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INTERVIEW

Japanese

月がさ

2017年05月号掲載

月がさ

Member:鈴木 光(Vo/Gt) 神䉤 国日出(Ba/Cho) 遠藤 龍太(Dr)

Interviewer:岡本 貴之

ライヴハウス 下北沢MOSAiCの新レーベル"下北新地録音盤"より第1弾アーティストとして4月26日に1stアルバム『淀ンダ水ヲノゾク』をリリースする4人組バンド"月がさ"。TOWER RECORDS限定で初の全国流通作品となる本作は、"人が目を背けてしまうような事でも真っ直ぐに向き合い汚いことも受け入れる等身大の音楽"というキャッチがついた、人間味剥き出しの8曲が収録されている。バンドの成り立ちから、曲ができあがる過程、感情豊かに紡がれた今作について、メンバー3人に話を訊いた。

-月がさは千葉県佐倉市で結成されたバンドということですが、どのような経緯でメンバーが集まったんですか。

鈴木:僕と海野勇希(Gt/Cho)がちょうど同じ時期に当時やっていたバンドがなくなったとき、お互いにSNSで"バンドやりてぇなぁ"って言い合っていて、一緒にやろうということになったんです。そのとき、僕はギター・ヴォーカルじゃなくてギターだったんですけど、海野にギターをやってもらって自分がギター・ヴォーカルになって最初の形ができました。

-そのとき、すでにバンド名は月がさだったんですか?

鈴木:いや、最初は"ないがしろ"でした(笑)。とにかく捻くれた名前をつけたくて。1stライヴはその名前でやって、次のライヴから月がさになりました。月がさというのは、空にかかる霧に光が反射して月の周りに輪ができあがる現象のことなんですけど。そういうことを歌うようなバンドになりたいなと思っていたら、いつの間にか"うるせぇ!"って歌ってました(笑)。そのころからいろんなバンドを観たりして経験を積んできたうえで、これがやりたいという音楽ができているので、月がさという名前はもう僕たち自身を示す言葉になっています。

-そのあと、神䉤さんが加入したんですか。

神䉤:最初に正規メンバーとしてもうひとりドラムがいて、ベースはサポートで、Halo at 四畳半の白井(將人)君が弾いてたんです。そのあと、3本目のライヴくらいで僕が入って弾くようになりました。鈴木とは同い年で、それまではバンドを一緒にやろうとは全然思わなかったんですけど。

-遠藤さんが加入したのは2016年なんですね。対バンで知り合ったんですか?

遠藤:僕は、もともとドラマーだったんですけど、彼らと出会ったときはギター・ヴォーカルでバンドをやってたんです。柏かどこかのライヴハウスで対バンしたんですけど、そのバンドがなくなってフラフラしてたときに月がさのドラムが抜けちゃったっていう連絡がきて。"国内だったらふたつ返事で手伝うよ"って言ったら、"2週間後に仙台2デイズお願いします"って。

一同:(笑)

鈴木:遠藤はヴォーカルとしての姿がすごく破天荒なんですよ。ドラムも破天荒なんですけど、"あぁ、こいつがドラム叩いたらこうなるよね"っていう感じでしたね。

-月がさはどんなことを目指してスタートしたんでしょうか。

鈴木:バンドを始めてやっていくうちに、いろんな人と出会うじゃないですか? そのなかで刺激を与えられて、目指すものがどんどん見えて狭まってきて、一気に音楽的な意識が上の方に行ったんです。まだ対バンだったときのドラムの遠藤ともいろいろ話しましたし、神䉤とも"音楽ってすげぇよな"って泣きながら話したりもして。海野ともふたりで夜に月を見ながら話し合ったりとか。

遠藤:君たちすぐ泣くよね?

神䉤:ははははは(笑)。

鈴木:僕らって器用な方じゃなくて、ぶつかり合うことしかできないので。うちは喧嘩じゃなくて、お互いのことを語り合うというか。そのなかでこの4人で上を目指したいというの気持ちを共有し合っているような感じですかね。

-そのときにお互いが好きな音楽についてとか、どんなサウンドをやりたい、という話をするとどんなバンドの名前が出てくるんですか?

神䉤:出てくる名前は、LOSTAGEとか、ナンバーガールとかですかね。

遠藤:僕はエレクトロも聴きますけど、聴いてるものとやっているものが必ずしも一緒じゃないというか。基本的に光ちゃんと海野が曲の骨組みを作ってくるので、彼らから出るものをその時々でアイディアを出し合って作る感じです。バンド名を出して"こういう感じなんだよ"とかはあんまり言わないですね。

-アルバムの曲は作詞が鈴木さんで作曲がバンド名義になっていますね。

鈴木:ほとんどの曲は僕がワンコーラスくらいの歌詞とコード進行を持ってきて、スタジオで一気に合わせています。曲のいくつかは神䉤とか海野がワンフレーズ持ってきてくれて、それを僕が家に持って帰って練り上げて、またスタジオに持ってきてやってみるという。構成や展開、音の使い方はバンドで一緒に考えてやっています。

-その過程で歌詞が変わっていくこともあるんですか。

鈴木:あぁ、ありますね。

神䉤:光の場合、作っていくうちに心境が変わっていくことは結構ありますね。

鈴木:海野が僕の歌詞を見て意見をくれたりします。言葉の漢字の表記とか僕がそんなにこだわっていないところも、海野はわかりやすくするのが得意なので、そういう意見をくれるんです。そのうえで僕がどうしても変えたくないところは納得してもらってます。

-"人が目を背けてしまうような事でも真っ直ぐに向き合い汚いことも受け入れる等身大の音楽"というキャッチフレーズがありますが、こうしたテーマをみんなで共有しながらやっているのでしょうか。

鈴木:言葉に出して話すということはうちの場合なくて。音楽性でお互い感じ合うことで共感し合ってますね。

遠藤:なんとでも受け取れる歌詞というか、解釈の仕方が肉付けの仕方によって何通りもあるような感じなので、"こういうことを歌っている"ということは理解してますけど、骨になる部分をちゃんとインプットしておくことが大事で、歌詞を書いた光ちゃんの意図を100パーセント理解しようとは思わないです。ちょっと曖昧なところから自分が感じたもの、そこがスタジオとかライヴで足し算じゃなくて掛け算になるような意識だけはしています。たぶん、歌詞に対しては全員そこそこ違う解釈をしていると思うんですよ。