Japanese
arko lemming
2017年01月号掲載
Interviewer:石角 友香
-そういうことによって、なかなか垣間見ることのできない"出てきたて"みたいなアイディアが満載で、ものづくりの初期段階を聴かせていただいてる感じで楽しいんですよね。
あぁ、良かった。何よりです。
-そして、「dual-O」(Disc-1/Track.1)と「dual-I」(Disc-2/Track.8)の2曲同時に再生すると「dual-TRACK」(Disc-2/Track.1)が誕生するというのは、それありきで各々を作っていったんですか?
2枚組になるって決まってからかな? 対になるもので、さらにふたつを繋ぐ何かがあればというところから、ふたつで1曲にもなるという曲を作ったんです。それぞれは、わりとわかりやすく色が分かれてると思うんですよ。それが混ざったとき――いや、ほんと混ざったような感覚が一番、理想ではあるんですけど。
-この2曲はアルバムを理解するうえで、歌詞も親切ですよね。"全快"と"全壊"という同音異義語が出てきたりしますし。
そうですね。歌詞もわりと一番わかりやすく、具体的なことを言ってると思います。
-"答えは出ず/でも 延々と続いてゆく"という。
それをポジティヴととるかネガティヴととるか? の両面みたいな感じですね。
-ところでソロはもちろん、toldや複数のバンドのサポートもあり、ひとりがやることとしては過積載なぐらいの活動を続けてますが、今後もそのまま行こうと?
はい(笑)。そうですね。肩書きを増やし続けることによって、肩書きがどうでもよくなればいいなと思っています。
-そんななかでもドレズコーズではテレビの露出があったし、音源(2016年10月リリースのニュー・シングル表題曲「人間ビデオ」)もありましたからね。客観的に自分はどういうミュージシャンとして見られてるのかとか、そのへんはどうなんですか?
ドレスコーズから入った人は多いと思いますけど、そういう人は僕のことをどう思ってるんでしょうね(笑)?
-でも志磨さんを好きな人にとってはわかるセンスなんじゃないでしょうか。人間椅子の和嶋慎治さんともドレスコーズの音源で共演されて。和嶋さんは"生涯このバンド!"みたいな人ですが、ある意味対極にいるような人に出会うとどうですか?
いやー、もちろん素晴らしかったですけど、僕は何かを目指してしまったら勝ち目ないんで(笑)。僕はいつの間にかこうなっていたもんですから。肩書きが多いだとか、何をやってるかわからない感じをこのまま突き詰めてみたらどうなるんだろう? というところに、単純に興味がありますけどね。
-そうなってきた理由は有島さんのパーソナリティなんだと思いますけど。
"ひとつだけじゃなくていろいろやるぞ!"と思ってやり始めたわけじゃないんですよね。もう最初から、ただその場にある楽器で遊んでいただけという感じなので(笑)、なんとも言えないんですけど。
-でも単純に受け身なだけじゃなくて、それはそういうアーティストのあり方として突出した存在になろうとしてるのが、今回よくわかります。
そうですね。意外とそういう人がいないんだって気づいたのがほんとに2、3年前ぐらいなんで。
-ロック・シーンにはいませんよね。
まぁ、長岡(亮介)さんとかは近いかもしれないですね。
-長岡さんは何をやってても飄々としてるじゃないですか?
憧れますね、あの感じ。
-そしてarko lemmingはライヴが実験的な感じになってますね。バンド・スタイルにこだわってないという意味で。
今、ぼっちになりました。ちょっとヨチヨチ歩きですけど、だんだんつたい歩きぐらいにはなってきましたね。
-むしろ一人セットの方が面白くなってきたのでは?
そうですね。今のところ、単純に機材とかも含めて毎回変わってる感じなので、今後もいろいろ実験ができますね。しかもライヴにどうしても即興性を求めてしまう自分がいるので、一人セットだけど、完全に決まりきったことをやりたくないっていうのがどっかにあって。そこもまた見どころかと(笑)。曲の長さとかも毎回微妙に変わっちゃったり、曲の終わり方も違ったりするんで......大変です。自分でやってることなんですけどね(笑)。
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