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INTERVIEW

Japanese

DJ和×芦沢ムネト

2017年06月号掲載

DJ和×芦沢ムネト

DJ和 芦沢ムネト
インタビュアー:岡本 貴之 Photo by Aiste

あくまでみんなが見える範囲のものを描きたいんですよ。"ステージ袖に立ってる人って誰なんだろう?"とか(芦沢)


-今注目しているフェスはありますか?

芦沢:僕、フジロック(FUJI ROCK FESTIVAL)に行ったことがないんですよ。これがねぇ、すごく恥ずかしいんですよ、言いづらいというか。"免許持ってないの?"くらいの感じで。"そんな感じ出しといてフジロック行ってないんですか!?"みたいな。

DJ和:(笑)僕も自分のイベントと被ったりして、行きたいけど行けないというのがほとんどですね。興味があるのは、趣向を凝らしたものですね。僕はキャンプとかをしたことがないので、そういうことを個人的にはやってみたいなと思っていて。でも、土日が2日間空いているときってなかなか貴重だったりするんですよね。

芦沢:そうですよね。してみたいですけど、する相手もいないし。ひとりでするものじゃないじゃないですか? ひとりでやったらただの野宿だから。

DJ和:僕も友達が少ないので(笑)、大人数でワ~! みたいなことがあんまりないんですよ。

芦沢:そんなパーティー野郎じゃないので(笑)。

DJ和:そうなんですよ、DJやっておきながらなんですけど。個人的にはライヴにもフェスにもひとりで行けるみたいなノリなので。でも、10人ぐらいの大人数で行ってみたいですね。みんなでワ~って写真撮って。

芦沢:意外とそっちの方行けてないですよね、僕ら。わりと(ドリンクを持ちながら)"ウィ~ス"みたいな。腕組みしながら右手でリズムを取って揺れるみたいな。これは"踊れない症候群"というのがあると思っていて。踊れないじゃないですか、僕ら。踊ることの恥ずかしさってないですか? サークル・ピットとか、意外と出る側になるとできるんですよ。これが客側に立つとものすごい恥ずかしくて。

DJ和:無理ですね、はい。

芦沢:(ドリンクを持って眺めながら)"あぁ~楽しんでるね"みたいな位置に行っちゃって。我を忘れて踊るってこんなにも恥ずかしいんだなっていうのがあったりして。何なんでしょうね? あの恥ずかしさ。

DJ和:やりたいのはそれですね。しかも男女で。男女で行ったことがないので......。

芦沢:男女だったらありえるんでしょうね。好きな人とだったらワーってなるんでしょうけど。

DJ和:そういうキュンとしたものがまったくないので、それをやりたいですねぇ。

芦沢:そういうインタビューじゃないですよ! 相手を募集する会じゃないですから(笑)。

DJ和:そうでした、すみません(笑)。

芦沢:でも、DJやっている人ってそっち側の人に見られるじゃないですか?

DJ和:僕も昔伝えてたことがあるんですけど、DJは全然パリピでもリア充じゃない人がいっぱいいるんですよ。6割くらいはリア充かもしれないですけど、4割は非リア充なんです。

芦沢:DJ和さんの写真を見た瞬間に、本当申し訳ないんですけど"この人はリア充じゃない"って思いました、良くも悪くも。

DJ和:(笑)いや、そうなんですよ。クラスで言うと、元気で中心的な奴がいてガリ勉がいて、でもどこにも属していない、上でも下でもない真ん中というか。特に話題にならない奴のひとりです。

芦沢:でも、そういう人は誰よりも周りを見ていたりするじゃないですか?

DJ和:そうなんですよ、そこって結構重要なんです。

芦沢:いや、重要ですよ。そういう人ってあるあるなんかがわかったりするんですよね。

DJ和:結構全般的に見ているんで、いろんな話ができるんですよね。テレビとかゲームとか、落ち着いた話もできるし。

芦沢:全部の平均点が取れちゃう。だから、この選曲にすごく納得がいったんですよ。そういうことなんだなって。

DJ和:僕はDJを始めたきっかけが、バンドのヴォーカルはできないし前に出るのは無理だったからで、最初にDJを始めたときはヒップホップだったんですけど、ラップも無理だなって。でも、ブースの後ろでやってれば自分にもできるんじゃないか、クラスの平均点でもできるんじゃないかって(笑)。人気者じゃないとヴォーカルになれないんじゃないかと思うんですけど、俺でもDJならいけそうなんじゃないかくらいの感じで。こんなこと言うとDJの方に失礼ですけど(笑)。

芦沢:ははははは! でも、DJってみんなの気持ちがわかることが大事じゃないですか?

DJ和:DJとしては、やっぱりアーティストさんのライヴを観るときもお客さん目線で観ちゃいますね。同じステージに立たせていただくこともあるんですけど、それでもいちファンとして観てしまいます。

芦沢:わかります。僕も絵を描いていて、これがアーティスト側の絵になっちゃったらダメだなって思いながら描いているんですよ。お客さんが見たことがある絵を描かないといけないので。(あるあるを見ながら)これが"アーティスト・エリアではこうしてる"とか描いたところで、"俺知っているんだぜ"みたいに変な自慢にしかならないというか。あくまでみんなが見てる範囲で見えるものを描きたいんです。"ステージ袖に立ってる人って誰なんだろう?"とか。

DJ和:ははははは! 100パーセントいますよね。

芦沢:それとか、次の出番の人が座って見てるとか。それで大爆笑してたり(笑)。何が面白いかわからないけど。

DJ和:それもあるあるですよね。

芦沢:無限にありますからね。

DJ和:これを作るときに他のあるある候補はあったんですか?

芦沢:"どこでそのダンス流行りだしたの?"っていう......(※下を向いて両手両足を動かしながら)。誰が作ったのっていう。あの謎のダンス(※おそらく"スカダンス"のこと)。みんな突然やり出すじゃないですか。しかも客席の前の方じゃなくて、中央から後方にかけているんですよ。後ろの方で普通に身体を揺らしてた奴が好きな曲がかかった途端に謎のコサック・ダンスみたいな動きをしだして。高めのコサック・ダンスみたいな。

DJ和:コサック・ダンス(笑)。

芦沢:あと、輪になるじゃないですか(サークル・ピット)? 時折あれを観ていて、"曲聴いてる?"って思いますけど(笑)。

DJ和:アイドル現場におけるオタ芸みたいなことが繰り広げられますもんね。それでそこにどんどん人が加わっていくという。

芦沢:普段こんなことを絶対しない子たちが踊り始めた瞬間っていう。

DJ和:あるあるの⑥("自分を解放しちゃう")ですね。ありますよね。

芦沢:僕らはそっちに行けないじゃないですか? このタイプ(※片手にドリンクを持ち、腕を組んだまま右手で左腕を叩いてリズムを取る)なんで。

DJ和:ははははは!

芦沢:あれは最小限のダンスですよ。それで横に友達がいたら"ヤバいねぇ!"しか言ってないという。なんとも情けない(笑)。

DJ和:わかりすぎて面白すぎます(笑)。

芦沢:踊れないんですよ、僕らは。

DJ和:でも、やっぱり本当に好きだし知ってるよっていうアピールを一応したいから、そういう感じになると思うんですよ。棒立ちだと完全に"初めて来ました"みたいな感じになるけど、"そうじゃありませんよ"と。僕らもこれでちゃんと楽しんでいるんだという。

芦沢:いったい誰に気を遣ってるんですかね。全然フェスを楽しめてない。

一同:(爆笑)

DJ和:いや、超楽しいんですよ、超楽しいんですけどね。でもやっぱり片手にこれ(※ドリンクのコップ)は持っていたいんです。

芦沢:なんなら中身なくなってるのに。それをこうやって口でコップくわえて拍手したりして。

DJ和:もう氷しかないんですよね。それを"ズルズルズル~"って(笑)。

芦沢:踊りながらこうやって(※半身でステージを見ながら)酒買いに行くの恥ずかしくないですか? 酒ないから買いに行きたいけど、"でも俺、この曲好きだからこの感じ出しながら行くぜ"っていう。あれめっちゃ恥ずかしい(笑)。