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INTERVIEW

Japanese

イトヲカシ

2017年02月号掲載

イトヲカシ

Member:伊東歌詞太郎(Vo) 宮田“レフティ”リョウ(Ba/Gt/Key)

Interviewer:山口 智男

2016年9月、両A面シングル『スターダスト / 宿り星』で満を持してメジャー・デビューした2人組音楽ユニット、イトヲカシ。全国を回る路上ライヴを始め、2012年の結成以来、精力的に続けてきた活動が実を結び、2016年、聴いてもらえる人の数が飛躍的に増えたうえに幅も広がったという彼らが、その勢いをさらなるステップアップに繋げようと2ndシングル『さいごまで / カナデアイ』をリリースする。前作同様、両A面を謳いながら、バラードとバンド・サウンドという対照的な曲調の2曲がどんなふうに生まれたのか、ふたりに訊いた。

-老若男女、より多くの人に聴いてもらえるようになったという2016年の活動を、さらなる飛躍に繋げるという意味で、今回のシングルはステップアップのきっかけになるんじゃないかと思うのですが、どんな作品にしたいと考えたのでしょうか?

伊東:前作同様、今回も両A面で、テーマはそれぞれに違うんですけど、どちらも僕らの伝えたい気持ちというか、本当に僕らふたりの心の中にある気持ちとメロディと歌詞を引き出せた曲なんです。「さいごまで」(Track.1)は、ネスレ"キットカット"2017年度受験生応援アーティストとして、受験生を応援するというテーマがあって。実際、僕らの路上ライヴには受験生のお客さんも来るんですよ。そういうお客さんから"受験頑張ります"みたいなことを言われると、"ライヴに来てくれるのはもちろん嬉しいけど、勉強した方がいいんじゃない?"と心配になっちゃうこともあるんですけど、それを言ったら、"これから一生懸命頑張るために、ライヴを観に来たんです"って言われて、なんて嬉しいことを言ってくれるんだろうって逆に元気づけられちゃって(笑)。僕自身、塾講師をやっていたこともあるんですよ。だから僕らふたりの中にある"応援したい"という気持ちをただただ正直に引き出しました。もう一方の「カナデアイ」(Track.2)はTVアニメ"双星の陰陽師"のオープニング・テーマで、前回、エンディング・テーマをやらせていただいて、"2作続けていいんですか?"みたいな気持ちもありつつ。"双星の陰陽師"に寄せることもできるけど、今回もまた、やっぱり自分たちの心の中にある言葉だけで作りたいと思ったので、男女の愛をテーマに嘘偽りなく、等身大の気持ちで書かせていただきました。

-単純すぎるかもしれないですけど、応援ソングと言われたとき、アップテンポの勢いのある曲を思い浮かべる人が多いんじゃないかと思いますが、「さいごまで」はそういう曲とは違いますよね?

宮田:ミドル・テンポのバラードですからね。いろいろなパターンの曲を考えたなかで、アップテンポの曲っていう選択肢もあったんですけど、受験生の背中を押すならこれだろうというところで、僕らが選んだのがこの曲だったんですよ。

伊東:ふたりが納得できる曲調だったんです。それともうひとつ、僕はこの曲に運命を感じたというか、音楽家として、誰かを応援したいという欲求を僕らも持っているんですけど、ちょっと前にふたりで、"そういう曲を作るなら、サビの頭に来るワードって超重要だよね。どんな言葉だったらサビの1行目に来たときに伝わるんだろう?"っていう話をしていたところだったんですよ。例えば、"頑張れ"とか"負けないで"って、そういう意味でS級ワードだと思うんですけど、悔しいことにすでに使われているから、"まだ使われてないS級ワードはないだろうか"って2ヶ月ぐらい考えているとき、見つけた言葉が"さいごまで"だったんです。そうしたらたまたま今回の応援ソングのお話をいただいて、まさにこれだろうって。

宮田:そこに、このメロディががっつりハマッて。

伊東:だから、嬉しかったですよね。

-じっくりと歌い上げるからこそ、"頑張れ"ってただ鼓舞するだけじゃない、この曲のメッセージは届くんじゃないかって思うんですよ。

伊東:そう言ってもらえると嬉しいです。

-"さいごまで さいごまで 走り抜けてやれ"というフレーズがすごくいいと思いました。受験だから合格/不合格という結果は出るじゃないですか。でもこのフレーズは、結果はどうあれ、最後まで走り抜ける行為が尊いと言っているような気がしました。

伊東:そこまで伝わってたら僕はもう感無量です(笑)。僕も中学受験の経験があるし、塾講師として教えたこともあるから、結果も大切と言えば大切なんですけど、大人になってから考えると、実は受験の結果って生きていくうえでは、そこまで重要じゃないんだなと思うんですよ。どっちにせよ、なんですよね。受からなかったとしてもその先が大事だし、受かったとしても結局、その先が大事だし。最後に死ぬまで、どういうふうに生きていくのかを考えながら生きていかないと幸せにはなれないんじゃないかなって思うから、とりあえず合格というゴールはあるんだけど、走り抜けてほしいんですよね。だから、ゴールの先まで一緒に頑張ろうぜって伝えたいんです。ミュージシャンという学歴があまり関係ない立場にいるからこそ、どんな結果であれ、油断しちゃいけないし、腐っちゃいけないし、結局は自分次第なんだということを伝えてあげたいんです。

宮田:人生はスタートとゴールの連続で、ゴールテープがスタートラインみたいなところがあるじゃないですか。僕らも音楽活動しながら、例えば日本武道館でライヴすることだったり、"紅白歌合戦"に出ることだったりっていう夢がたくさんあって、そういうゴールに向かって全力で走っているわけですけど、そこに辿り着いたからって、それが最終的なゴールってわけではない。さらに走り続けて、その先で何ができるかが重要であって、もちろん受験結果も大事なゴールだと思うんですけど、その先まで見据えて頑張ってほしいってところも伝わったら嬉しいという気持ちはありますよね。