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INTERVIEW

Japanese

イトデンワ

2017年07月号掲載

イトデンワ

Member:NatsuMi(Pf/Vo) ヒロクサマ(Ba)

Interviewer:秦 理絵

神奈川を拠点に活動する3人組ピアノ・ロック・バンド、イトデンワが7月26日に2ndミニ・アルバム『伝書鳩の旅路』をリリースする。元the pillowsの上田健司をプロデューサーに迎えて今年2月にリリースした1stミニ・アルバム『白線を辿る』から約半年ぶりのリリースとなる今作は、そこで培った経験を生かしながら、メンバーによるセルフ・プロデュースで制作された。エレピやドラム・パッドによる新たなサウンドメイクにもトライしながら、伸び伸びとした制作環境が功を奏して3人のバンド感がよりいっそう増す結果となったという今作について、メンバーを代表してNatsuMiとヒロクサマのふたりに話を訊いた。

-前作以上にバンド感が増した作品になりましたね。

クサマ:今回は(前作『白線を辿る』のプロデューサーだった)上田健司さんがいない状況で、メンバーだけで作った作品だからだと思います。もともと上田さんには、全国流通盤を出す前にリリースした自主制作の『retrospect』(2016年リリース)っていうシングルを評価してもらったんですけど。それと聴き比べたときに、自分たちの中でアレンジャーをつけない方が伸び伸びできるんじゃないかっていうのがあったんですよね。

-上田さんと一緒にやることで培ったものを踏まえて、自分たちの力で作ってみたと。

NatsuMi:そうですね。今回はバンドだけで作ることにしたんです。

-制作はいつぐらいから始めたんですか?

NatsuMi:曲自体は2月に『白線を辿る』を録り終えたぐらいから作り始めてました。で、4月頭にレコーディングをしました。

-こういう作品を作ってみたいっていうのは何か考えてましたか?

NatsuMi:それが何も決めずに作り始めたんです。タイトルも最後に決まって。ただ、インスト曲を入れたいなっていうことだけは考えてました。ピアノ・ロック・バンドだから、一度インスト曲を作品に入れてみてもいいのかなっていうのがあったんです。

クサマ:それで「ラストシーン」への繋ぎになる曲を作ろうと思ったんですよ。「ラストシーン」の引き立て役として作ったから、基本的な作り方は歌のある曲を作るときと一緒なんですけど、重要な役割を果たすものになったと思います。

-それ以外は特にアルバムのコンセプトはなく?

NatsuMi:そうですね。だから結果的になんですけど、歌詞は大きなテーマになったのかなとは思いました。地球とか世界を相手にしてる感じになったかなぁと思います。

-たしかに前作の『白線を辿る』は風景が見える作品だったけども、今回はむしろ世界と対峙した人間の心みたいなものに重きが置かれてる感じはしました。

NatsuMi:そうかもしれないですね。自分の中では自然なんですけど。それをタイトルで表したのが"伝書鳩の旅路"なんです。ひとりひとりの心を渡っていく鳩をイメージして、人から人に何かを伝えるというより、鳩が人の心を拠り所にして渡っていくような音楽というか。たくさんの感情を書いたアルバムかもしれないです。

-クサマさんはNatsuMiさんの歌詞の変化をどう感じますか?

クサマ:前作と比べてというよりも、やっぱり活動休止期間が明けて(※イトデンワはNatsuMiの体調不良により2016年7月末に無期限活動休止を発表し、2017年1月に復活ライヴを開催した)、体調が良くなったのが大きいと思いますね。前より前向きな歌詞が増えた気がします。

NatsuMi:今日はいないんですけど、ドラム(ゆーや)には"歌詞が女性っぽくなったね"って言われました。それがどういう意味なのかはわからないんですけど......。

-例えば「アサヤケ」(Track.5)みたいなラヴ・ソングがあるからですかね。

NatsuMi:うーん......いままでは自分の経験を書くときも主人公を男の子にしちゃってたんですよ。それは半分、逃げなんです。主人公を"僕"にすることによって重たくならないようにしてて。前作はほとんど"僕"だったんですけど、今回は半々ぐらいかな。

-それは逃げなくなったってことですよね?

NatsuMi:そうだと思います。女の子の部分を隠そうとしてた感じがあった......これ、結構言いたかったことですね(笑)。私は自分の歌詞を女性にわかってもらえるのが一番嬉しいから、それならこっちだよなって思いましたね。

-結果として自分の本当の部分を表現できたんですか?

NatsuMi:そういう部分もありますね。