうなぐらいすごく聴こえるじゃないですか。それはすごい特徴なのかなと。
川野:単に声量だけで言ったら今回もエンジニアから"ちょっと声量を抑えてください"って言われたぐらいなんで(笑)。ちょっと(声が)割れちゃってるところもあるんです。うまく抑えれたらいいんですけど、やっぱり感情が入るとどうしても前に前に行っちゃうんで、無理に抑えるのもまた違うかなっていう感じになっちゃって、難しいところでもあるしいいところでもあるのかなとは思ってますね。
-川野さんは弾き語りもやってらっしゃるんで、バンドでのアウトプットと違う表現も持ってますね。
川野:やっぱ弾き語りは全然違うものだなっていうのを最近特に感じてて。バンドのときは結構ふたりに頼ってんだなって(笑)、ひとりで出るとステージでも思うことが多々あるんですよ。アコースティックは、マイクではギターの音を拾ってますけど、楽器自体に電気を通してないから全部自分次第というところがあるじゃないですか。なんか全部丸裸にされた感じ(笑)。なので、俺ギター下手くそだなと思う瞬間がすごい多くて(笑)。でも、だからこそ原点に立ち返れるというか、"俺ここもっと練習しなきゃダメだな"とか"こんなことするにはこれやっとかなきゃダメだな"って発見することが多いですね。あとは、当然弾き語りだとバンドに比べて楽器や声の数自体が少ないわけなので、アレンジに関する制限は圧倒的に大きいということになるんですけど、限られた音数の中で少しでもいいものにしようと試行錯誤し続けていて、その試行錯誤がバンドに帰ったときにめちゃくちゃいい作用を生んでるなと思う瞬間がたくさんあります。まったく違うものとは先に言ったんですけど、まったく関係がないという意味ではなくて、相互に影響しまくってますね。
-みなさんそれぞれ特に思い入れの深い曲と理由を教えていただければなと思うんですが。
千葉:「方舟の揺れかた」ですね。単純にピアノが入ってるのがカッコいいのと、久々に小難しい曲作ったなっていうのがあります。難しい曲わりと好きなので、演奏的な話だけになっちゃいますけど、個人的にはこの曲はそのへんが好きですね。
サイトウ:僕は「科学者と哲学者」かなと。ベース的な目線になってしまうんですけど、絶対20代の頃こんなフレーズ弾かなかったなっていう。Aメロに入れてるオブリの感じとか、普通にドレミファソラシドみたいなのが出てくるんですけど、絶対そういうの入れなかったよなと。あとはサビのフレーズは自分で弾いてて俺っぽいなと思いますけど、そういうのもちゃんと織り交ぜながら楽曲で表現できるようになったなみたいな。
-川野さんは作者なんで難しいところだと思うんですけど、1曲挙げるとしたら?
川野:全部思い入れがすごいあるんですけど、僕がこの曲ができて良かったなと思ってるのは「クロノス」ですね。シングル・リリースしようってなってたんで、最初からアルバムに入れる前提で作った曲じゃないんですけど。まず先に「アルキメデスの螺旋」があって、その曲はサイトウ君が入ったばっかだったからちょっと原点回帰しようぜってのもあって。もともとガレージとかロックンロールが好きだから、勢いで行けるやつがいいよねっていう感じで作ったんですよ。そのあとに「クロノス」を作ってて、ひとつ新しい扉を開けたかなって感覚があったんですよね。
サイトウ:思い出した。これ仮タイトル"54 -71"だった(笑)。
川野:そうだ"54 -71"だった(笑)。リズムが結構タイトでビート感のある、低音がベタっとズムズムした印象の楽曲にしようとしてたんですよ。でも、語りというかラップっぽいのを入れようってアイデアが出てきて、若干ミクスチャーみたいなアレンジになっていったんですよね。どちらも今まであまりなかった要素ですね。今回アルバムを通して哲学とか神話っていうのを世界観として取り入れてて。(「クロノス」は)僕がそういうのがすごい好きなんで、今回その方向で行ってみようかなって決め手になった曲でもあるんです。"クロノス"も神話に出てくる神の名前ですけど、この曲でその世界観が固まったし、且つちょっとバンドとして新しい扉開けた印象があったんですよ。突破口になった曲というか、できたときは"あ、この方向で行けんじゃない?"って感じだったんで、僕の思い入れがある曲はこの曲にします。
-だからちゃんとアルバム・バージョンが入ってるんですね。
サイトウ:これはミックスからやり直してます。
川野:アルバムに収録する際に、シングル曲から1回バラして音作りを1からやり直してるので、だいぶシングルとは印象が違った音になってるかな。
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